この「冷たい鋼鉄の線路」というタイトルは、やはりピンク-フロイドの歌詞から取りました。
ここでは「緑の草原」と対比しているので、モンゴル草原のキャラバンにやって来た国際義勇兵達の心境を描くのに使えます。
前回登場させた唯一のインド人義勇兵スニル(28歳)にしても、いくらシバ神の聖地で「緑のハッパ(ブルーハーツ)」が自由に吸えるからと言って、それだけで「冷たい鋼鉄の線路」から逃れられるワケではありませんでした。
他の先進国から来た義勇兵達はなおさらそうで、日本人が最多(10人程)なので彼等に焦点を当てますが、異国での革命に義勇兵として参戦するような若者達は、みんな「冷たい鋼鉄の線路」の上を生きるのに疑問を持って「緑の草原」を目指したと描けます。
どちらも比喩的な表現なのでもう少し具体的に描くと、「冷たい鋼鉄の線路」は都市社会のコトで、そこで人は冷たい仕事に縛られ、機械化された娯楽と食事で満足するように強いられます。
一方、「緑の草原」では人も動物として生きられ、「パールのキャラバン」はそんな都会人の理想を体現するモノにします。
そこでは人は「犬、豚、羊」などと分類されるコトなく、「猫、牛、馬」なんかも飼っているので、そうした動物達を導く牧者として生きます。
「緑の草原」は果てしなく広がっており、犬と猫は草では生きられませんが、他の動物は食べ物には困りません。
かつて草原の民はユーラシアを席巻したコトもあり、その遊牧社会は決して貧しいモノではありませんでした。
そんな「緑の草原」での暮らしは国際義勇兵達の心を解き放ち、機械から離れて自然な心境をとり戻します。