その前に少し旅の流れに触れますと、ネパールVISAの切れる5月14日にカトマンドゥから香港へ飛ぶ便をアプリ(Trip.com)で買いましたが、これは早く買えば3万5千円だったのがモタモタしていたら5万円になってしまいました。
それはイイとして、今日はまだ4月なのでカトマンドゥにはまだまだ滞在し、体調は回復したのでもう宿は引き払っていつものエグザイルに戻っており、昨晩はタメル付近のカジノ(3件ある)でオールナイトしようとしましたが、昼寝が足らずに眠くなり旧王宮(ダルバール)広場へ行ってそこの祠で寝ました。
この巨大な祠で寝泊まりしている人はけっこう居り、ブッダナートの仏舎利塔ほどシャンティーではありませんが、ネパール人は基本的にみんな平和的なので問題は無さそうです。
しかし昼間にタメル付近を歩き回るのは些か問題があり、立派な紳士から努力のにじんだ日本語で話しかけられたりすると無視できず、彼の立派なホテルでチャイを頂いてお話するだけでは済ませられずに、曼荼羅アートの店に連れて行かれて貧しい山岳地帯の曼荼羅スクールで生徒達が描いたというモノを、学校を援助する名目で3000ルピーで買わざるを得なくなりました。
この位はまだイイ方で、タメル近辺にはより洗練された方法でツーリストからお金を巻き上げる物乞いが居り、昨日も彼に捕まって寄付せざるを得なくなり、これは3度目で総額は1万ルピーになりました。
この寄付を余儀なくさせられる理由を述べますと、彼(ノルブさん)は五歳からお寺で育てられた典型的な貧しいチベット僧で、独立運動に参加したタメに30年間も刑務所に入れられて、激しい拷問を受けたと全身の傷跡を示して語り、60代でネパールに亡命しますが生活は安定せずにガンまで発症してしまいます。
ノルブさんはそんな不幸なチベット僧ですが、英語はなかなか達者で多くのツーリストと話しているからか見識も広く、とうぜん仏教についても深い信仰心を示されるので彼のカルマを尊重せざるを得なくなります。
彼のガンはかなり進行してる様で抗癌剤治療を受けていましたが、わたしはそれよりも超ミネラル療法を勧め、それが日常の食事によって可能なシッキムやブータンに行くコトをお勧めてその旅費としてお金を渡しました。
重たい話は以上とし「ニッポン・ジョーク集」に移りますが、ジョークは重たい人生を軽くするタメにあるモノと思えるので、この話の流れには理由があると言えます。
この文芸春秋編の本には三百人もの言論界の人達のイチ推しジョークが載っていますが、中には「ジョーク論」を展開している作家もいるので先ずはそれから紹介します。
わたしの好きな詩人でインドについても書いている田村隆一は、ジョークとはある特定の空間と特定の相手があって光を発するモノで、そこには「十パーセントの真実」が必要だとしています。
彼は李鴻章が清国の駐英大使だった時に発したジョークを例に挙げていますが、やはりその空間に居ないと「光」は味わえないと思えます。
次にやはり好きな作家、開高健のイチ推しジョークを挙げますと、1つ目はチェコとポーランドの野良犬が国境ですれ違いざまに交わす会話で、もう1つのブラジル小話(下ネタ)は朝鮮戦争が起きた時に国連と一緒に軍事介入すべきかで大論争が持ち上がった時に生まれたジョークです。
こうした政治的ジョークは日本ではあまり生まれず、それは民主主義の歴史が浅いからとされますが、国の権威を貶めるジョークが好まれないのは自国を他国よりも優れていると思いたいからのような気もします。
それに対してイギリス、ロシア、イスラエルなどでは自国を滑稽にこき下ろすジョークが好まれており、それをコスモポリタンとしての教養とする向きすらあります。
日本の文芸評論家達はそうしたジョークを高く評価していますが、これらもやはり日本人にはあまり響かないと思います。
一方でフランス小話やブラジル小話はもっぱら男女関係を滑稽にこき下ろしていますが、これらは下ネタに走りがちなのでやはり日本人には好まれません。
なので日本人にとって最上のジョークは江戸小噺か俳諧のモジリだとする言論人は多く、俳句の後に「それにつけても金のほしさよ」とくっ付けるのが常套手段になっています。
ここで視点を変えて、ロックンロールでジョークがどう歌われているかについて触れますと、ボブ-ディランの"All along the watchtower (ものみの塔からすべてを見晴るかす)"ではジョーカーに"Life is not joke…"と語らせており、ピンクフロイドのシド-バレットは夢とジョークの違いが分からず、それらを追求し過ぎて現実からドロップアウトしてしまいました。
確かに夢にも十パーセントは真実が含まれていると思え、白昼夢を連続で見続けたシドが現実とジョークの違いを見失った理由も少しは解りますが、わたしはやはり人生はジョークではないと思うので、日本人らしく真面目に生きる理由を追求して行こうと思います。
最後にわたしの好きな短いジョークで締めますが、これは日本語だけで通じるジョークなので言論界では重きを置かれていません。
しかし、このジョークは台湾でコンサートを開いたYMOの細野晴臣が披露して大受けしているので、日本のジョークとしては国境を超えた希有のモノかと思います。
−− あれ、あのパンダなに食べてんだろ… パンだ −−