バルドゥ(中有)の教えを残したボン教は、数万年前からあったとされる幻のシャンシュン王国で成立し、その経典はヒマラヤ山中の洞窟から後の世に発掘されて広まりました。
こうした埋蔵経は他にも度々ヒマラヤの洞窟から発掘されており、物語のだいぶ前の方で孫文徳が書き残した本がヤクの背に乗せられたまま放たれましたが、それを発見した牧童もその本が埋蔵経として未来の人類の役に立つと直感し、洞窟の奥深くに埋蔵しました。
シャンシュン王国が在ったのはカイラス山の周辺とされ、私はそこを22才の時に旅した事があります。
因みにカイラス山は最も巡礼するのが困難な聖地とされ、それを果たす為にクラウドファンディングが集まるほどです。
カイラスへの道はヒッチハイクで10日程を要し(外国人は入れない地区でバスには乗れない)、途中検問所をいくつか歩いて迂回し越えなければならず、日が暮れるのを待ってから越えようとすると犬に吠えられてヒヤヒヤでした。
カイラスの在る西チベットにはウイグル人も少数ながら住んでおり、輸送トラックの運転手にもウイグル人が多くて、彼らは中国の支配に反抗心を持っており検問越えに協力してくれました。
カイラス山では無理なコルラ(巡礼)で高山病になり、その時僧侶に介抱されて食べさせて貰った発酵牛乳の粥は忘れられません。 未だにお粥こそが最高級の料理だと思える程で、中華圏ではそう考える人は結構いるみたいです。
話をバルドゥ49日間の構想に移しますと、それは人間が輪廻転生の試練をくぐって新しい命に辿り着く行程で、7日おきに7回の試験が課される事を前回紹介しました。
このバルドゥで重要な意義を持つ7の数がどこから来たのかを推理すると、まず一番ありそうなのが月火水木金土日の天体観測からです。
惑星は他に天王星と海王星が回ってますがこれらは肉眼では見えないので、空で常に動いている天体は上記の7つとなります。
この7つの天体は週 - Wikipediaとして身近に定着していますが、これは古代バビロニア文明から現代に伝わったとされます。
古代人は更に占星術を発展させていたので、星に近いヒマラヤ高原の文明が天体と人間の運命を重ね合わせたのは自然な事かと思います。
因みに古代シャンシュン王国についてはネットでも詳しい情報は手に入らず、誰かが物語の光を当てて蘇えらせてくれてたらいいなぁと思います。