永久革命論はもともとロシア革命の主導者であるトロツキーが唱えたもので、革命理論の元祖的なモノです。永続革命論 - Wikipedia
この理論について深く追及した論文はネットで読めますが、ここではそれはもう過去のモノとして重要視せず、現代的な位置付けを示すだけにとどめます。
毛沢東が文化大革命の論拠とした継続革命論は、理想主義的な永続革命論とはだいぶ色合いが異なり、彼はトロツキーを粛清したスターリンを崇拝していたので、中国でも理想主義的な共産党員はトロツキストとして迫害されました。
これについては論文「陰謀論としての継続革命論」に詳しく書かれおり、これは長いので序文だけ読んで頂ければけっこうです。
この論文では共産主義に特有の弁証法についても詳しく書かれており、それは即ち全ての物事は矛盾と対立を孕んでいて、正しい立場と間違った立場に分別できるとする思想です。
こうした思想が革命を生んでおり、文革時期には不断革命という理念まで生まれて、老いも若きも年中ずっと革命を強要されました。
しかしそんなパラノイア(偏執狂)じみた運動が永続する訳もなく、'76年に毛が死ぬとすぐに革命は終わりました。
文革の指導部はみんな裁判にかけられ、ろくに総括する機会も与えられずに処刑されて、臭いモノに蓋をする形で忘れ去られました。
しかし20年以上続いた悪夢の革命を大半の人民は忘れられず、また忘れ去ってはならないと考える人達も居て「中国の悲しい遺産」のような歴史的意義のある本も残されています。
またしかし、こうした歴史の真実を真っ直ぐに暴き出す書物は中国本土で日の目を見る事がなく、著者は亡命を余儀なくされてしまっています。
それ故に自由世界からの理解と支援が欠かせず、法政大学の教授が言うように中国は民主化という永久革命の途上に在るとする意見も一理あるかと思います。
物語でも「終」章のラストで毛沢東の死を描き、それによる文化大革命の終わりも描きますが、革命の傷はそうやすやすと癒えるモノではなく、それは特にチベットにおいて社会が回復出来ない程の致命傷となって長く禍根を残して行きます。