それは熊が山で最強の動物であるからで、そのカムイとの共生は特別な意味を持ちます。
セイはシバジーと別れた後に、冬眠中の熊穴に入って熊の親子と共に深い眠りに着きます。
彼女の発する波動は如何なる敵対心も呼ばず、母熊は安心して眠り続けます。
「冬眠」と云うのは哺乳類でわりと普遍的みたいですが、熊はそのエキスパートの様です。
これによると熊は冬眠中に分娩して授乳しますが、完全に覚醒するコトは無いそうです。
冬眠中の母熊の精神は知り得ませんが、一緒に眠る分にはさして気にしないかと思え、子熊達(雄と雌のペア)もすっかりセイになつきます。
物語では後半、「カムイ伝」の様なハードボイルドな展開を考えており、成長した雄熊に活躍して貰うつもりです。
なのでこの母熊とセイは特別な絆で結ばれ、雄の子熊はセイに託されるとします。
これは母熊の親心からで、雄の子熊は厳しいライバル争いに晒され、生き残れるのはホンの一握りです。
特にここには嫉妬深い雄熊がいて、母熊の男の子はみんなこの熊に殺されて来ました。
その悲しみは母熊の顔に現れており、我が子を平和に生かしたいと望んでセイに託します。
因みに「カムイ伝」でも主人公のカムイは雄熊を仲間にして、それで悪代官を懲らしめます。
この漫画は小学生の頃に児童館で読破し、前作「シュウシャン」で描いたトゥルクの護衛タシとターシャの死闘も、だいぶこの影響を受けています。
人も動物も基本的には同じで、共にカムイとして心を通じさせられると描かれております。