一万年前と言えば人類が地球の全ての土地に到達した時代で、人類が最後に到達したのはニュージーランドとされています。
因みにアメリカ大陸へは約3万年前に到達し、南極に近いパタゴニアまで南下したのは1万2千年前です。
こうした年代測定は発掘された人骨の炭素14(放射性物質)の割合から測られます。
炭素については「交響曲第6番 炭素物語」で生命との密接な経(つな)がりが興味深く書かれていますが、炭素14(陽子6個と中性子8個)がベータ崩壊して窒素(陽子7個と中性子7個)に元素転換する奇抜な特徴も有します。
炭素14の半減期は約5700年で、人は生きている間は常に炭素を代謝していますが(空気中と有機物から)、死んでからはもう炭素を取り込めないので、遺骨の炭素14の割合が少ないほど大昔に亡くなったコトとなります。
因みに私の叔父は東京都立大学で中性子のベータ崩壊を研究し、ベータ線を浴びすぎたせいかガンで早逝しました。
中性子の研究は実用化が難しく、中性子爆弾なんか作ってもしょうが無いのですが、ベータ崩壊によって飛び出す電子とニュートリノを医療や通信に応用できたらノーベル賞が取れると叔父は語っておりました。
ノーベル賞と言えば、世界初のニュートリノ受信に成功したカミオカンデの研究が受けました。
これは16万年前の超新星爆発で大量に放出されたニュートリノをキャッチしたモノで、それは16万光年かなたの星の瞬間的な爆発をたまたま捉えられた、非常に幸運な出来事でした。
超新星爆発では陽子98個のカリホルニウムまで誕生するとされますが、陽子92個のウランまでしか安定して存在できないそうです。
なので、私達の体が何種類の元素で出来てるかという問いの上限は92種であり、この「星のかけら」から生命が生まれたコトは繰り返し語る価値があると思います。
ついでに「Sayの物語」第一部のラストも繰り返し語らせて貰いますと、トゥルク(転生活仏)とシバジーは銀河鉄道に乗って宇宙の命の星を巡る旅をしますが、トゥルクはまだ死んでおらず、冬眠中の熊の穴でシバジーの子を産むと共に目を覚まします。
ずいぶんハチャメチャなストーリーと思われるかも知れませんが、なにぶんこれは1万年前の古代シャンシュン王国誕生物語なので、神話的に成るのも許されるかと思います。
この星々の旅によってトゥルクは新たに誕生し、彼女はアヒンサー(非暴力)の成就者として周囲を平和にする触媒能力を発揮して行きます。
まず母熊がアヒンサーと成り、産んだばかりの三頭の内の雄を一頭トゥルクに預ける件は前に語りましたが、この子熊と自分の男の子を抱えて彼女は高山を下ります。
次回は、そんなトゥルクの歌声について語ろうと思います。