年が明けて、小学四年生の三学期を迎えてからの尾場寛一はこれまでと違い
まるで人が変わったかのようになった。勉学は勿論のことだが、特にバイトを
何かに憑依されたかのように始めだし、それに人一倍励んだ。
元々身体能力が同世代はおろか、大人の自衛隊員すら驚愕するほどなためか
バイト先の目上の先輩なら、もう既に音を上げるような激務を
問題にせず、バイトの終わった時間の段階でもまったく疲弊した顔を見せないため
バイト先の面々は、ただ驚くばかりだった。バイト先の先輩の中には彼女から
「あの子に負けてどうすんのよ?情けないと思わないの?少しは体を鍛えなさいよ!?」と
言われてしょげ返るほどである。
周囲の噂のことなど、まるで意に介さぬように寛一は必死に働き、
その受け取った対価を決して無駄遣いせず、むしろその受け取った対価を
如何に多く残せるかに心血を注いだ。
その思いは、決まっている。
一方その頃、母加奈子も何やら変わった事を成していた。
それというのも、自動車を新車で買ってはそれを短期間で下取りに出すというモノである。
新車を買って、それまで乗ってた車を下取りに出すくらいならこれは誰しもがやるのだけれど
加奈子の場合は、どうも不穏と思えなくも無かった。
それというのも、新車を買っては、それを下取りに出す期間がかなりの日数をかけて
よくよく観察して見ると、非常に短いのである。
それというのも、よくよく注意して調べて見るといくつか不審と思える点がある。
一・新車価格の高い軽自動車に意識して拘っているところ。
二・軽自動車を新車価格で売る際に出来るだけ購入価格を高くなるように努力していること。
具体的に洗車や車の窓拭きを寛一とともにやり運転の際も傷ひとつつけないように注意していること。
三・新車を現金一括で買ってからそれを下取りに出すまでの期間が短いこと。
四・下取りに出して得た金はその多くが寛一名義の通帳に行ってること。
五・そして後の残りを寛一に年二~三回のご褒美として寛一に手渡していること。
無論、この事に気づいている者は当の本人しか知らないようだ。
多額の仕送りをしている勘吉は元より、自分名義の通帳を作られそれに大金を
振られている寛一も知る由も無い。
周囲はこの実態を知る訳も無く、一見してせいぜい
自動車をゲームソフト感覚で買い替える贅沢な暮らししてるオバサンとしか思わない。
何故なら車を買い替える頻度が年に三回もしているからだ。
そして、季節はめぐり小学五年生の二学期も後期を迎えた晩秋のこと。
寛一は、期末テストがいつもと同じように他の追随を認めぬほどの好結果だったことを機会に
母加奈子に、恐る恐る証券口座開設してもいいかと願い出た。
すると加奈子は二つ返事で了承した。それどころか寛一に対し
「これから長く付き合うのですから、自分に合った会社を選びなさい。」とまで言ってくれた。
母加奈子が寛一に金融取引をやるための証券口座開設を認めたのには
実は深い訳がある。自分はやがていつかは年老いて老衰で死ぬか、
認知症や寝たきりで寛一の人生を奪いかねない晩節の汚し方をしてしまうかもしれない。
もし、ここで寛一に証券口座開設を認めず、職場に勤める以外のお金の稼ぎ方を認めなかったら
果たしてどうなるのだろうか?自分の老衰やそれに伴う成人病による死か
自分の寝たきりや認知症が原因で寛一は働いてた職場を辞めなければならなくなり
自分の世話のために生活が乱れ、この子の人生を台無しにしてしまうのではないのか?
我が子の将来の仕合せを望むべき親が、我が子の人生を台無しにする本末転倒など
あってはいけない事なのである。又、最近の世の中の政治と社会の有り様を考えて
この子が成人を迎えるまでに世の中が、この子の事を受け入れる働き口など
本当にあるのだろうか?かつての自分でさえ、苦しんだほど。
ましてやこの子が成人になった時の社会は、尚の事この子を受け入れがたいほどのレベルだろう。
そうなってしまうくらいなら、この子には最初から他人からのお金を当てにしない
お金の稼ぎ方をこの子がした方が、いい意味でもこの子の将来の自立になる。
そう考えた結果が、寛一から証券口座開設の要請を願い出た際を機に加奈子の出した返答だ。
それから二学期が終わったクリスマスイブ、その日の朝、寛一にとって
サンタクロースのプレゼントであるかのようにネット証券会社から
口座開設の決定を知らせる郵便物が届いた。その中には
証券口座番号と、ログインするためのIDと仮パスワードだった。
終業式を終えた寛一は自宅に帰り、その郵便物にあるとうりの手続きに従って
上手くログインして見せた。仮パスワードを本格パスワードに設定し直して
それをロストしてもいいようにメモリースティックやパソコンのハードディスクと
それをプリントアウトした紙に分散して管理した。それを終えるとネット証券のマイページを
ログアウトしてパソコンの画面の左下の電源のシャットダウンを探しそれをクリックすると
電源が切れるのを確認すると、外出する支度をして外へ出ると銀行に向かって行った。
そして銀行のATMから証券口座番号宛に、高額の振込みを何度も繰り返した。
その金額は何と三百万以上モノ高額であった。
まるで人が変わったかのようになった。勉学は勿論のことだが、特にバイトを
何かに憑依されたかのように始めだし、それに人一倍励んだ。
元々身体能力が同世代はおろか、大人の自衛隊員すら驚愕するほどなためか
バイト先の目上の先輩なら、もう既に音を上げるような激務を
問題にせず、バイトの終わった時間の段階でもまったく疲弊した顔を見せないため
バイト先の面々は、ただ驚くばかりだった。バイト先の先輩の中には彼女から
「あの子に負けてどうすんのよ?情けないと思わないの?少しは体を鍛えなさいよ!?」と
言われてしょげ返るほどである。
周囲の噂のことなど、まるで意に介さぬように寛一は必死に働き、
その受け取った対価を決して無駄遣いせず、むしろその受け取った対価を
如何に多く残せるかに心血を注いだ。
その思いは、決まっている。
一方その頃、母加奈子も何やら変わった事を成していた。
それというのも、自動車を新車で買ってはそれを短期間で下取りに出すというモノである。
新車を買って、それまで乗ってた車を下取りに出すくらいならこれは誰しもがやるのだけれど
加奈子の場合は、どうも不穏と思えなくも無かった。
それというのも、新車を買っては、それを下取りに出す期間がかなりの日数をかけて
よくよく観察して見ると、非常に短いのである。
それというのも、よくよく注意して調べて見るといくつか不審と思える点がある。
一・新車価格の高い軽自動車に意識して拘っているところ。
二・軽自動車を新車価格で売る際に出来るだけ購入価格を高くなるように努力していること。
具体的に洗車や車の窓拭きを寛一とともにやり運転の際も傷ひとつつけないように注意していること。
三・新車を現金一括で買ってからそれを下取りに出すまでの期間が短いこと。
四・下取りに出して得た金はその多くが寛一名義の通帳に行ってること。
五・そして後の残りを寛一に年二~三回のご褒美として寛一に手渡していること。
無論、この事に気づいている者は当の本人しか知らないようだ。
多額の仕送りをしている勘吉は元より、自分名義の通帳を作られそれに大金を
振られている寛一も知る由も無い。
周囲はこの実態を知る訳も無く、一見してせいぜい
自動車をゲームソフト感覚で買い替える贅沢な暮らししてるオバサンとしか思わない。
何故なら車を買い替える頻度が年に三回もしているからだ。
そして、季節はめぐり小学五年生の二学期も後期を迎えた晩秋のこと。
寛一は、期末テストがいつもと同じように他の追随を認めぬほどの好結果だったことを機会に
母加奈子に、恐る恐る証券口座開設してもいいかと願い出た。
すると加奈子は二つ返事で了承した。それどころか寛一に対し
「これから長く付き合うのですから、自分に合った会社を選びなさい。」とまで言ってくれた。
母加奈子が寛一に金融取引をやるための証券口座開設を認めたのには
実は深い訳がある。自分はやがていつかは年老いて老衰で死ぬか、
認知症や寝たきりで寛一の人生を奪いかねない晩節の汚し方をしてしまうかもしれない。
もし、ここで寛一に証券口座開設を認めず、職場に勤める以外のお金の稼ぎ方を認めなかったら
果たしてどうなるのだろうか?自分の老衰やそれに伴う成人病による死か
自分の寝たきりや認知症が原因で寛一は働いてた職場を辞めなければならなくなり
自分の世話のために生活が乱れ、この子の人生を台無しにしてしまうのではないのか?
我が子の将来の仕合せを望むべき親が、我が子の人生を台無しにする本末転倒など
あってはいけない事なのである。又、最近の世の中の政治と社会の有り様を考えて
この子が成人を迎えるまでに世の中が、この子の事を受け入れる働き口など
本当にあるのだろうか?かつての自分でさえ、苦しんだほど。
ましてやこの子が成人になった時の社会は、尚の事この子を受け入れがたいほどのレベルだろう。
そうなってしまうくらいなら、この子には最初から他人からのお金を当てにしない
お金の稼ぎ方をこの子がした方が、いい意味でもこの子の将来の自立になる。
そう考えた結果が、寛一から証券口座開設の要請を願い出た際を機に加奈子の出した返答だ。
それから二学期が終わったクリスマスイブ、その日の朝、寛一にとって
サンタクロースのプレゼントであるかのようにネット証券会社から
口座開設の決定を知らせる郵便物が届いた。その中には
証券口座番号と、ログインするためのIDと仮パスワードだった。
終業式を終えた寛一は自宅に帰り、その郵便物にあるとうりの手続きに従って
上手くログインして見せた。仮パスワードを本格パスワードに設定し直して
それをロストしてもいいようにメモリースティックやパソコンのハードディスクと
それをプリントアウトした紙に分散して管理した。それを終えるとネット証券のマイページを
ログアウトしてパソコンの画面の左下の電源のシャットダウンを探しそれをクリックすると
電源が切れるのを確認すると、外出する支度をして外へ出ると銀行に向かって行った。
そして銀行のATMから証券口座番号宛に、高額の振込みを何度も繰り返した。
その金額は何と三百万以上モノ高額であった。
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