YS_KOZY_BLOG

History, Strategy, Ideology, and Nations

「プラハの春」米国情報文書の公開

2010年04月18日 | ARCHIVES

 CIAのウェブサイト上に設置されている「情報公開法電子閲覧室」において、
 1968年の「プラハの春」に関する情報文書が、4月13日付で公開された。
 文書内容としては、政治・経済・社会の各領域にわたっており、非常に広範となっているが、
 収録されているトピックスとしては、次の通りである。

 Current Intelligence Articles
 FBIS and Press Reports
 Intelligence Communications Estimates and Memos
 Intelligence Info Cables
 Intelligence Reports
 Situation Reports
 Miscellaneous
 Strategic Warning Articles
 White House and NSC

 日本人としては、「プラハの春」は実感を伴った出来事としてイメージしづらいかもしれないが、
 米ソ冷戦史の文脈から見た場合に、やはり重大な出来事であった。
 1956年のスターリン批判に端を発して、ポーランドやハンガリーに波及した民主化の波は、
 約10年後、チェコスロバキアにも及び、共産諸国の結束に再び動揺が走った。
 ところが、当時のソ連書記長・ブレジネフは、チェコ側の要求を武力鎮圧によって封じ込め、
 「制限主権論」の原則を固持したのである。

 元来、チェコは、第二次世界大戦終結後には、東欧諸国でも最も民主的な国と思われていた。
 ところが、1948年3月、軍事クーデターによって、民意を完全に無視する形で共産化され、
 多くの国民が現体制への不満と不信を強く抱いていたのである。

 今回、公開された文書は、「プラハの春」を巡る一連の動向について、
 近況情報(current intelligence)だけでなく、
 現地からの情勢報告やホワイトハウスへの情報伝達に関わる文書も含まれているので、
 当時のジョンソン政権がどのような情報を受け取り、
 政策決定に臨んでいたのかを知ることができる。

 CIA FOIA Electronics Reading Room
 Strategic Warning and the Role of Intelligence
 Lessons Learned From The 1968 Soviet Invasion of Czechoslovakia
 http://www.foia.cia.gov/CzechInvasion.asp