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History, Strategy, Ideology, and Nations

11月19日

2009年11月19日 | NEWS & TOPICS
 小泉内閣時、田中真紀子という人物が外相を務めていた。
 彼女は就任当初から外務省内で混乱を起こし、機密漏洩までも犯し、最後には更迭された。
 国民的人気が高かったこともあり、最初は外務省改革の推進を期待する向きもあったが、
 相次ぐ失態に国内だけでなく、海外からも眉を潜められるようになり、
 実質的に首相官邸が外交政策の運営を担当するまでに至った。
 国民からも次第に見離されてしまい、外相更迭は止む無しとの見方が趨勢となった。
 実際、更迭の際、それを惜しむ人は誰もいなかった。
 以後、田中真紀子首相待望論を掲げた愚かな論者は、どこかへ霧散してしまったのである。

 翻って、鳩山首相である。
 はっきり言って、田中真紀子元外相の時よりも事態は深刻であるかもしれない。
 行く先々で場当たり的な言辞を繰り返し、政策上の整合性を完全に失ってしまっている。
 問題は日米関係だけでなく、あらゆる政策領域に及んでおり、
 内閣支持率も、54%と大きく減少し始めている。

 ところが、不思議なことに、ここまで支離滅裂が続くと、
 田中真紀子元外相の時のように、鳩山辞任への圧力が強まりそうなものなのだが、
 どうもそうなっていないのである。
 特に学者や評論家は、「信じたい」や「期待したい」など言って、
 鳩山首相の努力が今後改善されるとの見方を崩そうとしていない。
 
 残念だが、そうした希望や期待が叶えられることはないだろう。
 鳩山首相は田中真紀子元外相と同等、もしくはそれ以下の政治センスしかないことは、
 首相就任以来の歩みを見ていれば一目瞭然である。
 それにもかかわらず、まだ何かを期待しようとするのは、
 かつて田中真紀子首相待望論を支持した論者たちと同じ轍を踏むことになるだろう。

 知識人の間には、いまだに良家へのコンプレックスがあるのかと思い致す次第である。