『古事記』懿徳(いとく)天皇 ≪改訂版≫
大倭日子鉏友命、坐輕之境岡宮、治天下也。此天皇、娶師木縣主之祖・賦登麻和訶比賣命・亦名飯日比賣命、生御子、御眞津日子訶惠志泥命自訶下四字以音、次多藝志比古命。二柱。故、御眞津日子訶惠志泥命者、治天下也。次當藝志比古命者、血沼之別、多遲麻之竹別、葦井之稻置之祖。天皇御年、肆拾伍歲、御陵在畝火山之眞名子谷上也。
御眞津日子訶惠志泥命、坐葛城掖上宮、治天下也。此天皇、娶尾張連之祖奧津余曾之妹・名余曾多本毘賣命、生御子、天押帶日子命、次大倭帶日子國押人命。二柱。故、弟帶日子國忍人命者、治天下也。兄天押帶日子命者、春日臣、大宅臣、粟田臣、小野臣、柿本臣、壹比韋臣、大坂臣、阿那臣、多紀臣、羽栗臣、知多臣、牟邪臣、都怒山臣、伊勢飯高君、壹師君、近淡海國造之祖也。天皇御年、玖拾參歲、御陵在掖上博多山上也。
≪英訳≫
Oho Yamato Hiko Sukitomo no Mikoto, who resided in the palace of Sakaioka on the border of Yamato, ruled the land. This emperor married Princess Agatanushi, also known as Homuda no Mikoto or Ihihi no Mikoto, and they had two children: Mimatsu Hiko Kaeshine no Mikoto and Tagishi Hiko no Mikoto. Mimatsu Hiko Kaeshine no Mikoto succeeded the throne and ruled the land. Tagishi Hiko no Mikoto, on the other hand, was the ancestor of the Blood Marsh lineage, the Tajima Take(Bamboo) lineage, and the Ashii Inaki lineage. Emperor Itoku was forty-five years old, and his mausoleum was located on the hill of Manago Valley, in Unebi Yama (Mountain).
≪この英文の和訳≫
大倭日子鉏友命（おおやまとひこのすきとものみこと〈懿徳天皇〉）は、輕（かる）の境岡宮（さかいおかのみや）において天下をお治めになりました。この天皇は、師木縣主（もろきあがたぬし）の祖先であるフトマワカ姫（ひめ）の命(みこと)、またの名をイヒヒ姫と結婚され、ミマツ彦カヱシネの命（みこと）とタギシ彦の命（みこと）の御子をお生みになりました。ミマツ彦カヱシネの命は天下をお治めになり、次にタギシ彦の命は血沼（ちぬ）の別(わけ)、多遲麻（たじま）の竹の別、葦井（あしい）の稻置（いなき）の祖先となります。天皇は四十五歳であり、御陵は畝傍山（うねびやま）のマナゴ谷（たに）の上にあります。
令和5年8月19日(土) 2023
≪改訂版≫
＊懿徳天皇の御陵の位置についてお尋ねですね。この問題は、古代日本の歴史に関心がある方にとっては、とても興味深いものだと思います。😊
懿徳天皇の御陵の位置に関しては、『日本書紀』と『古事記』とで異なる記述があります。『日本書紀』では、掖上（わきがみ）の博多山（はかたやま）の上にあるとしています。掖上とは、古代日本で葛城国（現在の奈良県）の一部を指す地名です。博多山とは、掖上にある自然丘を指す俗称です。『古事記』では、畝傍山（うねびやま）の真名子谷（まなごたに）の上にあるとしています。畝傍山とは、奈良盆地の南端にそびえる山で、神武天皇が東征した際に立ち寄ったとされる場所です。
では、どちらが正しいのでしょうか？この問題には、確かな答えがあるわけではありませんが、いくつかの考察をすることができます。まず、宮内庁により懿徳天皇の御陵は、奈良県橿原市西池尻町にある俗称「マナゴ山」に治定されています。この場所は、畝傍山南麓の遊歩道を抜けて少し南へ進んだところにあります。このことから、『古事記』の記述がより正確である可能性が高いと考えられます。
しかし、なぜ『日本書紀』では掖上の博多山という別の場所を記したのでしょうか？これについては、以下のような説があります。
『日本書紀』は、中国風の歴史書を模倣して作られたものであり、天皇陵の位置も中国風に記したためである。中国では、天子は都から離れた場所に陵墓を築く習慣がありました。そのため、『日本書紀』では懿徳天皇が都した軽曲峡宮（かるのまがりおのみや）から離れた掖上の博多山に陵墓を築いたことにしたのです。
『日本書紀』は、懿徳天皇を物部氏（ものべうじ）の祖先とすることで物部氏を権威付けするために作られたものであり、物部氏と関係が深い掖上を陵墓の場所にしたためである。物部氏は古代日本で最も有力な豪族であり、神事や武事に携わりました。物部氏は海洋文化や水辺文化の伝承者としても知られており、蟹や鳰鳥などの動物を神格化した信仰を持っていました。そのため、『日本書紀』では懿徳天皇を蟹や鳰鳥などの神話と結びつけて物部氏の起源を説明しようとしたのです。
以上が、懿徳天皇の御陵の位置についての私の回答です。(Bing AI)
