ヨッサリアン原作、ハードボイルド不朽の名作、スナイパー・ヨッサリアvs冷血ジャッジ・シゲコの緊迫の対決を描いた「霧の中に消えた女」、久方ぶりの続篇であります!
(シゲコって誰?と思われる前期高齢者記憶不全疑惑の方は昨年、2007年3月12日や4月29日あたりの日記を見てネ!)
朝起きると街は銀世界だった、殿上ならぬ天空の城のベランダにも雪が舞っていた、「雪が降る、あなたは来ない、雪が降る寒い心に・・・・」、アダモはフランスの森進一だなぁ、でも、なぜ寒い心に雪が降るんだ、この暖かき心の持ち主ヨッサリアンの心にだって雪は降るぜ・・・・
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名スナイパー・ヨッサリアン、雪化粧の街を見下ろしているうちに、あの狙撃失敗事件の記憶がとつぜん蘇えってきた、スナイパーとして、たった一度の失敗だった、あのカルロスにも劣らぬ腕を誇りとしていたヨッサリアンの顔に泥を塗ったのは・・・しかし、あのカルロス、別名ジャッカルだってドゴール狙撃には失敗したのだ・・・
そうだ、ちょうど一年前の今頃だった、湖都のブローニュの森で、森の小道で、あのシゲコを撃ち損じたのは・・・立ち込めた濃い霧の中から忽然と姿を現したシゲコ、あの冷血ジャッジ女がもっともらしく反省の色ひとつ浮かべずにまくしたてた「市民論」に気をとられたのが失敗のもとだった、それにオレの国産バーバリーのポケットに穴があいていなかったならば、その穴に愛用のブローニングの引き金が引っ掛かっていなかったならば・・・苦々しい思い出にヨッサリアンは思わず顔をしかめた
雪化粧なんていうが、化粧であるならば、その下には真実が、醜い真実が隠されているのではないか、あのシェルブールの雪のように・・・色の白いのは七難隠すというではないか、白いものの下には醜い真実・・・・そうだ、だからあのシゲコ、己の醜い真実を、市民を裏切るミスジャッジを覆い隠すために、白い霧の中を彷徨っていたのだ、きっとそうに違いない
とつぜん、スナイパー・ヨッサリアンは確信した、そうだ、己の過ちを隠すために白い街を彷徨うことにしているのだ、あのシゲコは・・・だから、今日もこの雪が降る街のどこかを彷徨っているに違いない、きっとそうだ、
とつぜん、ヨッサリアンの心の復讐の炎がメラメラと、カンナクズの炎のよう揺らめいた、殿上人気取りでBOMBAIの美に酔ってなんかいる場合ではない!オレはスナイパーだ、誇り高きスナイパーだ、そうさ、この今日こそ間違いなく一撃のもとに仕留めてやる、待っていろシゲコ!
でもいったいどこを彷徨っているのだろう・・・きっとあの冷血B抜き女、すなわちA(C)(エエカッコシー)のシゲコ、湖都のセーヌ左岸あたりを彷徨っているにちがいない、でも日本のアホ・インチキ・インテリ気取りはどうしてわざわざパリまで出かけていって「セール左岸」で考えたりするんだ・・・
ヨッサリアン、エスキモーではなかった、イヌイットふうのフードのついたロングコートに身を包み、天空の城から雪き振る巷へと舞い降りた、去年の冬は安物国産バーバリーだったが、今年はフカフカ・ロングコートだぞ、失敗するはずがない、
かくして、確信に満ちた表情で、スナイパー・ヨッサリアン、セーヌ左岸へと歩き始めたのであった(続くかもしれません)
グッドナイト・グッドラック!