On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

レッツ オペレート!(ミキサーの仕組み3、インプットセクション)

2009年07月18日 | PA勉強会
まずはモノラル/ステレオ入力チャンネルのセクションを見てみましょう

これらは縦長の1つの機械で、chごとに並んでいます。1つの縦長部品を理解すれば入力セクションはch数分だけあっても皆同じです。




信号の流れを理解しながら進めましょうね。

まずは一番上にあるのがゲイン調整部。前節で説明しました。もし入力が大きすぎて歪んじゃうような過大入力があると2のピークインジケーターが赤く光るので注意が必要、ゲインを下げましょう。

3のボタンには80と言う数字と斜めの線みたいなのが書いてありますね。これは80Hz以下をカットするという低音カットボタンです。ハイパスフィルタ(高周波だけ通過させるフィルタ)ともいいますし、ローカットフィルタとも言います。
使うのは低音が不要なch、あるいはボーカルのマイクで「もこもこ感」を消したいときに使用します。

4はイコライザ(EQといいます)。直訳すれば均等化装置になるのですが、この場合音質調整のことです。高音をよる増幅させたり、低音を絞ったり、あるいは多めにしたりします。
4つのツマミが有りますが一番上は高音部。一番下は低音部。真ん中の2つは、中音部なんですが、増幅させたりしぼったりする中音域の音の高さが変えられる用になっています。上から2つめで周波数を決めてその下のつまみで増幅/減衰を調整します。
12時の所に三角形のマークが有りますが、これは入ってきた信号に手を加えないことを意味します。EQででこぼこを作らないのでフラットなどといいます。


5はAUXセンドつまみ、AUX1とAUX2の2つの補助出力(ライブではステージモニターへの送り)への送り込みの大きさを変えることができます。
一時くらいの位置に三角形のマークがあります。ここへ持ってくると、ゲインを通して後作られた信号がそのまま0dB(つまり1倍)で流れていきます。

ここでちょっと話がそれます。

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プリフェーダーとポストフェーダー
について。
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AUX(オグジュアリ)センドは補助出力という位置づけになっておりますが、これまで、同じAUXセンドでも「ステージモニター用」と「エフェクト装置用」という設計上の違いがあって、っていう話を何度か書いてきました。この違いを説明します。

それにはエフェクト装置の接続について理解する必要があります。

AUXの信号の流れをもう一度見てみましょう。



出力の信号の流れは右向きに流れています。そしてそれぞれの交差点にはボリュームコントロールがあって、そのチャンネルの信号をどのルートに流すかを調整できるようになっていました。

実際にはエフェクト装置は以下のように接続されます。



エフェクトの矢印の端にリバーブ(響きを作る機械)というエフェクト装置を接続されます。ミキサー内でエフェクトが付加される仕組みは以下の通りです。(例として3chのメインボーカルにリバーブを掛けるとします)

1.3chにメインボーカルの声が入ってきます。
2.3chのエフェクトつまみをあげると声(オリジナル)がエフェクト装置側へ流れます。
3.エフェクト装置では声(オリジナル)をもとに声(リバーブ成分)をつくりだします。
4.声(リバーブ成分)は、別のch(例として5ch)に戻ってきます。
5.リバーブが必要な時は5chのフェーダーを操作し、必要ないときは下げます。

つまり、リバーブのかかった声は生の声(3ch)とリバーブ成分(5ch)の合成で作られるわけです。(リバーブは生の声をインプットしてリバーブ成分のみを生成・出力する設定にしておきます)

さて、このときに1つ問題が出てきます。
リバーブをきかせた状態というのは、生の声とリバーブ成分がある比率で合成されています。たとえば5:2で合成されていると、とてもいい状態だとします。
リバーブだけを入れたりきったりするのは5chのフェーダーで問題なく操作できますが、もし3chの声をフェーダーで下げたらどうなるでしょう。
リバーブに届けられる信号はフェーダーとは無関係なので、3chのフェーダーを触った途端に5:2の比率が崩れます。極端に言えば、3chのフェーダーを下げきってしまうと、客席にはリバーブ成分だけがワンワンと残ってしまうことになりますね。もちろん3chと5chを同時に両手で操作するとかしても良いのですがそれは流石に無理があります。
そこで、エフェクト送りに使うボリュームは、最下段のフェーダーとも連動させる仕組みが必要になるのです。3chフェーダーを下げると、これと連動して自動的にエフェクトに送られる信号も下がってくれるように。このようなAUX(エフェクト送り)ボリュームを「ポストフェーダー」つまり、フェーダー連動で送る補助出力と呼んでいます。逆に、連動しない物をPREフェーダー送りと呼んでいます。




AUXセンドには「プリフェーダー」というのと「ポストフェーダー」という機能が違う2種類のものがあります。プリフェーダー式AUXは客席向けボリュームフェーダーとは連動せず独立して送れるのでステージモニターに使用されます。ポストフェーダー式AUXは客席向けフェーダーと連動するのでエフェクト装置向けに使用されます。

一般にミキサーのAUXボリュームはプリフェーダー固定のものと、プリ/ポスト切り替え式のものとポスト固定のものがあります。

--------以上で話を戻します------

このページの一番上の絵で6番のボタン「PRE」は、このAUX2ボリュームをプリフェーダーにするのか、ポストフェーダーにするのかを決めるボタンです。

7番はEFFECTとなっていますが、これはポスト送り固定のAUXセンドボリュームです。このミキサーではエフェクト装置が内蔵されているのでEFFECTと記載されています。これを操作すると内蔵EFFECT装置に信号が送り込まれますが、最下段のフェーダとも連動します。

8番はPAN(パン)です。ミキサーは基本的にステレオで設計されているので、このチャンネルの信号を右寄りにするのか、左寄りにするのかをここで決めます。
PANは正式には現場ではパンポットといいますが、パノラマ・ポテンシオメーターの略です。

9はこのチャンネルの信号をFOH(客席向け信号)の横の出力ラインに載せるか載せないかを決めるスイッチです。フェーダーを下げても同じ意味がありますが一時的にミュートしたりするときに使います。
またFOHの横の信号には、別に2種類の流れが補助的に作られていてサブグループという出力ラインです。音のバランスはFOH用フェーダーに依存します。サブグループは複数のchをまとめて操作したり、2系統に分けてFOHを出したりするときに使用します。このラインへの入れ込みをONにするのが11のスイッチです。

10はPFL(プリフェーダーリスン)で、ゲイン調整の時とか、特定のchをモニタリングするときに使用します。フェーダーに連動せずにメーター及びヘッドホンのほうへ信号を送ります。このようにオペレーターがチェックをするために作られ、PFL信号が送られる先の部分(つまりメーターとかヘッドホンモニタ部分)のことを「コントロールルーム」と呼んでいます。これについてはマスターセクションの解説で再度説明します。

12はFOH用ボリュームフェーダーですね。これもよく見てください。0dBの位置がありますね。ここにフェーダーを持ってくると、1倍で横のラインに流れていきます。高音質で次のセクション(マスターセクション)に送る為にはこの0dBの近くでフェーダを制御するような意識をもつことが重要です。そして上げきると+10dBで、下げきると-無限大つまり出力ゼロになります。ミキサーは0dB=0.775Vで設計してありますが、実は+15dBとか+20dB入れても歪みません。ピークランプは20dB超えくらいで付くように設計されているようですね。この上限の余裕の事をヘッドルームといいます。高級なミキサーではこのヘッドルームが広い設計になっています。

以上でモノラルチャンネルセクションの解説を終わります。ステレオセクションはこれとほぼ同じなので割愛します。8のPANはバランスという言葉に変わります。



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