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トンデモ八分@謎学の日々

気が向いた時に、いろんな謎や秘密を考えてみたい(とうぶん仮)

靖国について(その2)

2005-06-18 17:00:07 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
先日の自民党古賀氏(日本遺族会会長)の「首相の参拝は近隣諸国への配慮が必要だ」という発言に対して、日本遺族会は「首相の参拝を求める方針に変わりはない」などとする見解を決めた。

Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 首相の靖国参拝要求の方針を堅持、日本遺族会が見解
『遺族会内から「首相の参拝を求める方針を変えたのか」といった問い合わせが相次いだことを受けたものだ。
遺族会の見解は、古賀氏の発言を事実上、軌道修正したもので、<1>首相の参拝を求める方針に変わりはない。参拝を継続・定着させるためにも、近隣諸国への配慮が必要だ<2>靖国神社に代わる追悼施設の設置は認めない<3>A級戦犯の分祀(ぶんし)は靖国神社自身の問題であり、会が口を出すべきではない――としている。古賀氏は支部長会議で「心配をかけた」と語ったという』


遺族会の見解は従来の主張をあらためて確認したものだが、この読売のニュースでは、古賀氏が先の発言を反省して、従来の遺族会の見解に従ったようにも受け取れる。しかし、別の日経新聞の記事ではこのように配信されている。

日経新聞18日付 - 古賀氏「首相の靖国参拝継続のため近隣諸国に配慮を」
自民党の古賀誠氏は17日、会長を務める日本遺族会が都内で開いた都道府県代表の会議で「小泉純一郎首相の靖国神社参拝を継続するためにも近隣諸国への配慮が必要だ」と強調した。11日の幹部会での「近隣諸国に配慮し理解してもらうことが必要」との発言が参拝自粛論と受け止められ、遺族会内で批判が相次いだことから釈明したものだ。
古賀氏は自身の発言について「私の信念だ。(遺族会の立場と)違うというなら進退を考える」と表明。特に異論は出なかった。
遺族会が17日公表した報告書は、11日の幹部会を「非公式の会合」と位置付け、古賀氏の発言も「本会の見解をとりまとめたものではない」と明確にした。


要するに、古賀氏は反省も軌道修正もしていない。インターネットの配信記事では省略されているが、『靖国問題では近隣諸国との「友好」と「配慮」は意味が全く違う』という古賀氏への批判意見も出ているという。
もっともな意見である。
靖国問題を問題化して利用する近隣諸国(つまり中韓両国、特に中国)に対して、配慮するという議論が、靖国問題の問題そのものの解消には結局つながらないことは、多くの意見が指摘している。
ましてや日本遺族会がこれに率先して利用されることに、内部から批判がでないわけがない。
古賀氏は、自らが会長である立場を悪用し、反小泉の政治的意見として発言したのだろうが、「配慮」という一見聞こえの良い言葉によって、ものごとを曖昧にし、中国の反日戦略に利するかたちで自分の政治的立場を強めようとする古賀氏のやり方に対し、もっと批判すべきだろう。
ましてや『古賀氏は自身の発言について「私の信念だ」』といっているのだから、古賀氏が“親中国・反日戦略政治家”であることを、自ら表明したに等しい。
これも、中国の日本における政治浸透工作の成果だろうか、というのが単なる冗談やトンデモ話ではないように思えてくるのも、不愉快というか不気味ではある。

支配者の横暴

2005-06-14 15:06:36 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
きょう配信されたこんなニュース。
Sankei Web 国際 米MS、中国でブログ検閲に協力 「自由」「民主主義」など禁止(06/14 11:38)
『AP通信によると、米マイクロソフト(MS)は13日、インターネット上で自分の意見などを書き込めるブログの開設サービスの中国版「MSNスペース」で、中国政府に協力して書き込みを検閲していることを明らかにした。
AFP通信のインターネット版によると、「自由」「民主主義」「人権」「台湾独立」などの言葉を含む意見を書き込もうとすると、「それらの言葉は禁止されています。他の言葉に置き換えてください」とのメッセージが表示。中国政府にとり好ましくないテーマの書き込みはできない仕組みになっているという』


これは酷いニュースだ。
自由、民主主義社会から生まれ、膨大な利益をあげてきたはずのマイクロソフトに対して、その「自由」や「民主主義」、「人権」あるいはビジネス上の「モラル」などを問う以前に、ウェブにおける情報やコミュニケーションとは何か、をあえて問いたい。
これは、武器商人に“武器”とは何かを問うのに等しい。
つまり、扱っているビジネスの本質を問いたいのである。
武器商人だったら、「簡単に言えば人を殺す道具」というだろう。
ウェブビジネス、ましてやブログならば“誰でも”“自由に”“情報・コンテンツを発信し、やりとりする”が本質であって、そのあとに、社会的モラルに照らした規制が生じてくる。ただし、その自由な情報やコミュニケーションを扱う人たちに、事前に規制の意味や内容を理解して承認してもらう必要がある。
そのうえで、ウェブビジネスは成立している筈だ。
もっといえば、基本となる本質と、これまでに築き上げられてきたスタンダードなルールのもとに、ビジネスを成り立たせている筈だ。
ルールを無視すればモラルに反して評価は低下する(場合によっては犯罪になる)し、基本となる本質とは逆となることを行えば、自らの(あるいはそのカテゴリー全体の)よって立つものを破壊することになる。
例えば、すぐに人を死なせてしまう危険なクルマをつくっても売ることはできないし、人を乗せて走らなければクルマではない。だからクルマは「このようなルールのもとに、こういう性能や技術に即してつくられています」ということがあらかじめ公開されている筈である。

今回のマイクロソフトのビジネスは、いくら世界のスタンダードなルールとは異なるルールの国の、独裁的な支配者の要請に基づいて行われたにせよ、あまりにも酷いビジネスだ。
自分のブログに「自由」「民主主義」「人権」などと書き込んだ途端に、勝手に消されてしまうことを想像してほしい。
しかも、それを、パソコンの世界を圧倒的に支配し、今後の情報社会の支配を目論んでいるグローバル企業が協力して行っていることを。
自らが、その「自由」や「民主主義」のもとに商売を成長させてきたというのに、中国という異文明の社会でのビジネスだからといって、それを真っ向から否定する自己破壊的な行為を行っていることを。

中国は確かに13億もの多すぎる人口を抱えた成長市場であり、そこでのビジネスに過大な期待や目論見を持つことはわかる。どんなビジネスも、常に巨大な市長市場へと流れていく。
しかし、中国が自由や民主主義を否定する一党独裁国家であることから生じる「チャイナリスク」を、あまりにも軽視しすぎてはいないか。
市場性ばかりを重視するあまり、政治的、社会的な“いびつさ”“横暴さ”にすり寄ってはいないだろうか。
日本でも、世界制覇を目論む某クルマメーカートップの経団連会長が、やたらにこの市場に媚びた発言をする。
いくらその分野で、世界制覇や支配者となることを目論もうと、企業が寄って立つ自由や民主主義を否定してまで、横暴な行為を行ってはならないのではないか。“カネのためなら何をやっても良いわけではない”とは、あまりに使い古された、しかし大切な言葉だ。

マイクロソフトはすぐに、この検閲ビジネスから手を引くべきである。
それは単に、自国であるアメリカや自由主義社会のアイデンティティを否定し、人権政策などに反するからばかりでなく、自分たちが自分自身を否定をしているからであり、行った行為の重大さを反省するためにである。

攻勢をかける中国

2005-06-08 16:55:40 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
国連改革と日本の常任理事国入りをめぐる動きがいよいよ活発化し、中国が攻勢に出てきた。

yahoo!ニュース - 読売新聞 - 国連改革、中国が「地域内の合意」求める文書公表
『中国政府は7日深夜、国連改革に関する立場を示した初めての文書を公表し、焦点の安全保障理事会改革について、「地域内の合意」の優先的な考慮を求めた。
日本を名指ししてはいないが、事実上、中国の合意なしに日本の常任理事国入りは不可能だとの姿勢を、文書の形で明確にしたといえる。中国はすでに、歴史問題を理由に日本の常任理事国入りに反対する意向を示している。
文書は、安保理改革で尊重すべき「原則」として、<1>加盟国の3分の2以上を占める発展途上国の代表の増加<2>中小国の安保理審議への参加拡大<3>地域バランス維持――などを列挙。その上で、改革案は、「まず、関係する各地域内で合意に達しなければならない」と強調した。(以下略)』


yahoo!ニュース - 産経新聞 - 日本の常任理「絶対阻止」 中国、途上国に圧力 枠組み決議案提出 来月以降に
『(略)共同提案国に同意してくれる国が思いのほか集まらず、頼みの米国からも先送りを求められ、決議案の提出時期を目標としてきた今月中から七月以降に遅らせることになった。その陰には、日本の常任理事国入りを絶対に阻止しようとする中国のなりふり構わぬ“攻勢”がある。
(中略)
「イタリア、韓国、パキスタンなど常任理事国拡大に反対する『コンセンサス・グループ』がG4外相の招待に強く反発したのが原因」(国連外交筋)とされているが、実は中国が圧力をかけていた。
李肇星外相がナイジェリアのアデニジ外相らに電話をかけ、「G4が決議を強行しようとしていることは国連加盟国の団結に不利益をもたらし、発展途上国の利益を損なう」と表明。しかも、中国外務省は六日にその内容をホームページに掲載した。日本政府内では「まるでG4外相の招待を阻止したことを勝ち誇っているかのようだ」(外務省筋)との声が上がった。
政府・与党幹部によると、中国は政府幹部や在外公館の大使、公使、参事官、書記官を総動員して、枠組み決議案の採択阻止に向けた運動を展開中。特にアフリカ諸国や中南米諸国に対しては、経済協力をちらつかせながら、枠組み決議案を支持しないよう説得工作を強めているという。与党幹部は「中国の経済協力は、大統領宮殿や国会議事堂など大型のハコモノをつくるというのが大きな特徴。その国の指導者にとっては魅力的だろう」と語る。(以下略)』


はじめは韓国などの反対グループ=コンセンサス・グループに、G4反対の主導権を取らせ、G4グループの改革案提出、アフリカ諸国等への多数派工作、アメリカの日本の常任理事国入り賛成などの動きを見るや、なりふりかまわぬ日本阻止の攻勢に出てきたのである。
特に『「地域内の合意」の優先的な考慮』を強く求めるのは、アジア(東アジア)において日本と中国が同等の地位に置かれるのを絶対に阻止したい、中国の立場や思惑をよく表すものである。

一方国内では、河野洋平衆議院議長が小泉首相に対し、執拗に靖国神社参拝の自粛を申し入れている。
yahoo!ニュース - 産経新聞 - 首相、靖国で内憂外患 河野議長、参拝自粛申し入れ

河野洋平議長はハト派として知られるが、それ以上に筋金入りの親中派議員であることは周知の事実だ。
彼は、1994年のあの村山内閣、1999年の小渕改造内閣そして2000年からの森内閣で外務大臣を務め、その間、熱心に親中国政策をすすめてきた。特に、台湾前総統で親日家の李登輝さんの「訪日問題」では、中国の顔色をうかがってことごとく阻止し、2001年には心臓病治療のための訪日も阻止しようとした(幸い森総理の決断によりビザが出て訪日治療がはたされた)ことは記憶に新しい。
外務省内では、親米派官僚に対抗する親中派官僚のちからが増した。
また彼は外務大臣在任中に、北朝鮮に110万トンの米を送り、拉致問題解決への努力は怠った。
このようにゴリゴリ親中派の河野議長だが、彼にはもうひとつ、アマチュアスポーツ界に睨みをきかせる陸連のドンの顔もある。
あと出しジャンケンで、日本開催が有力視されていた2002サッカーワールドカップを土壇場で覆し、韓国が強引に共催へと持ち込んだ際、日本ではこのひとが積極的に日韓共催を提案したのである。

先日の中国・呉副首相のドタキャン帰国事件の当日の朝、しっかりと会っていたのはこの河野議長である。
中国共産党指導部から何が伝えられたのか、もう、なにをかいわんやだろう。
中国が対外影響力を行使するときには、その国の政界、経済界などに対し積極的に工作活動を行うのは良く知られるところだ。
おそらく中国は、河野議長や他のふ抜けた首相経験者が何を言おうとも、小泉首相が靖国参拝をやめようとしないのを見越しているはずである。
「小泉が参拝をやめないから、歴史問題を正視しようとしないから、日本は常任理事国になれない」という理屈を正当化するための環境づくりを行っているだけなのだろう。
一方では、町村外務大臣つぶしに動いている。
小泉首相が参拝をやめたら困るのは、実は中国なのである。もちろん、そのときには次の手、次の屁理屈を用意するだろうが。

さて、日本は中国・韓国・北朝鮮以外の国際的賛同をより多く集める努力をするだけである。
日本のよって立つ立場としては、東アジアの狭い地域に覇権をもたらす地域大国ではなく、あくまで世界全体の視点での国際的な影響力と責任を果たす国に、名実ともにならねばならないだろう。
その名分を与える常任理事国入りを、中国はなんとしてでも阻止したい。
だから、国際社会全体の賛同ではなく“地域内の合意”などという理屈を持ち出してくる。
あらためて敢えて言いたい。中国は靖国参拝問題をただの道具として利用しているだけであると。


明日から出張小旅行のため、次回更新はは来週になると思います。

活発化する中国の海洋軍事進出

2005-06-07 12:55:05 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
勝手にも中国が島ではなく岩だ(岩礁)と言っている、日本の領土「沖の鳥島」を囲む日本の排他的経済水域(EEZ)周辺に、再び中国の海洋調査船が出没し始めた。

『日本最南端の沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)周辺で中国が調査活動を再び活発化させようとしている。中国調査船は、昨年十一月に中国海軍の原子力潜水艦が沖縄県石垣島沖の日本の領海を侵犯、海上自衛隊の対潜哨戒機や艦艇に追尾されてから激減していたが、今年五月下旬に沖ノ鳥島周辺のEEZ近くの公海で二隻の調査船が相次いで確認された。こうした中国の動きは「日米が対中脅威認識を高めていることへの牽制(けんせい)」(政府関係者)との見方がでている』
産経新聞 - 中国また活発化 沖ノ鳥島沖に調査船 日米の脅威認識、牽制

海洋調査船というと、経済活動しかあたまにない日本では何か海洋資源でも探査をしているのか、と思いがちだが、産経の同記事は中国が水温調査を行っていることから、潜水艦の航行(作戦)に必要な調査であることを指摘している。
『中国側は、水深約四千メートルと深海の広がる同海域で調査船による水温調査を実施、潜水艦航行に必要な「水温分布」を収集しているとみられる。水温分布は「深度による水温の高低が音の伝わり方を変化させる。潜水艦が隠れる場所、探知可能距離など作戦に必要なデータを入手できる」(軍事専門家)という』

昨日付の当ブログでは、軍事大国の道を邁進する中国、特に防衛の名のもとに覇権的な対外軍事進出を行う中国の危険性について触れたわけだが、まさにこの沖の鳥島周辺での中国の活動は、その延長線上にある。
そもそも、日本の沖の鳥島周辺は中国にとっては遥かに離れた太平洋上にあるのであり、直接、領土や排他的経済水域(EEZ)が接しているわけでもない。
また、一時日本でも論議となったような、経済的命運を握る中国にとってのシーレーンなどがあるわけでもない。
一般のひとが考えれば、な~んにも中国には関係がないのである。
中国が沖の鳥島を岩だと言い出すのは、またまた日本へのいちゃもんかい、と思われるだろう。
しかし、本質はそれだけではない。

中国(中国共産党)の過剰なる防御意識は、伝統的な中華思想と深層で絡み合い、はた迷惑な拡張主義、覇権主義となって現れる、というのが小生の見方である。
中国の安全保障に対する発言にあるように、彼らは確かに防衛的な行動にのみ徹しているのかも知れない。
だが、彼らの防衛とは過剰な自己防御意識によるものだから、自分を守るためには防衛行動という名分のもとに果てしなく外部に進出していくのである。
産経の記事はこう指摘している。
『1996年の「台湾海峡危機」で米国は空母を急派し、事態を沈静化させた。
この教訓から台湾有事をにらみ、中国海軍はまず日本列島から台湾、フィリピンにつながる「第一列島線」より西の海域で潜水艦航行を活発化させ、制海権を握ろうとしているとの見方もでている。これを示す動きとして、五月末に中国の潜水艦が南シナ海で火災を起こす事態も発覚している』


沖縄は目の前だが、グアムやさらにハワイは遥か太平洋の向こうにある。
しかし、台湾は自国の一部であるとする中国からみれば、グアムの米軍も目の前に迫り、沖の鳥島周辺海域も軍事活動の重要なエリアになってくる。
中国の自己本位な理屈からすれば、日本からフィリピンをつなぐラインを自国の防衛ラインとするのは正当な戦略なのだろう。同盟関係にない外国の領土上に自分勝手に防衛ラインを引くなど、実にふとどきな話だが。
実際に中国は1995年に、南沙諸島で「ミスチーフ環礁事件」を起こした。
これは周辺各国(台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイに中国の6カ国)が領有権を主張している南沙諸島のなかで、フィリピンが領土としている「ミスチーフ環礁」を、いちばん遠方の中国が一方的に軍事占拠し領土宣言をした事件である。
海洋資源の確保も視野には入れているが、それよりも領有権が複雑化するエリアにおいて最も国防力の弱いフィリピンをターゲットに、軍事的なくさびを無理矢理打ち込み、橋頭堡を確保する狙いが強かったと考えられる。

かつて、明治維新以後、日本は東進南下するロシアに脅威を覚え、朝鮮半島にまで進出することは絶対に防ぐとの観点から、満州を中心とした防衛ラインを戦略とした。
また南方では、エネルギー資源確保を名目とした防衛ラインを考えた。
それが朝鮮併合や日露戦争、満州国設立、第二次大戦へとつながっていくことになる。
当時の欧米各国の植民地化攻勢に対抗する、まさに過剰な防衛意識が侵略戦争化していったわけである。
これが、いまの中国の(中国共産党の)過剰な防衛意識、拡張主義とどのくらい違うのだろうか。
中国が、現体制の防衛を過大に自己目的化し軍事大国の道を歩んでいることを、決して視点からはずしてはならない。

軍事大国の道を邁進する中国

2005-06-06 16:37:34 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
シンガポールで行われていたアジア安全保障会議(英国際戦略研究所主催)で、ラムズフェルド米国防長官は、中国の軍備拡大路線に強い警戒感を表明し民主化を求めたが、産経新聞は
『米国防総省が近く公表する予定の「中国の軍事力の年次報告書」で、中国の急激な軍事力の増強について、「通常脅威」の中で最も警戒すべき存在と位置づけていることが分かった』
との記事を掲載している。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 米国防総省の年次報告 中国の軍事力、最警戒 急激な増強 テロの脅威と並列

同記事では、
『2001年の米中枢同時テロ以降、中国が反テロ戦争への協調姿勢を示したことから、米政府が事実上看過してきた中国の軍事力増強について、ここにきて米政府は座視できない限界点に近づいてきたようだ。
米政府の反テロ戦は、主要な脅威としてテロ組織や武装勢力などが戦闘対象である「非対称戦」の中で展開されており、国家間が通常兵器で正面から衝突する従来型の戦争の想定は、米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)でも主要な課題とはされていなかった。しかし、中国の脅威は、冷戦構造時代終結まで主要な脅威であった「通常脅威」であり、米国がテロ脅威とともに、改めて中国という「脅威」と並行して対処する必要性に迫られている状況が明確に浮き彫りとなってきたようだ』
と、同時テロ以降イラク戦争にいたるまでの、反テロ戦争を主軸とした米国の軍事戦略がひと区切りを迎え、中国を“脅威”と明確に位置づけた戦略へと移行することが指摘されている。

周知のように中国の軍事力は、それまでの旧態依然とした数量だのみの人民軍と戦略核の開発・保持に基づく路線から、市場経済化、経済発展とともに通常兵器の近代化(お金がかかるからそれまでできなかった)に邁進してきた。
つまり、米国をはじめ民主主義各国に対抗し、台湾や周辺のアジア各国に脅威を与えられるに足る通常兵力の近代化であり、具体的にはロシア製の最新戦闘機の導入、中短距離ミサイルの整備、海軍の増強による海洋進出力の強化などである。
中国は北朝鮮などと同じく、いやそれ以上に湾岸戦争時の現代兵器の威力、彼我の違いに驚いたわけで、それ以降、ロシア製の最新兵器を金に飽かせて導入するとともに、ヨーロッパ製の最新兵器の導入に向け、策動してきたわけである。

今回のアジア安全保障会議で、中国の代表団・外交部亜洲(アジア)司の崔天凱司長は、中国の新しい安全保障観に関する説明の中で、次のように述べている。

『(略)中国は地域の中に排他的な戦略的利益を求めてはおらず、地域内における他の大国の戦略的存在や戦略的利益も排除しない。中国の最終目標は、各国との共存と利益共有だ。他の大国との協力プロセスにおいて、中国は協力、協調、対立回避の原則に従う方針であり、他の大国も同じであることを願う。 
地域の安全保障に対する中国のもう1つの重要な貢献は、終始一貫して防御型の国防政策を取っていることだ。中国は長期的な発展段階において、平和を必要とし、平和を追求しているだけでなく、将来的にたとえ発展したとしても、なお覇を称えず、不拡張、不侵略の政策を堅持する方針であり、これは平和と安寧を守る強固なパワーになっている。アジア地域の大国として、中国は近年、経済の安定的かつ健全な発展を維持しており、総合的な国力は大幅に向上した。中国のより大きな願いは、現在の安全保障問題に対する科学的な理解と責任ある行動を自らが取ることで、地域の平和や安寧、吉祥、平穏に貢献することだ』
人民網日本版 - 中国の新たな安全保障観 アジア安全保障会議

一見、穏当な安全保障戦略のように思えるような説明だが、その言外には中国流の自己本位的解釈を踏まえなければなるまい。
「終始一貫して防御型の国防政策を取っている」だとか、「覇を称えず、不拡張、不侵略の政策を堅持する」だとかの説明は、ひとたび“中国が脅威にさらされている”や“それは自国内の問題である”などの理屈によって、限りなく拡大解釈され矛盾した自国本意の行為を行う危険性を秘めている。
第二次大戦後のどさくさに紛れて行った、チベット侵略・併合はよい例である。
また、あきらかに体制も戦後60年歩んだ道も違う台湾を、内政問題として軍事力をもって併合しようとする意志を中国は捨ててはいない。
『「どの国家も中国に脅威を与えていないのに、なぜ増強を続けるのか」と疑問を呈した』ラムズフェルド国防長官に対し、『質疑応答の中で中国代表団トップを務める崔天凱外務省アジア局長が「あなたは中国が他国から脅威を受けていないと本当に信じているのか」などと反論』したのは、中国独特の対外脅威論、国防意識に基づいているのだろう。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - アジア安保会議 中国軍拡、広がる懸念 北の核技術、拡散指摘も

中国は自国の利益と権威を守るために、(被害妄想にも思えるほど)必要以上に対外的脅威を言い立て、それをバネに政治力と軍事力の増強をはかろうとする国なのである。

中国の軍事力増強と対外的脅威論が、また新たな一歩を踏み出そうとしている。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 中国軍、キルギス駐留検討 独立運動の国内波及阻む
『中国側は、隣接するキルギスやウズベキスタンで起きた市民暴動が、中国からの分離独立闘争の続く新疆ウイグル自治区に飛び火することを強く警戒。反テロやイスラム原理主義勢力の封じ込めという名目で、中国軍のキルギス駐留が実現すれば、中国の中央アジア地域への影響力はさらに拡大するとみられる』

実力を備えた軍事大国へと邁進する中国。
一党独裁の非民主主義独裁国家であるばかりでなく、国防のもとに自己本位の覇権を押しつける、真に軍事大国化する中国を、単に経済関係や市場性だけで見てはならない。

韓国は反日で仲介役?

2005-06-01 14:13:34 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
誰もがわかってはいたことだが、韓国・盧武鉉大統領のバランサー論は対日戦略であることを同大統領が初めて明言した。

『韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は31日、韓国が北東アジアの均衡者(バランサー)の役割を果たすとした新たな外交構想について「日本の軍備を合法化、強化する論議が盛んに進行している中で準備した」と明らかにした。日本が右傾化しているとして、日中の覇権争いなどを念頭に韓国が地域の仲介役になると強調したものだ
日本の植民地支配時代を中心に日本に協力した「親日反民族行為」の調査委員会メンバーとの懇談で語った。均衡者論の対象を盧大統領が明言したのは初めて。同構想は日米韓連携の枠組みを揺さぶるとして日米だけでなく韓国の保守層にも懸念が強い。盧大統領は「北東アジア全体を見極め、今後の方向はそうでなければならない」と均衡者論の必要性を力説した』
NIKKEI NET:均衡構想は日本の軍備強化が念頭・韓国大統領が明言

当ブログでは何回も取り上げたテーマだが、今年に入っての韓国のバランサー論と親北親中・反日反米戦略(らしきもの)の強化には、ますます東アジア情勢における不安定要因としての危惧を覚える。
バランサー論=均衡論=韓国が仲介役になるとは、一見もっともらしい戦略のようにも思わせるが、それが日本をターゲットとした“反日に支えられた”ものであることを自ら主張しているのだから、その立場でバランサー=仲介役となるとは、もはや矛盾を超えて意味不明である。
当面いてもらわなければ困るがうざったいヤツ、排除したいヤツ=アメリカを遠ざけつつ、ラブコールを送る兄貴=中国や大切な同胞=北と、存在する事じたい面白くなく大嫌いなヤツ=日本との仲介役となると言っているのである。誰がそんな国や指導者に均衡役をまかせるだろうか。

この大統領は、こんなことでも世界を当惑させている。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 韓国大統領「新聞権力は規制必要」 世界新聞協会会長が真っ向対立

これは、ソウルで開催されている世界新聞協会(WAN)総会で、
『新聞を「言論権力」として市場規制の必要性を主張する盧武鉉・韓国大統領の演説と、これを「民主主義国家では常識的には理解しがたいことだ」と批判するWAN会長の開会演説が真っ向から対立し、注目されている』
というものだ。
これまでも周知のように、現政権下の韓国ではテレビメディアが盧大統領べったりであり、新聞メディアは逆に盧大統領に対しかなり批判的である。(それに加え、盧大統領を支えてきたのは主にインターネットを情報メディアとしたポピュリズムであるが、これについては、またいずれ考えてみたい)
この状況に対し盧大統領は「言論改革」という名のもとに
『韓国では最近、大手新聞による市場支配を規制するため新たな新聞法が制定された。それによると最大部数の新聞は市場占有率が30%を超えてはならず、上位三紙も合計60%までと制限されている』
という政策を行っている。
つまり、市場における自由競争を規制してまでも新聞メディアの体力を弱め、その発言力を封じ込める方向に持っていこうとする政策といって良い。

批判勢力=メディア権力を押さえ込み、国内世論をコントロールし自らの権力をさらに強化したいという考え自体、民主主義国家とはもはや言えないが、それを世界の新聞メディアが集まる世界新聞協会(WAN)総会でわざわざ
『「言論権力の乱用を防ぐ制度的装置と言論人の倫理的姿勢、および節制がきわめて重要だ」として、国家や政治権力ではなく言論の持つ力に対する“懸念”を強調』
したのだから、もはや脳天気を通り越して、民主主義や自由主義に重大な挑戦状を叩きつけたとしか言いようがない。(小生は個人的には、韓国も民主主義国家ではないのではないかと疑っている)
その韓国新聞メディアは、野党とともに盧大統領の「Sプロジェクト(西南海岸開発)」を巡る疑惑に対してキャンペーンを張っているが(韓国は疑惑が多いよねぇ)、
朝鮮日報 - 野党3党「行淡島疑惑、大統領自ら釈明すべき」
その朝鮮日報に30日付でこんな記事があった。
朝鮮日報 - 大統領府広報首席「盧大統領の外交戦略はtit for tat」

『趙己淑(チョ・ギスク)大統領府広報首席は29日、記者たちに会って盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の外交政策は「tit for tat(TFT・応酬)」戦略だと長く説明した。盧大統領が外交を国内政治に利用するといった指摘に対する反発のように見える。
政治学者である趙首席は、TFT戦略は最初は協力し、その後は相手側の前の行動をそのままなぞる戦略だとし、紳士的であること、必ず報復すること、行動をはっきりさせること、容赦することが4原則だと述べた。
趙首席は「盧大統領が03年訪日した際、未来志向的関係に言及したが、当時支持率が底を打った時だった」とし、「当時、日本に対する『協力作戦』は支持率に関係なく行なわれた」と述べた。
また、「最近盧大統領が日本に対し強硬な発言をした際は、これは支持率が上昇していたため、支持率を高めるための特別な努力が必要でない時だった」と述べた。
(後略)』

これもまた意味不明で、よく理解できないところもあるのだが、要するに外交政策に矛盾や場当たり的なところが見られても、これは「TFT戦略(応酬戦略)」によるからであって、時には相手に(日本とかね)合わせたり容赦したりするように思われても、最後にはキチンと報復してカタをつけますぜ、ということなのだろう。
そういえば、販売・営業活動の方法論に「応酬話法」という、お客の話を聞いているふりをして話を合わせて言わせるだけ言わせて、最後にはキチンと買わせてカタをつけるというのがあるのだけれど、それに近いことなのだろうか。(まるでこちらが望んだかのように、でも実は強引に高額商品を買わされてしまったひと、いませんか)

ちなみに「tit for tat」とは、英語辞書では
『しっぺい返しとして、仕返しに、売り言葉に買い言葉で:He answered their insults tit for tat. 売り言葉に買い言葉で彼らの侮辱に言い返した』(ランダムハウス英語辞典)
という意味となっている。
つまり「TFT戦略=しっぺ返し戦略、仕返し戦略、売り言葉に買い言葉戦略」ということだろうか。
なるほど、こちらのほうがわかりやすい。

まあ、「バランサー戦略」でも「しっぺ返し戦略」でもどちらでも良いのだが、狙いは日本なのだから迷惑な話ではある。
ものの売り込みなら近づかなければ良いのだが、近隣国との外交ではそういうわけにはいかない。
韓国国内でなんとかしてほしいものだが、それも当面のぞめない。
もはや、ご近所の困った大統領というか、あえて“危険な指導者ふたり目”と言っておこう。

ロケットの国

2005-05-31 12:34:56 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
久しぶりに毎日新聞が、らしいニュースを配信しています。
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <北朝鮮>ロケット初開発は朝鮮と主張 1300年前に

『【北京・西岡省二】「世界で最初のロケットは朝鮮で製造された」。北朝鮮の朝鮮中央通信は30日配信の記事で、朝鮮半島で少なくとも1300年前に「ロケット」が開発され、実戦使用されていたと主張した。
火薬の入った筒をつるし、火を付けて発射する方式。「現代的機能を備えたロケットとは比較できないほど単純なものだが、原理は同じだ」と説明し、北朝鮮こそが「ロケットの元祖」と強調した。
同通信によると、高句麗時代(紀元前1世紀後半~668年)に「クァンフィ」と呼ばれ、7世紀ごろの唐との合戦で威力を発揮した。高麗時代(918~1392年)には「ファジョン」の名前で知られ、大量生産されて「国防上、主要な場所に配置されていた」としている。
核問題を巡る6カ国協議が暗礁に乗り上げ、国際社会での孤立化が進む北朝鮮。同通信は「ロケットのすべての属性を備えた世界最初の『ロケット』は、朝鮮民族の知恵と創造的才能、愛国心を示す貴重な歴史遺物だ」と結んでいる』

なかなか興味深いので、記事全文を引用してしまいました。
ちなみに『核問題を巡る6カ国協議が暗礁に~』という一文と最後の部分のつながりは、僕には意味不明です。ここだけ毎日の記者が挿入した文章なのでしょうが、入れれば良いというものではありません。

ロケットというか、火薬等の燃焼を推進力にした兵器の起源は、僕たちの理解では中国だと思っていました。
そう、あの日本を襲った蒙古来襲(元寇)でモンゴル軍が使った「火矢」と呼ばれるものです。この「火矢」は、実は中国・宋の時代、モンゴル軍が宋の首都(現在の開封)を包囲した戦いに(1232年)初めて使われたという記録が残っているそうです。
ロケットのルーツ
その後、モンゴルが中国を征服し西へと拡張していくとともに、ロケット(のようなもの)も世界へ広がっていきます。

1379年の当時のイタリアの戦争でもロケットが使われたました。
ロケットという言葉の語源は、このイタリア語:ロケッタだそうです。ロケッタとはイタリア語の「糸巻器(Rocchetto)」からきているとのことです。
ロケットの古代史

同じく14世紀の中国・明では「飛火槍」という武器が使われています。
ジャンヌダルクの時代、オルレアンの防衛戦(1429)でイギリスと戦ったフランス軍には、ロケット部隊があったそうです。
日本では関ヶ原の戦(1600)に備えて、徳川軍が350本のロケット弾を輸入したという記録が、オランダ船リーフデ号の積載荷物の記録に残されているそうです。
18世紀には、東インド会社(イギリス)に抵抗するインド軍がロケットを主力兵器として使い、イギリス軍を苦しめます。 このイギリスが開発したのがコングレーブロケット。ナポレオン戦争やアメリカ独立戦争、ワーテルローの戦いなど19世紀の著名な戦争で活躍しました。

と、簡単にロケットの起源史を見てみたわけですが、ロケットのルーツが東アジアにあったのは間違いないことです。
しかし、その最古のルーツが北朝鮮にあったのかどうかはわかりません。
『朝鮮半島で少なくとも1300年前に「ロケット」が開発され、実戦使用されていたと主張』しているのですから、8世紀初頭には北朝鮮で開発されたということなのでしょう。
良いですよ。ロケットのルーツは北朝鮮にあった、ということで。自慢して下さい。

朝鮮半島のひとたちは、良く、◯◯の起源はわれわれ国だ、と主張したがります。
こう主張することが、ほとんどアイデンティティになっているかのようです。
アメリカのテキサスでは、ジョークで「何でも世界一のものはテキサスにある」というのがありますが、まぁ同じようなものです。
日本にはこういったメンタリティはあまりないですね。良くわかりません。
もうひとつ、今この時期に「ロケットのルーツは北朝鮮」と主張するほど、北朝鮮にとってはロケットが重要なものなのでしょうね。
瀬戸際外交や恫喝外交の切り札にする、われわれ人民の求心力の源泉にする、重要な外貨獲得商品にする、など北朝鮮にとってのロケットの存在は大きいのでしょう。
重要な外貨獲得商品ということではニセ札や麻薬なんかもありますから、ニセ札も実は北朝鮮の発明である、と発表したら良いかもしれません。

朝鮮半島のひとたちが、いかにわれわれ国やわれわれ民族を自慢したいか、については面白いサイトがありましたので最後に紹介しておきます。興味がある方は訪れてみて下さい。
朝鮮民族(韓民族)は優秀民族

本当のことを言われると、ひとは怒る

2005-05-27 12:10:46 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
谷内次官の「米は韓国を信じていない」発言。
案の定、いやそれ以上に韓国政府は過剰に反応した。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 【潮流】「米は韓国を信じていない」谷内次官発言

『日本側は一言でいって戸惑いである。外務省首脳は「これからは非公式の率直な会談は一切できなくなる」と不快感を表明している。いまの日韓、米韓関係を象徴した波紋である。日韓は双方の信頼関係に揺らぎがあるため、「必要以上に問題が大きくなった」(外交筋)側面が強い』

まさにその通りなのだろう。
現在、韓国が日米よりも中国・北朝鮮寄りにいることは、この間の状況や報道を見ているひとならば誰でも知っている。テレビ番組のニュース解説でも、そのように説明した解説委員はいる。
谷内次官の発言が、場と相手に相応しいものだったのか、ナイーブな状況ではなかったのかどうかはわからない。
しかし韓国では、まずテレビで騒ぎ出し、それが韓国政府の過剰反応につながったということである。韓国テレビメディアは、盧武鉉政権の太鼓持ち化しているようだから「日本の次官がこんなこと言いましたぜ」となったのだろう。
韓国メディアがすべて冷静さを失っているわけではない。

朝鮮日報社説 - 「信頼できない韓国」を直視せよ
『政府が谷内事務次官の発言に対し、その真偽のほどを明らかにするのではなく、「どうしてそんなことを言ったか」と責めるのは問題を解決しようとする姿勢ではない。
韓米日の関係がここまできた根本的な理由は、この政権が設定した国政の方向にあるだけに、すぐに原因の治療はできないだろう。
とはいえ、北朝鮮の核問題が差し迫った時点で、韓国が核関連情報を依存するほかない国によって「韓国は信頼できない」、「韓国に情報を提供できない」といわれる状況に対しては、政府が緊急の処方箋でも設けなければならない。
北朝鮮の核問題を解決するなら、否応無しに米日との協力は不可欠だ。そのためには、米日との協力体制が現在どういう状況に置かれているかをありのまま直視する姿勢が必要だ。
韓米日の協力体制に重大な問題が生じたことは相手国も知っており、国民の皆も知っていることなのに、この政権側の人たちだけが「問題なし、うまく管理している」と主張している。これで済まされる問題ではない。
この政権のために働く人のなかにも、状況の深刻性を感じる人は確かにいるはずだ。そうした人々は国が重大な局面に置かれた時点で一言の直言もできないとすれば、いったい何のため、そのポストに就いているのかも聞きたい』

引用が長くなったが、韓国の代表的新聞メディアが『韓米日の協力体制に重大な問題が生じたことは相手国も知っており、国民の皆も知っていることなのに、この政権側の人たちだけが「問題なし、うまく管理している」と主張している』と書いているのだから、(一部まともに状況を理解している人だけかも知れないが)韓国内では良くわかっているのである。

ひとは、本当のことを他人からズバリ言われると、過剰に腹が立ち、怒る。
過剰に反応するのは、それだけ、一方では後ろめたさや弱点があるからである。
ただ、国と国との関係において、そんなあまりにもベタベタの反応は見苦しい。
本当に大丈夫なの?この、おこちゃま国、と世界から見られても仕方がない。

東アジアの左翼民族主義~つづき

2005-05-25 15:08:18 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
中国、呉儀副首相のドタキャン問題については「鳥インフルエンザの対処のため」などというデスインフォメーションもあったが、結局は靖国参拝問題についての日本の「内政干渉」発言に対する反発であることを自ら表明した。
『中国外務省は二十三日夕、「重要な緊急公務を処理するため」との報道官談話を出したが、数時間後、孔泉報道官の談話で「日本の指導者の靖国神社参拝に関する発言」を批判した。その談話では、副首相帰国の理由との指摘は避けていたが、孔報道官は二十四日午後の記者会見では、名指しは避けつつも小泉、武部両氏の「靖国参拝批判は内政干渉」との発言を手厳しく非難した』
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 中国副首相、突然の帰国 「靖国発言」が原因 報道官、対日強硬に転換

中国政府は自身の行動に際して、よく独善的な言外のメッセージを込めることが多いが、今回の行動は、つまりは、「(自分の利益につながる)日本との経済関係は発展させても、(自分の意にならない、意に沿わない)政治関係は強硬な態度にでますよ」ということなのだろうと、小生は思っている。
だいたい「愛・地球博」の中国デー出席が目的だっったわけで、経産省所管のトヨタ万博+経団連での講演、会談に最大の狙いをおいた訪日だったのである。
本来なら目的をこなしたあと、日本政府、小泉首相とは儀礼的な会談を持てば良かったのだが、(直接的表現ではないにせよ)「内政干渉」非難につながる発言があったあとで、あえて藪の中に入って、中国国内や政権内で立場を悪くするような言質や雰囲気をつくられることを勝手に恐れたのだろう。
先の記事でも
『中国側が今後、対日攻撃を激化させた場合、日中関係全般に影響が及ぶ可能性もある。ある外交筋は、胡錦濤政権が愛国主義教育を求心力にしている点に不安を示しつつ「中国にとっても利益の大きい日本との実務関係への影響は限定的ではないか」とし、「政冷経熱」が続くと述べた』
と結んでいるが、「経」で“ラブコール”を送り「政」で“見下し押さえつけようとする”のは、中国政府の得意とするところである。
問題なのは、対日本に関してはそのベースに歴史認識であるとか愛国主義教育を置いて、自国民をコントロールし、日本に揺さぶりをかけようとする戦略の危うさである。

昨日のブログで取り上げ、書ききれなかったこの記事を再掲する。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 韓国教育界で親北・左傾化? 教育担当大統領秘書官に元全教組幹部
『韓国の盧武鉉大統領はこのほど、教育政策を担当する大統領教育文化秘書官に教員労組「全教組(全国教職員労組)」の元幹部、金進経氏(52)を起用した。「全教組」は韓国版・日教組といわれ、近年、韓国の教育現場で親北朝鮮および左傾化教育を進めているとして、保守派などから強い批判を受けている。「全教組」結成の主役の一人といわれる金氏の秘書官起用によって、韓国教育界でさらに「全教組」の影響力が広がり、左傾化が進むのではないかと懸念する声が出ている』

韓国の大統領は、日本で一般に考えられている以上の独裁的な権限を持つといわれている。
そして今回、この『「民族」や「民衆」を強調する教育観から“親・北朝鮮的”とみられている』という金進経氏が「教育担当大統領秘書官」に起用されたわけだが、
『大統領秘書官は大統領側近として時には閣僚以上の力を持つが、教育担当はこれまで主に教育省などの官僚が任命されてきた。教員労組出身はもちろん初めてで、左派・革新勢力主導といわれる盧政権の性格を象徴的に物語る人事として注目される』
ということである。

産経の記事タイトルでは「親北・左傾化?」と疑問符つきで紹介されているが、まさに盧武鉉政権の「左翼民族主義」的性格を象徴する人事なのだろう。
これまでわたしたちは、“民族主義=右翼または保守派”という図式が一般的にあたまにあった。
実際、中国や北朝鮮が日本を批判し揺さぶりをかけるときには、“日本の一部右翼の民族主義的発言や行動”などという表現を用いる。
だが、いま、東アジアの中国・北朝鮮、そして韓国において、政治権力者が国と国民をコントロールしている(しようとしている)図式は“左翼・民族主義”なのである。
本来、「左翼」「右翼」という位置づけは、近代資本主義国家ないしは民主主義国家における存在だろうから、この際、東アジアのこれらの国においては左翼という言葉は意味をなさないのかも知れない。
韓国においては、すでに政権党や対立する保守党などの政党名から「自由」や「民主」、「共和」や「革新」といった政治的立場を表現し、国際的に通用する一般名称を消し去っている。
盧武鉉の政党であるウリ党は正しくは「ヨルリン・ウリ党(開かれたわが党)」であり、ほとんど国際的に通用するような政治的立場を表現していない。あえて、うがって解釈すれば「ヨルリン=開かれた=左翼・左派」「ウリ=われわれ=民族主義」の党ということになるのではないだろうか。

韓国のこんな記事もある。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 盧武鉉政権 利敵団体、訪朝を許可 検察の反対“無視”
これは、
『韓国政府が、法務当局の反対にもかかわらず、“利敵団体”に指定されている親・北朝鮮系の学生組織「韓総連(韓国大学総学生会連合)」の幹部ら学生多数の北朝鮮訪問を許可していたことが明らかになった。一行は北朝鮮の金剛山で北朝鮮の学生組織と集会を開き“反日共闘”などを誓い合っている』
という25日付の記事だが、よく“右翼”新聞と非難されている産経新聞の記事ばかりを引用したので、韓国・朝鮮日報の社説も引用しておく。
朝鮮日報社説 - 利敵団体の訪朝が南北関係にプラスになるとは
『統一部のこうした決定は、韓総連に対する最高裁の判決とは相反するものである。最高裁が98年韓総連を利敵団体と規定した理由は、韓総連が「北朝鮮の対南赤化統一路線に追随している」と判断したためだ。
(中略)
大韓民国は最高裁を頂点とする「司法政府」と大統領の頂点とする「行政政府」に分けられる国家ではない。統一された単一国家だ。従って大韓民国政府は一致した意志を持っているはずだ。
にもかかわらず、最高裁は韓総連を利敵団体とし、統一部はその利敵団体代表の訪朝が南北関係の円満な進展の役に立つだろうと言っている。国がこのような有り様で大丈夫だろうか』

司法と行政の意志を、二元論~同一論で捉える単純さ(司法と行政の意志が統一された国家というのも、それはそれで怖いよね)はともかく、韓国内でもこのように批判的な論調が出ている。
このような韓国・盧武鉉政権の「“親北”左翼・民族主義」路線は、どこまでいくのだろうか。
北朝鮮は言うまでもなく、中国、韓国の左翼・民族主義が、教育をもとに国民をコントロールし、対外的には反日をバネとするのであれば、日本にとっては迷惑このうえない話である。
これからも、この東アジアの左翼・民族主義を注視していかなければならない。

東アジアの左翼民族主義

2005-05-24 13:53:26 | きょうの新聞ナゾネタ(不定期)
中国の呉儀副首相が、外交ルールを無視して一方的に小泉首相との会談をキャンセルし帰国したことについて、さまざまな報道がなされている。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 中国副首相、異例の会談中止 「外交ルール無視」 対中姿勢強める構え

呉副首相のこの国際的なマナーを蔑ろにするルール無視の行為に対しては、不快感が広がるとともに、その理由についてもいろいろと憶測が伝えられている。
一般的には、靖国参拝問題についての中国側の児戯にも等しい戦術とみられ、キャンセル~帰国前には親中派の河野洋平衆議院議長や、いつも国益と言いながら自社益誘導しか考えない奥田トヨタ経団連会長と会っているわけだから、まあそうなのだろう。
先の自公幹事長訪中時に、武部幹事長が中国側と靖国「内政干渉」論で激論を交わしたとも伝えられ、それへの対抗措置と見る向きもある。
また、呉副首相本人が「急な公務が生じたため」が理由としたとのことだが、それについて、実は中国国内で鳥インフルエンザが発生したため、その処理のため急遽帰国したとの説もある。
Yahoo!ニュース - サーチナ - 呉儀の「重要公務」、鳥インフルエンザの可能性も

どの理由が真相にせよ、中国はこれらの行為が重要な国際ルール違反であり、また、それがすぐに国際社会に知られることだということの重要性を、そろそろ認識した方が良い。

ところで今日の本題はこれではない。このニュースについてである。
Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 韓国教育界で親北・左傾化? 教育担当大統領秘書官に元全教組幹部

これは『韓国の盧武鉉大統領はこのほど、教育政策を担当する大統領教育文化秘書官に教員労組「全教組(全国教職員労組)」の元幹部、金進経氏(52)を起用した』という記事だ。
韓国「全教組」は、親北・民族教育を押し進める左派系の教員組合であり、その危険性は呉善花さんが著書「『反日・親北』韓国の暴走」で今の韓国の左翼民族主義の危険性を指摘している、まさにその担い手である。

きょうはこのテーマについて書きたかったが、つい中国のルール破り副首相について触れてしまい、うーん時間がない。
つづく、ということにさせてください。