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トンデモ八分@謎学の日々

気が向いた時に、いろんな謎や秘密を考えてみたい(とうぶん仮)

秘密は自分で見つけだす;「アマゾンの秘密」

2005-01-31 15:48:09 | 読書日記(不定期)
「アマゾンの秘密」(松本晃一著:ダイヤモンド社)という本を読んだです。
「アマゾン」といっても、南米のアマンゾン川の謎やそこに生息する不思議な生物の秘密を解明する、ということではなく、世界最大のインターネット書店~eショップサイトamazon.comの日本での立ち上げに参加した著者が、それを通じて見聞・体験したアマゾンドットコムの様々な先進性や、外部では知られていない秘密について書いた本である。
そこに書かれている著者の姿勢は、一貫して、暴露的な秘密の解き明かしではなく、サイト立ち上げ時のさまざまな苦労や熱気の記録を通じて、さあ、この中から秘密と思われることに気が付いて発見して下さい、というものである。
読者の知識や興味関心事によって、マーケティングの秘密、サイト編集の秘密、カスタマーリレーションの秘密、企業内ITの秘密、などが発見できるかも知れない。
基本的にインターネットビジネス系の本なので、関心のない人にはつらいかも知れないが、それはさておき、「本来、秘密は、秘密を感じた人にとって秘密なのである」ということが思い起こされる。
いまの世の中、さあこれが秘密とか謎なんですよ、いまからそれを解明して差し上げますよ、といった誘導型、でっちあげ型の話が多いだけに、あらためて、秘密や謎を見つけだす側の「秘密発見力」とでもいうものを再認識してみたい、今日この頃でありました。
そもそも、生きていくうえで、世の秘密や謎と無縁なほど幸せなのかも知れないけどね。

アメリカのナゾ小説ブーム

2005-01-27 14:07:37 | 読書日記(不定期)
「フランチェスコの暗号」(新潮文庫)読みました。
ルネサンス期のナゾ本である「Hypnerotomachia Poliphili」に隠された暗号とナゾの解明を軸に、ブリンストン大で卒業を間近に控えた4人の学生を主要登場人物として、学内に起こる出来事、恋愛、果ては殺人事件、かつて「Hypnerotomachia Poliphili」に取り憑かれた主人公の亡父や今もプリンストン大に関連して主人公たちと関わることになった父の研究仲間たちとの話、などアメリカ小説によくある過去現在が行ったり来たりする、なんとも複雑な展開。
なかなかひとことでは言えないのですが、とにかくヘタクソな翻訳も相まって、日本人には馴染みの薄い「Hypnerotomachia Poliphili」がテーマになっていることもあり、ワクワクドキドキ読み応えというよりは、少しイライラ読み疲れ、という感じ。
さまざまな要素を詰め込みすぎて、それぞれがあまりこなれておらず、かえって学生たちの友情や恋愛のほほえましさ、懐かしさのほうに少し惹かれる、ナゾ青春小説か?という側面も。
日本語版タイトルの「フランチェスコの暗号」の薄っぺらさよりも、原題の「The Rule of Four」(だっけ?)の方が、含みが多くて良いですなぁ。
それはともかく、近年アメリカでは、一時のホラーブームも終わり、暗号やナゾをテーマにした小説ブームだそうで、この本も「DV Cord(ダ・ヴィンチ・コード)」同時期に発刊されたそうです。
日本の小説界も、そろそろ知的ナゾ本の書ける作家がでても良いのだけどねぇ。