そんなことより、我が家の深刻な問題は猫である。
うちにはフータとノアという兄弟猫がいて
いま、8歳なのだが……。

ノアは細っそりしていて、体のあちこちに
問題を抱えていた。
結石の手術もしたし、目は片目だし、歯は歯周病で
一本もない。
そのせいか警戒心も強く、いまだ、私に心を開いてくれない。
この子がまたどこか具合悪くなりませんようにと
いつも気にしていた。

かたやフータの方は元気いっぱい。
丸々太って、性格も呑気だ。
あんたは長生きするね、と安心していた。

その元気で無邪気なフータが、三月の初め頃から
鼻をグスグスやり始めた。
猫にも花粉症があるのかと、最初は苦笑していたのだが
一週間、十日たっても治らない。
人間の花粉症は何ヶ月も続くが、猫もそうなんだろうかと
確かめるために、動物病院へ連れて行った。
それから、何度か検査。
最後は全身麻酔で鼻の組織を取って調べるというので
3泊4日の検査入院。
結果、悪性リンパ腫であることが判明した。
癌である。
鼻から血が滲み出てることもある。

いまはともかく、少しでもストレスを与えないよう
気をつけて見守っているのだが、一日一回の薬を服ませるにも大騒ぎ。
しまいには、「なんで、ひとが辛いときに、いやがることをするんだよ!」
という責める目で見返し、私を避ける。
さて、今年も厳しい夏になりそうだ。