小さい頃、いつも素足に下駄を履いて遊んでいた。
町には下駄屋があった。
でもいま、下駄を履く人は少なく、下駄屋もあまり見ない。
だけど、うちの近くには、ちゃんと下駄屋がある。
三吉橋商店街の余川履物店。
「この時期、品物が少ないんですよ。
もう、下駄そのものがあんまり作られてないし。
需要がなくなりましたからねえ」
と、言いながら、おかみさんが見せてくださったプロの道具。
くじり棒。下駄に鼻緒の穴をあけるもの。
うづくり。細い茅の穂を束ねてきっちり縛ったもの。
これで下駄の面をこすって、きれいにする。
蝋。別名「いぼたろう」。これも下駄の面を磨くものだが、
たいへん高価なのだそうだ。
つぼ伸ばし。ちょっとわかりにくいかもしれないが、二種類の金具で
鼻緒の付け根を伸ばす。
もはや、この道具を持っている店も少なくなったので貴重なもの。
きれいな鼻緒の数々。その中になぜかブロマイドらしき写真が……。
じつはすぐそばに、横浜最古にして唯一の大衆演劇常打ち館「三吉演芸場」がある。
一般の需要は少なくても、そこに出演する役者さん達が下駄を買いに来る。
店内には大衆演劇一座のポスターがいっぱい。
向かって左が余川履物店のおかみさん。
右が三吉演芸場の“おかあさん”本田玉江さん。
うちの近所は素敵な下町だ。
コメント一覧
冬桃
酔華
最新の画像もっと見る
最近の「雑記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事