
「ぴーちゃん、今回で『ブラック・レイン』のお話は最終回だよ。」
俺たち暴走族のシーンは他にもいろいろ撮影される予定だったらしいのだけど
やはり日本における映画の撮影環境というものは厳しいものだったらしく
当初大阪で10週間の撮影を計画したものの、
警察の交通規制など各所で期待した協力が得られなかったために5週間で切り上げて
アメリカで日本のセットを組んで撮影したとのこと。
チャーリー惨殺のシーンもアメリカでの撮影のようです。
俺の最初で最後の“ハリウッドデビュー”はたった2日間の撮影で終わってしまった・・・。
〔チャーリー惨殺のシーン〕
チャーリーに向かって疾走する“セイトー”のGSX-R! 長ドスの先から迸る火花!
ローアングルで追走するカメラワーク、このカットめちゃめちゃ好き!さすがリドリー・スコット!
相変わらず路面は濡れていますね。怪しい日本語の看板がナイスですね~。

総製作費50億円とも60億円ともいわれたこのハリウッド大作
いやらしいけど俺のギャラの話もちょっとだけしましょう。
撮影の休憩中にボビーが暴走族のメンバーに
「本日のギャラは○○YENです」と紙に書いて掲示してくれたのよ。
「うわー、一日でこんなにくれるの?!」っていう金額でなかなかの金額でした。
東京の人たちも「なかなかおいしい仕事だねー」とか言ってた。
後日、ウキウキしながら大阪のL社に俺のギャラを受け取りにいったところ・・・
「あれっ、少ない・・・」ボビーが掲示してたギャラの一日分もなかった・・・。
でもL社さんのおかげでオーディションを受けることができた訳やし
スケジュール調整やマネージメント料ということでガバッと引かれちゃってたのですね~(笑)
今となってはギャラよりも
二度と実現できない超豪華キャストが競演したハリウッド大作「ブラック・レイン」に
ちょっとだけとはいえ出演できたことに感謝しています。
マジシャンのYくん、当時L社のO氏、ありがとうございました。
それともうひとつ、「ブラック・レイン」に出演した。と言ったら必ず聞かれること・・
「松田優作に会った?」

答えは「残念ながら・・会ってません。」
ヒルトンプラザで背の高いそれっぽい人の後ろ姿は見たけど・・・
若気の至りで「松田優作と会った」「しゃべった」「握手した」などとウソをついたこともあります。
すみませんでした。ハッタリでした。
健さんにも会ってません。会いたかった・・・。
「ブラック・レイン」の話はもっと簡単に書いてすぐに終わろうと思ってたけど
書いていくうちにどんどん鮮明に記憶が甦って、
とても22年前の出来事とは思えないくらい
つい最近のことのようにスラスラ楽しく書けてしまいました。
長々としょーもないことまで書いてしまいましたが
最後まで読んでくれたみなさま、ありがとうございました!
映画業界を引退した身分ではありますが
これからも書ける範囲でプロの撮影現場の裏話や自主制作映画の話も書いて行きたいと思います。
アクション映画好きの人はたまにこのブログを覗いてくださいね。
では最後に「ブラック・レイン」の予告映像をYou Tubeで! 俺のアップも一瞬だけ出てきます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=95-bc1DZovg&feature=related