テレビとうさん

知識は人をバカにする。
智識はバカを人にする。
信じるか信じないかは、自分次第です。

「日独伊三国同盟」 と 「国連憲章」

2021年05月08日 | 戦争史
 所謂「日独伊三国同盟」は、「この条約に書かれている事実」として、(軍事)同盟ではなく、当時の欧州と支那大陸の「現状維持」を相互追認する条約で、「互いに恒久的平和を希求する意思を確認し、それぞれの地域における民族の共存共栄を維持し、世界に平和を齎す」事が前文に書かれています。

 条約の正式名称は
「日本國、獨逸國及伊太利國間三國條約(昭和十五年條約第九號)」で、

 第一条
日本國ハ「ドイツ國」及「イタリヤ國」ノ歐州ニオケル新秩序建設ニ關シ、指導的地位ヲ認メ、且ツコレヲ尊重ス。

 第二条
「ドイツ國」及「イタリヤ國」ハ、日本國ノ大東亞ニオケル新秩序建設ニ關シ、指導的地位ヲ認メ、且ツコレヲ尊重ス。

 第三条
日本國、「ドイツ國」及「イタリヤ國」ハ、前記ノ方針ニ基ツク努力ニ附相互ニ協力スヘキ事ヲ約ス。更ニ三締結國中何レカ一國カ、現ニ歐州戰爭又ハ日支紛爭ニ參入シ居ラサル一國ニ依リ攻撃セラレタル時ハ、三國ハアラユル政治的經濟的及軍事的方法ニ依リ相互ニ援助スヘキ事ヲ約ス。

(以下要約)

 4条 
この条約に関する委員会を遅滞なく開催する。
 5条
この条約は、「日独伊それぞれとソ連との関係」には影響しない。
 6条
本条約の有効期間は10年。

昭和15年(ファシスト歴18年)9月27日に、ベルリンで3通作成する。


 この通称「日独伊三国同盟」の名称を、いつ、誰が言ったのかは判りませんが、第三条で「第三国の攻撃(アメリカを想定?)」があれば「軍事同盟」になる事が書かれているだけで、国連憲章に例えると「平和維持軍」に相当します。

 国連憲章第42条
安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。

 つまり、「三國條約」を「軍事同盟」と呼ぶのなら、「国連憲章」も「軍事同盟」と言えます。

 当時の「支那大陸」では、「支那事変(条約中では日支紛爭)」での重慶政府(蒋介石軍)に対してドイツが軍事援助をしていた為に混乱が収まらず(第二条で牽制)、更にアメリカもフライングタイガースを編成したり(第三条で牽制)、イギリス・ソ連が裏(援蒋ルート)から軍事援助をしていて、これを止める為には「三國條約」も止むを得なかったのかも知れません。しかしこれがアダになり、戦後になって「日独伊軍事同盟」と言われる事によって、日本もナチスの仲間にされていまいました。

 日本人自身が「日本國、獨逸國及伊太利國間三國條約」を、「日独伊三国(軍事)同盟」と言っている間は、戦後レジームは継続します。




コメントを投稿