「台湾」 と 「中華民国」

　「中華民国」は国際連合（1945年成立）に当初から加盟していて、安全保障理事会の常任理事国でした。中共に追い出された「国民党」」は1949年に台湾に移転し「全中国を代表する国家」と主張し「中華人民共和国と新たに外交関係を持つ国とは即座に国交を断絶する」と云う措置をとりました。この時の「中華民国」が国連代表であることに対し、ソビエト連邦などが問題視しましたが、アメリカなどの支持を得て国連での地位を確保し続けました。

　国連憲章第27条第3項
その他のすべての事項に関する安全保障理事会の決定は、常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票によって行われる。

　常任理事国には拒否権が有るので、1971年に「中華人民共和国（中国共産党の支配地域）」が国連に加盟する時に、当時の常任理事国であった「中華民国」は拒否権を発動することでこれを中止させる事は出来、常任理事国の地位を奪われることな無かったのですが、「何かの裏取引が有ったようで」1971年10月に「中華民国」は中国代表権を「中共」に譲っていまいました。

　更に、「蒋介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占領する場所からただちに追放することを決定する。」との決議も、蒋介石が主張した「一つの中国」を取り下げる事で国連に留まる事が出来たにもかかわらず、自ら国連を脱退してしまいました。

　1972年の日中（日本と中共）国交正常化に伴い、（台湾にある）「中華民国」はは直ちに日本に国交断絶を宣言しました。「中華民国」から見れば「中共」との国交樹立は裏切り行為に見えますが、その原因は「中共」の国連加盟に拒否権を発動しなかった「中華民国」にあります。当然、日本側から国交断絶を言い出した訳ではありません。

　上記では「中華民国」と書いていますが、国際連合が国民党に「台湾」の統治を委任しただけであり、「台湾」が「中華民国」になった訳では有りません。「台湾」が「中華民国の国民党」を拒否すれば、「中華民国」は「台湾」から出て行き「金門島」を本拠地にする以外の方法は有りません。

　つまり、「日中国交正常化」を理由に国交断絶をしたのは「中華民国」であり、「台湾」ではありません。勿論、日本から「中華民国」と国交断絶する理由は無いし、ましてや「台湾」から嫌われる理由など有りません。

　支那大陸が、中華民国か中華人民共和国なのかは「国民党と中国共産党との”一つの中国”問題」であり、「台湾」とは一切関係は有りません。

　日本は「サ平和条約二条（b）」により、「台湾」に関する一切の権原を放棄しているので、「台湾問題」は「台湾と中華民国との内政問題」であり、「一つの中国問題」は「国民党と中国共産党との内政問題」なので、日本は其々の当事者に頼まれない限り、口出しは出来ません。

「台湾と中華民国との内政問題」とは、「台湾」と「中華民国」は別の国であり「台湾に居座る中華民国」という意味です。この「居座り」が寄生になるか共生と言えるかは、「台湾人」の意識次第です。