テレビとうさん

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「先住民」 と 「先住民族」 Ⅱ

2020年02月19日 | アイヌ
 【ネタ切れに付き、過去記事の「編集・加筆」です。】

 日本各地には縄文遺跡が有り、北海道から沖縄まで統一的な文化が認められる事から、現在の所、日本列島の先住民は「縄文人」と言っても良いと思います。この「先住民」は、エドワード・S・モースが大森貝塚から発掘した土器を Cord Marked Pottery( 縄文土器)と名付けた事を理由に「縄文人」と呼ばれていますが、「縄文民族」とは言いません。これは、「民族」の定義が時代によって変遷を繰り返してきたことから、国家意識の無い過去の「先住民」を現在の定義に合わせて「~民族」と言い切る事が出来ないからだと思います。

 日本政府は「先住民族であるアイヌの人々」と認めていますが、現存する「アイヌの人々」が「アイヌ民族」であるとは言っていません。これは当然の事で、「和人」も「アイヌの人々」も「縄文系日本人」であり、厳密に「民族」として区別する事は不可能だからです。過去の一時期、東北以南と北海道との交流が薄れ、別々の文化が並存した事から、「民族」の定義の一つである「独自の文化」がそれぞれの地域に発達し、これを「大和民俗」と「アイヌ民俗」とにエスニックグループ(EthnicGroup)として分ける事は可能ですが、「アイヌの人々」にとって自分達の住んでいる土地(蝦夷全体)が自分の占有地であるという意識は無かったと思われる事からも、「アイヌ人」がネーション(Nation)としての民族で無かった事は明らかです。

 また、「アイヌの人々」とは、千年ほど前に北海道に住んでいた「和人」とは別のグループの人々(Groups)の事で、特定の民族を示す言葉では有り得ません。

 「民族」の定義も時代とともに変わりますが、「琉球人」「和人」「アイヌ人」は共に「縄文人」の遺伝子を引き継ぐ、元々日本列島に住む「先住民」です。日本に国家が形成されつつある時に、沖縄は東南アジアと、本州は東アジアと、北海道はシベリア・オホーツクと交流が進み、文化の違いが現れるようになりました。「縄文人」はこの頃から、大きく分けて「琉球民俗」「大和民俗」「アイヌ民俗」等の様に「民俗性」が分かれるようになりましたが、これらは同じ「縄文先住民」であって「独自の先住民族」では有りません。

 ここで「民族」の定義を変えると、縄文文化圏の「民族」が他の文化圏の「民族」によって侵略されたとも、他民族との共生が進んだとも言えます。現在に於いて、「アイヌ民族」が「大和民族」による浸食と同化によって被害を受けたと言うのなら、蝦夷の「縄文民族」は「オホーツク・シベリア民族」の侵略を受けて「アイヌ民族」に変質したとも言えます。

 或いは、「縄文民族」と「オホーツク・シベリア民族」の共生の結果、「アイヌ民族」が誕生したと言えるのなら、現在の「アイヌ系日本人」は「アイヌ民族」と「大和民族」の共生の結果「日本民族」になったとも言えます。

 北海道には「アイヌの人々」も「和人」も古くから住んでいて、更に「ニブフ(モンゴロイド)」「ウィルタ(ツングース系)」等も「先住民」として住んでいました。これらは総て言語も習俗も違うので別の「民族」と言えますが、一纏めにして「先住民族」とは言えません。ましてや、「和人」以外の複数の「民族」を「アイヌ民族」と一纏めにして扱う事は、人権侵害とも言えます。

 「アイヌの人々」だけを先住民族として優遇する事は、同時に住んでいた「和人」「ニブフ人」「ウィルタ人」・・・等を差別する事になり、憲法に違反します。

 憲法第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 少なくとも、人種的には共通性が有り習俗が違うだけの「アイヌ」は「アイヌ民族」ではなく「アイヌ系日本民族」と言うべきです。また、「アイヌの人々」ではなく「アイヌ等の人々」、「先住民族」ではなく「先住民」と言うべきです。

明治以前は「土人」と云う適切で便利な言葉が有りました。



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