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野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

洋上風力発電に逆風!

2023-12-03 12:19:58 | 日記

「洋上風力発電、欧米で逆風」

「資材高騰、利上げで負担増」「欧州~投資166億ユーロ→4億ユーロに」

ウクライナ侵攻影響、米国は「破綻している」

 2023年11月14日、我が家の新聞に、上記のようなタイトルで「脱炭素の切り札」として欧米で開発されてきた洋上風力発電に逆風が吹いていると報じています。風力発電の開発に先進的な役割を果たしてきた欧米ですが、これまでも、今も問題を抱えているようです。

米国初の洋上風力発電、反対運動で難航(2010年5月報道)

 アメリカ東部マサチューセッツ州ケープコッドの南40数キロ沖のリゾート地ナンタケット島の海峡に計画された洋上風力発電は、当初の170基から130基に規模を縮小したものの、建設コストが陸上風力発電の2倍であることや、地元環境保護団体から「景観を損ねる」「生態系に悪影響」「音に敏感な海洋哺乳類のクジラやイルカに悪影響を与える」と強く反対され、訴訟が確実となった。~結局、計画は実現に至らなかった。

※アメリカの環境保護団体は日本との人口比から見ても、圧倒的な会員数と組織力で日本を上回っています。その豊富な知見と行動力は、国と州政府を動かすほどの実力があるようです。アメリカ国内で5本の指に入るような専門家や学者が研究員として在籍する団体の意見は影響力が強く、日本の保護団体もそうあってほしいものです。訴訟を起こす気概(困難などに屈しない正しく強い意気)がすごいです。私たちにはとても真似できないですね。

スウェーデンで洋上風力発電を禁止する住民投票(2022年12月報道)

 スウェーデンのソーデルハムン地方で、洋上風力発電の建設可否を問う住民投票が行われた。有権者のうち70%が投票し、半数以上が計画に反対の票を投じた。住民投票の対象となったのはドイツの会社が開発するプロジェクトと、スペイン、スウェーデンの2プロジェクトで、どちらのプロジェクトに対しても開発中止を求める結果となった。住民投票結果に法的拘束力はないが、その後の動きはいかに? バルト海に面したソダーハムの沖合3㎞にあるストーグルーンデッドでの洋上風力発電の建設を自治体が許可するかどうか。ソーデルハムンがその領海内で洋上風力発電の建設を認めるかどうか。

※わが国では住民投票実施までのハードルが高く、風力発電計画の賛否を問う住民投票実施は難しいようです。議員からは「住民から選ばれた議員がいるというのに、住民投票とはなにごとか!」の声も聞こえて来そうです。また、投票結果が地域を分断する結果となり、その後のしこりを心配する声もあるようです。ヨーロッパの歴史では民衆による革命も起こっており、国民が政治を動かすということにおいて日本との意識の違いもありますが、風力発電による影響が顕在化している今、せめて地域住民の人たちにその問題を投げかけ、賛否両論の議論を交わし、行政に訴える必要があるのではないでしょうか。様々な環境保護問題をSNSで訴えているのも、その動きと言えます。

世界でも有力な風力発電事業者も苦戦!(2023.11月報道)

<デンマーク・オーステッド社>

「2023年11月1日、世界最大の洋上風力発電開発事業者であるデンマーク・オーステッドが米国ニュージャージー州で開発の2事業中止を決め、巨額の減損を公表した。事業を取り巻く環境の悪化が足を引っ張る展開となっている。」 オーステッドが中止を発表した洋上風力発電事業は、ニュージャージー州で進行中で、発電容量はそれぞれ110万kwと115万kwである。減損額+キャンセル料(落札した案件を中止することのペナルティー料)は巨額! その原因としては、①世界的な資材高騰により、事業費用が落札時より大きくかけ離れた。②再エネ投資の税控除適用の要望がうまくいかなかった。③ニューヨーク州が風力発電事業者の入札条件要望を拒否回答した。など、米国内において事態の好転が望めなくなった。

<ノルウェー・エクイノール社>

“洋上風力の巨人” ノルウェーのエクイノールは、英国BPとの共同体で、入札条件の変更を求めていたが(落札時の52%引き上げ)、ニューヨーク州は「健全な競争入札プロセスを維持するとともに、消費者を守るために(電気料金の引き上げ防止)拒否した。

※風力発電事業者にとっては、何よりも利益追求が第一で、それが難しいとなれば、さっさと撤退します。計画地域の住民をさんざん心配させておきながらです。野鳥が風車にはねられない研究や防止装置の設置が進む欧米ならば、野鳥への影響を理由に建設を拒否される事があっていいと思うのですが。一方、日本では適正なゾーニングもいつになるやら、形骸化した環境アセスは信ずるに足りないのが現実なので、アセスの前に事業計画が妥当かどうかの審査を法的に義務付ける制度が必要です(その審査の公正さも必要ですが)。海外の巨大風力発電事業者は、欧米での事業が難しいとなれば、日本をターゲットにするかもしれません。いや、もうすでに・・・?用心、用心です。

 


相次ぐ洋上風力発電反対と懸念!

2023-11-10 13:01:06 | 日記

 「今の風力発電事業は原発に代わるものでもなく、温暖化防止でもなく、自給エネルギーのためでもなく、利権でしかない!」と言い切った方がいます。風力発電事業者による国会議員への資金供与疑惑を見れば、かなり的を得ていると言えるでしょう。後を絶たない分別のない計画や住民への丁寧さを欠いた説明会、理解が得られないと見るや、売電収益の一部供与を持ち出すなどの手を変え品を変えの懐柔策がそれを物語っています。自然エネルギーとしての風力発電は重要だと認識しつつも、国内各地で紛糾する事例を見れば、風力発電事業への不信感は増すばかりのようです。地域住民のみなさんにとっては、比較的影響が少ないと思っていた洋上風力発電も「いやいや、遠く離れているようでも、人への影響もあるようだし、何気なく見ている海の景色が変わり、海を渡る鳥たちには脅威だろうし、海の中の生態にも影響があるみたい」との懸念があります。それを現実の問題としてとらえている人たちの声を一部紹介します。

その1.石狩湾一般海域洋上風力発電事業

風車を建設するべきではない区域のはずが・・洋上風力発電に有望な区域に指定

 本年5月、石狩市沖海域(離岸距離2.5km~6km、海岸線沿い全長約60km)が洋上風力発電に係る「有望な区域」に指定されました。しかしこの区域は、石狩市が2019年に設定した風力発電ゾーニングマップ上では環境保全エリアと重なり、石狩市が風車の建設を行うべきでないとした海域です。現在、最大高さ250mの巨大な洋上風車が76~91基建設されると想定。数々の問題点があり、「石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会」など4団体が反対し、署名活動中!(北九州市でも試行されたゾーニングで、建設困難とされたエリアに今、洋上風力発電の建設工事が始まっています)

この区域を促進区域に指定し、巨大風車の建設を容認することに反対します!

● 岸からの距離が近く、騒音・低周波音・超低周波音による健康被害が広範囲に及ぶことが懸念されます。      

● 石狩湾に乱立する巨大風車により、美しく沈む夕日、古くから慣れ親しんできた自然の風景が台無しです。

● 人と自然とのふれあいの場や観光事業への影響が心配です。

● 石狩湾岸地域は春秋の渡り鳥のルートであり、多種・多数の野鳥のバードストライクが懸念されます。

● 石狩湾は生物多様性が高い重要な場所。豊富な漁業資源が失われ、沿岸の多くの漁業者への

※大規模風力発電事業の中止を求める署名文より

 190万都市札幌の近郊にありながら、25kmに及ぶ砂浜と砂丘、海浜植物群落が自生し、砂丘草原、カシワの天然海岸林といった生物多様性に富んだ海辺の自然環境が大規模に残された貴重な地域です。写真と文の引用:石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会ホームページより

 

その2.秋田県由利本荘市沖洋上風力発電事業

由利本荘市沖に90基の巨大風車計画

私たちは原発ももちろん、風車建設にも以下の理由で反対します!

● 地域住民の理解が得られていない。

● 風車の影響で健康被害に苦しんでいる人がいる。

● 渡り鳥や留鳥(ほぼ1年中見られる野鳥)のバードストライクが起こっている。

● 鳥海山、日本海、里山の美しい景観と自然環境が破壊されている。

● サーフィン、海水浴、釣りなどのマリンレジャーの妨げになる。

● ハタハタなどの海洋生物への影響も計り知れない。

● 漁業の活性化にはならず、地域貢献にもならない。

● 雇用にもつながらず、地域貢献にもならない。

※由利本荘市沖洋上風力発電事業計画に反対の署名文より

 秋田県の電気自給率は100%を超えている。なぜ巨大風車で発電する必要があるのか。“ 田舎の自然をこわして大都市に電気を送る ” 福島の原発と同じ構図。海外の事例のように、海岸から20kmくらい離れているならまだしも・・・。健康被害は容認できない。(引用:秋田由利本荘・にほか市の風力発電を考える会ホームページより)

 

その3.新潟沖の大規模洋上風力発電計画

新潟市沖に計画の洋上風力発電、このままでいいのか!?

もっと沿岸から離れた沖への建設計画見直しとともに、新潟県民に計画を広く周知してほしい!

● 事業者による説明会の実施方法等にも課題があり、地域住民の理解が深まっているとは言えない。新潟市民・県民に広く説明会を実施し、意見集約を図るべきである。

● 漁業者に事業計画の概要および、想定される事業予定海域の情報が不十分で、周知されておらず、漁業関係者の中で合意形成が図られているとは到底言えない。

● 佐渡を背景にした風景を大きく変えることになるため、風車建設には十分な配慮が必要。(風車規模:最大35万kw(35基?))

● 沿岸はガン・ハクチョウ類、カモ類、オオミズナギドリ、カモメ類の採餌海域であり、トキが佐渡から本土に飛来する主要な飛翔ルートにもなっている。さらに、信濃川が日本海に開口する場所はコハクチョウの国内最大の越冬地である。渡り鳥や海鳥類の衝突リスクを高め、生物多様性の低下を招く可能性があることから、鳥類の重要な移動ルート上に、風車を建設することは極力避けるべきである。

● 新潟はラムサール条約湿地「佐潟」をはじめ、16の潟と信濃川・阿賀野川の二大河川が市内を流れる、まさに湿地の街と言える。大型洋上風力発電を推進することは条約の精神に反する行為である。

● 市民の意見を踏まえた上で、海岸から近い距離(1km~6km)の事業計画を改め見直すこと。

※引用:新潟沖洋上風力を考える会H.P(新潟市沖洋上風力発電計画に対する要望書より)

 陸上風車を巡る地域住民の方たちの心配が、洋上風車にも及んできました。風車の羽根に弾き飛ばされるバードストライクにおいては、私が住む北九州市の風力発電施設では、死骸が発見され続けていても、事業者は衝突した瞬間を見ない限り、風車にはねられたことを認めようとしない傾向があります。環境にやさしい風力発電が鳥たちに被害を及ぼしているという、風力発電にとってマイナスの印象になることを避けたいからでしょう。増して、洋上では死骸を発見することは不可能に近く、事業者にとっては都合がいいと言えます。例え沖合遠くに建設され、人に対しての影響が軽減できたとしても、鳥類や魚類にどんな影響が起きているのかを、把握することがさらに難しくなります。やはり最善の策は、計画の白紙撤回がベストではないでしょうか。「ここは風力発電を計画するような場所ではないですよ!」と。住民パワーにプラス県知事や市長にも反対の意思を示してもらうことが、事業者には痛手のようです。行政にどしどし訴えましょう(北九州ではそれが実行できなかったことが悔やまれます)。事業者の分別のない計画を無くすために、白紙撤回させる事例を増やしていく必要があると思います。「人にも野鳥にもやさしい風力発電」にするためにです。

 

 

 


北九州市長からのコメントなし!

2023-11-04 19:46:28 | 日記

北九州市から回答がありました・・が、

洋上風力発電建設工事の中止を求めたことについて、

事業を誘致した北九州市の市長からはコメント無し!

 響灘洋上風力発電建設の中止を事業者に求めた件について、事業を誘致した北九州市の武内市長のコメントを求めていましたが、10月31日にエネルギー産業拠点化推進課から下記のような回答がありました。

市長への意見書(「市民の声」)回答(要旨)

 洋上風力発電は、国において「再生可能エネルギー主力電源化の切り札」と位置付けられるなど、長期安定的な普及が期待されているところです。北九州市はこのような社会ニーズに先駆け、平成28年度に「響灘洋上風力発電施設の設置・運営事業者公募」を行いました。以降、同公募選定事業者である「ひびきウインドエナジー社」が事業を進めているところです。当事業の推進にあたり、北九州市は学識経験者等の意見をふまえながら、公募占用計画の認定及び港湾区域内の水域占用許可を行ってまいりました。また、環境影響評価については、環境の保全に関し学識経験のある者により構成された北九州市環境影響評価審査会を設置しています。市長は環境の保全について適切な配慮がなされるよう、事業に対して環境の保全の見地からの意見を述べるため、審査会へ技術的事項の調査を諮問し、答申を得ています。また、学識者による客観的な意見である答申に基づき、市長意見を作成しています。なお、環境影響評価制度は規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施前に、事業者自らが事業に係る環境影響について評価を行うこと等により、環境の保全について適正な配慮がなされることを確保するための仕組みであり、事業の実施を妨げるものではありません。

 担当部署作成のほぼ経緯だけを述べた回答をご覧のみなさまは、どのように感じられたでしょうか。就任間もない市長にはコメントを出せる認識は持ち合わせていなかったかもしれませんが(就任以前の事なので)、北九州市にとって一大プロジェクトのはずですから、担当部署に丸投げとは、一市民としては「勉強してほしいなあ」というところです。市民から求められれば、武内市長は何らかのコメントを出すべきでしょう。

 私たちが10月10日付で提出した市長への意見書の要点は、                         

1.若松沖響灘は北九州市の生物多様性を象徴する海域です。                           

2.環境影響評価制度では野鳥への影響を軽減できません。          

3.野鳥と風力発電の共存に向けてご尽力をお願いします。         

これらの点について、全く言及していないということは、

そもそも若松沖の白島を含めた海域を重要な自然環境として保全しなければならないとは思っていない?(だから大規模な風力発電事業を誘致したのか)

事業者が野鳥への実効性ある影響軽減策を実施しなくても済んでしまう環境アセスに対して、事業を誘致した北九州市としては、生物多様性戦略を掲げてはいるものの、一応環境審査もクリアしているので、誘致した立場上、事業者に対策の追加を求められない。 

事業者は事後調査を1年間実施して、野鳥への影響は少ないということになるだろうから、それで野鳥にも配慮した洋上風力発電ということになるだろうと踏んでいる。

 以上のように思えてなりません。たぶん当たらずとも外れていないでしょう。

 北九州市としては、響灘洋上風力発電による少々の被害は仕方ないと思っているのでしょうが、もしも甚大な野鳥の被害が起きた時、それでも北九州市は「環境未来都市」「SDG未来都市」の名に恥じないと言えるでしょうか。私たちは25基が建設されたとしても、野鳥たちへの影響をさらに追及していきます。野鳥たちは必ず風車の羽根に弾き飛ばされるのですから。オオミズナギドリが集団繁殖する白島の西側に隣接する風力発電2基の計画もあります。気を引き締めていきます。                                                      

 

 


ラムサール湿地の野鳥たちは、ひと安心!

2023-10-20 19:14:34 | 日記

ラムサール条約登録湿地・大山上池下池に近接する加茂地区における風車建設計画が撤退!

ー山形県鶴岡市より発表ー10月16日 

『鶴岡市加茂地区における(仮称)JRE加茂風力発電事業計画について、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社より事業撤退を社内決断した旨、本日午後に、本市に対して報告がありました。本市といたしましては、豊かな自然環境や歴史・文化的環境等の保全と再生可能エネルギー導入促進との調和を図ることは重要な課題でありますので、今後ともその両立に向けて取り組んでまいります。』令和5年10月16日 鶴岡市長 皆川 治

写真上:ラムサール条約登録湿地 大山上池・下池(引用:鶴岡観光ナビより)

「皆様に署名活動を呼びかけて1年弱、ラムサール条約登録湿地を含む環境が、これ以上壊されるのを食い止めることができて、本当に良かったです。これからも再生可能エネルギー開発と自然環境保全のバランスを考えながら、ひとりひとりの声を集めて大きな流れを作っていきたいと思います。ご協力ありがとうございました。」日本野鳥の会山形県支部 支部長:細谷千鶴子(日本野鳥の会山形県支部ホームページより) 

 今年で登録から15年になるラムサール湿地の大山上池下池は、マガン、ヒシクイ、マガモ、コガモ、コハクチョウなどの水鳥が毎年2万羽以上が渡来する14haと24haの農業用ため池です。遠く北の繁殖地から越冬のためにやって来るこれらの野鳥たちにとっては、居心地が良くて、かけがえのない場所に違いありません。周辺の田んぼで落穂などを餌として食べ、外敵から身を守るために、池をねぐらにして休息をとる毎日です。そして初春、気温が上がってくると、また北の繁殖地に戻って子育てをすることを繰り返します。今回は幸いにも、越冬場所近くの風力発電計画が断念されましたが、この上池下池に渡って来る途中には、巨大な風車が回っている場所があるようです。海を越えて飛んで来て、海岸や山の尾根の風車に弾き飛ばされるカモたちもいるでしょう。そのような実態もほとんどわからないまま、野鳥たちへの配慮のない無分別な計画が後を絶ちません。風車を建ててはいけない場所の法的なゾーニングを急ぐなど、実効性のある対策が急務です。そのためにも、風力発電問題に取り組む団体のネットワーク組織を作り、自治体や政府への働きかけが必要です。自然エネルギー推進と野鳥対策を並行して進めることは、政府や事業者の抵抗が予想され、容易ではないでしょうが、まずは分別のない事業計画を無くすためにどうするかを真剣に考えたいものです。形骸化した環境アセスでは野鳥たちを守ることはできないため、まずは事業計画が妥当かどうかを審査する法的制度が必要だと思います。

 


新北九州市長への意見書

2023-10-13 12:13:41 | 日記

 建設工事が始まっている北九州市若松沖の洋上風力発電は、「2016年に北九州市が公募し、8企業グループが公募に参加予定、2017年1月までに事業者が決定する。そして環境アセスを経て2021年度着工予定」と、2016年9月8日付の西日本新聞が報じています。その後、現在の事業者が選定され、環境アセス手続きから建設工事開始までの経緯と、風力発電の負の部分など、新市長はあまりご存知ないのではないかと思い、この度の建設中止を求める要望書について、「市民の声」制度を利用して意見書を提出しました。 以下、その要旨を紹介します。

 

 北九州市長 武内 和久 様

北九州響灘洋上ウインドファーム事業に対して

洋上風車建設の中止を求める要望書を提出した件について

令和5年10月10日 

風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州

「若松沖響灘は北九州市の生物多様性を象徴する海域です」                                

現在、事業者が進めている事業実施区域は、その周辺海域及び沿岸部において、1年を通して生息する留鳥と、繁殖のために渡来する夏鳥、越冬のために渡来する冬鳥、そして移動途中に立ち寄る旅鳥など、多くの鳥類が生息し、絶滅危惧種等の重要種は30種にも及びます。中でも、白島で集団繁殖するオオミズナギドリ(日ソ・日豪渡り鳥条約掲載種)や、島嶼地域のみに生息するカラスバト(準絶滅危惧種・国指定天然記念物)、魚類を主食とするミサゴ(準絶滅危惧種)、越冬するカモメ類などは、この海域の生物多様性を象徴しております。2017年に北九州市が試行した響灘海域のゾーニングのためのスクリーニングでは、対象事業実施区域を含む一帯の海域は、洋上風力発電設置困難エリアとされました。その根拠の一つが、希少な鳥類が生息し、北九州市内では稀な島嶼地域の生物多様性を支える海域である事と私たちは認識しています。

「環境影響評価制度では鳥類への影響を軽減することはできません」                              

鳥類などへの影響軽減のための環境影響評価(以下、環境アセス)制度において、事業者がその手続きを踏んできました。それに対して当初野鳥保護団体からの意見としては、風車の設置場所の変更や設置基数削減等の計画見直しを提言しました。その後、事前調査の不十分さや、鳥類への影響軽減策(バードストライク防止策など)が実効性に乏しいことから、このまま事業を進めるべきでないと提言するに至りました。また、北九州市が主催する環境アセス審査会においても、委員から再調査の提言や、鳥類への影響を危惧する意見が出されたにもかかわらず、改善されることなく、審査会意見を軽視するかのような事業者の対応でした。そして、審査会の意見を尊重し、事業者に提言する市長意見も、鳥類への影響を軽減させるには有効な意見ではありませんでした。北九州市が公募誘致した事業であることから、事業者に対して厳しい意見を言えなかった事情があることが推察できます。環境アセスに対するパブリックコメントもその意見を聴くだけで(検討も実行もしないで済む)手続きが進んでいくという、事業優先のあり方に大きな問題があります。市民向けの説明会に至っては、市民からの意見も公開されない、記録もされないという、市民の意見軽視も甚だしいです。まさに環境アセスが形骸化していると言われる所以です。これでは響灘海域の鳥類を洋上風車のバードストライクから守ることはできません。

「野鳥と風力発電の共存に向けてご尽力をお願い致します」                              

私どもは、風力発電の導入については、既存のエネルギーを自然エネルギーへ転換していくために重要な事業と考えておりますが、この度の洋上風車25基を設置するという事業が、当該海域に生息する鳥類に多大な影響を及ぼすことが懸念されるにもかかわらず、事業者による実効性ある対策は全くありません。このまま建設工事を進め、稼働開始すれば、多数のバードストライクが発生し、北九州市が掲げる生物多様性の保全に汚点が残ると予想します。そのようなことにならないためにも、公募誘致した北九州市の責任として、早急に事業者と協議を行い、勇気を持って引き返す英断をお願い致します。「環境未来都市」「SDGS未来都市」の名に恥じない、「野鳥と風力発電の共存」に向けた行動を起こしていただき、将来に禍根を残すことなく、評価される北九州市となることを望みます。

 この意見書に対して、武内市長からのコメントを求めていますが、担当部署の見解をコピーしたコメントになるのか、それとも武内市長なりのコメントがもらえるのか、さて如何に?                          

 話は変わって、私たち野鳥をシンボルとする保護団体としては、野鳥と風力発電問題のほかにも、積年の課題があります。北九州市内では最も多くの野鳥を観察することのできる小倉南区曽根干潟の保全問題や、響灘埋立地のチュウヒ(国内では南限の繁殖地・種の保存法における国内希少野生動植物種に指定)の保全問題など、武内市長と北九州市内の保護団体とで、面談が実現し、北九州市の環境保全がよりよい報告に向かうことを願っています。