野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

北九州市若松沖その後、そして三重県松坂市では

2024-09-26 10:34:39 | 日記

海の景色が変わっていく響灘・・・

 “鉄の固まり”がおだやかな海に次々と置かれています。海棲動物や海上を悠々と飛び回っている野鳥たちに少しの配慮もなく、北九州市内では貴重な島が見える海域の景色が変わっていくのは、本当に見るに忍びないです。見なれた景色が変わっていくのはある程度仕方ないこともありますが、批判を受けながらも事業を進め、野鳥たちにはやさしくなく、地震や津波に対する安全性もあやしい響灘の洋上風車は仕方ないではすまされません! 海上に建てられていく巨大な風車に正義がないことを明らかにしていかなければなりません!

写真は遠く離れた皿倉山から撮影。手前に2基の風車架台(ジャケット)。左右に長いのは石油備蓄基地、その奥には実証実験中の浮体式2枚羽根洋上風車が見える。(2024年9月13日、日本野鳥の会北九州支部会員撮影)

 

三重県松坂市の風力発電計画(60基)

事業者からの「質問状への回答書」に対する意見を募集している「まつさか香肌峡環境対策委員会」に、当会から意見を送ました。2024年9月9日付

「三重県松坂蓮ウインドファーム」事業対象地域は、クマタカとイヌワシが生息し、ワシタカ類の渡りルートでもあり、生物多様性重要地域、さらに全域が自然公園となっています。自然に悪影響を与える風力発電事業としては、全国中1位と指摘されています。「まつさか香肌峡環境対策委員会」は建設反対の請願書を市議会に提出。請願は可決され、事業を進められる状況ではありませんが、事業者の「リニューアブルジャパン」は白紙撤回する様子はなく、市長も明確な反対表明はしていません。ただ、三重県知事は事業者の配慮書に対し、「計画中止または抜本的な見直し」の意見書を提出しています。市長が今後如何に対応するのか、注視が必要です。

「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」からの意見

 福岡県北九州市内における風力発電事業に10年ほど対応してきましたが、事業者は市民や保護団体からの意見、そして環境審査会委員からの意見などを一応聴くだけで、「検討します」「意見として聴いておきます」と軽視され終わりました。これまで対応してきたすべてのアセスで同様でした。事業ありきの事業者は信じるに足りないことを述べておきます。有利な売電価格と企業の利権目的以外、何もありません。事業者からの回答書全体の中から、気付いたことを意見とさせていただきます。

1)事業者が言う「CO2削減のため」「温暖化防止に寄与する」は大義名分として掲げているだけです。目的はあくまでも利権です。しかも、現在のCO2削減策は温暖化防止にはなっていません。

2)事業者は地域住民に賛同をもらえそうにないときは、「地域への還元」という利益の一部供与を持ち出します。還元話にごまかされないように気を付けましょう。                                                                                                                                                                                                 

3)事業者の環境アセスにおける調査は不十分なものが多く、アセスに時間と費用をかけたくないためか、過去の文献で済まそうとすることも容認できません。事業者は早く建設工事に着手したいために、「自然環境への影響は小さい」と結論づけます。そう言わないと事業を進められないからです。また「出来得る限りの対策を講じる」とも言いますが、その対策はまったく実効性のない対策です。「たかが鳥のため」(事業者はそう思っているはず)に手間も費用もかけたくないからです。また、机上の計算で鳥の衝突率が極めて低いことを持ち出してきますが、野鳥の行動を十分把握した上での計算とはいえないので、信じてはいけません。環境アセスは事業者の都合のいいように進められるので、本当は第三者機関が行うべきです。

4)風車の低周波音における人への健康被害については、大学の専門研究家にアドバイスをいただければと思います。以上。

 三重県では2000年前後から風力発電先進県として山地に風車が建てられ、その後、度重なる故障や土砂崩れ、騒音問題、野鳥の激減など、風力発電問題に警鐘を鳴らしていた熱心な方がいます。この度の松坂の計画を見ても、東北地方で紛糾した事例を見ても、20年以上経っても、事業者の誠意のない態度、自然環境を軽んじる姿勢は変わっていないことがわかります。中国・四国・九州でも風力発電は問題になっていますが、私たちがそれをよく把握していないだけで、国内各地で問題になっている計画や紛糾している計画は山ほどあるようです。翻弄され、孤軍奮闘されている市民団体や保護団体も多いはずです。それらを支援し、問題を共有し、政府に物申す全国的な組織を作ることが求められていると思うのですが、実現は容易ではないでしょうか。 

 

 


青森県が再生可能エネルギーゾーニング案公表

2024-09-20 15:33:19 | 日記

青森県は9月3日に風力発電の開発と自然環境保護を両立させるための区域分け(ゾーニング)を公表した。県内で計画中の陸上風力発電(700基近く)の大半が、事業を計画できない地域に区分けされました。

 赤色の「保護地域」は、事業を原則として計画できないエリアで、世界自然遺産やラムサール条約湿地、鳥獣保護区(特別保護地区)、保護林、文化財などの地域。黄色の「保全地域」は保安林や国有林、緑地保全地域、特別保護地区を除く鳥獣保護区などとする考え。県内の面積の大半を「保護地域」と「保全地域」が占めることになり、自然エネルギーの開発には多くの地域で規制がかかることを示す。

 今年の5月、青森県知事は、「青森県の自然と地域と再生可能エネルギーとの共生」の有識者会議で、以下のように述べていた。

「国策だからといって、再生可能エネルギーが攻めてきて、青森県の自然が搾取される。ここで歯止めをかけなければ、ありとあらゆる場所で風力発電が行われ、様々な価値が棄損されることになりかねない。ここで歯止めをかけなければ野放図に広がっていく恐れがあった。世界に警鐘を鳴らすいい機会だ」

開発と自然環境保護が両立できなかったことは明白!

SDGs持続可能な開発を後ろ盾に自然破壊は許せない!

【ブログ作成者から】                                  

青森県は北海道や秋田県に並ぶ風力発電先進県です(いい意味での先進とは言えませんが)。すでに稼働中の風力発電の数も突出しています。自然豊かで素晴らしい温泉もあり、美味しい郷土料理や農産物もあるこれらの県で、景観をないがしろにした計画が押し寄せていることに心痛めていました。地元で自然環境や景観を大切にする方たちの気持ちを考えると、どうしてもっと早く規制をかけなかったのでしょうか。八甲田山などの景観を軽視した風力発電計画が、今回の規制のきっかけになったのかもしれません。事業計画が出るたびに、その都度右往左往するよりは、総合的な規制をかけておくほうが対応しやすいでしょうし、計画が淘汰されることでしょう。ただ、どんな規制にもグレーゾーンがあり、あいまいな審査基準によって、抜け穴ができないように要注意です。そこは保護団体や市民団体が常に厳しい目で監視する必要があります。

風力発電計画が押し寄せ、その対応に四苦八苦しているかと思えば、日銀の審議委員が秋田市で「洋上風力発電など再エネ関連の成長期待」と、のんきに講演するなど、呆れてしまいます。さらに「それが地元経済の大きな柱へと成長していくことを期待」と、風力発電事業に翻弄されている地元の人たちの気持ちを逆なでするような発言にさらに呆れます。少しは自然環境への影響や地元の人たちに配慮する言葉があってもいいと思うのですが。こんなおエライ人は無関心なのでしょうね。

そのほかに、岐阜県内で風力発電建設に反対する住民の個人情報が事業者に提供される違法行為が行われるなど、私たちの真っ当な活動が脅かされる事態も起きています。私たちの活動は公共の安全を求め、自然環境などをないがしろにする無秩序な計画を正そうとしているだけです。無分別な風力発電計画に物申すことは社会的にも正当な活動であることに、誇りと自信を持って活動を進めましょう。


山口県沖洋上風力発電~その後

2024-09-18 19:27:27 | 日記

洋上風力促進区域指定にはならなかったものの・・・

 本年(2024年)2月、山口県沖の下関市と長門市における巨大洋上風力発電計画について、当ブログで紹介しましたが、その後についてですが、地元の長周新聞社から5月31日付の記事を送っていただきましたので、その後の動きについて少々遅くなりましたが、抜粋で紹介させていただきます。

 経産省と国交省は、再エネ海域利用法にもとづく洋上風力発電の促進区域指定に向け、本年3月1日から5月10日までの期間、各都道府県に情報提供の依頼をおこなった。これについて山口県は、「県としては、市町に照会をかけたが、情報提供を希望する自治体がなかったので、今年も県として国への情報提供はしなかった」とのことだった。長門市沖の計画は浮体式70基という大規模な計画で、事業者(山口大学研究推進機構内に本社を置く「MOT総合研究所」)は、2026年度には着工したいと漁協の各支店を回って説明をおこなっていたが、長門市によると、「巨額の資金が確保できないとして撤退した。プロジェクトは秋田県の洋上風力事業者に決まったJERAに引き継いだが、漁業者の同意が得られておらず、現在ストップしている。ただ完全に白紙になったわけではない」と答えた。

 一方、下関市豊浦町沖の34基の計画は動いており、事業者はドイツのRWE日本法人で、豊浦町出身の議員が同社社員を連れて下関市役所秘書課に入るところも目撃されている。(安岡沖洋上風力発電計画に反対した経験のある)前田市長は、「これからは風力推進に舵を切る」「豊浦町沖につくりたい」と議会で発言しており、動向が注目されていた。

【ブログ作成者から】                                   

◆洋上風力発電促進区域に指定されると・・・                              

促進区域に指定されるには、指定される条件として、①自然条件(風況など)が適当 ②漁業や海運業に支障がないこと ③電気系統接続が適切にできる、などをクリアすることが必須だが、指定されると、30年間の占有許可が得られることになる。しかし、そこに事業者が洋上風車を建てたとしても、その間のメンテ費用は陸上に比べて高額な経費であることや、海外に比べて高い発電買取価格であったとしても、へたすると(災害による損傷や予想外の経年劣化など)20年も持たず、途中で赤字の事業になるかもしれない。漁業への思わぬ悪影響が発生したり、野鳥への影響の責任も負わずです。長門市が促進区域指定に手を挙げなかったのは、漁業者の反発や事業者の資金繰りがうまくいきそうにないことが背景にあるかもしれません。下関市が手を挙げなかったのは、促進区域に指定されなくても独自で進めることができるとの思惑でしょうか。

◆漁業者に同意が得られないのは・・・                                

山口県の海岸は屈曲に富んでいることから、漁港整備、水産資源の増養殖のための自然条件に恵まれている。大陸棚が遠く対馬、朝鮮半島まで達し、定着性魚貝類や回遊性魚種を対象とする漁業が営まれている(山口県H.Pより)。漁業が活発なため、長門市沖の計画が漁業者の同意が得られなかったと見るべきでしょうか。70基という海上の風車は漁業の支障となり、“やっかいな海上構造物” となるにちがいありません。下関市の安岡沖の計画がとん挫した要因の一つに、漁業者(潜り漁)の猛烈な反対があったことも影響しているかもしれません。

◆下関豊浦町の計画に、ドイツの事業者が触手を伸ばしている・・・                         

風力発電事業に行き詰った言われるドイツ。4大電力会社が軒並み赤字に転落したのが数年前。一般家庭の電気料金が25%も上がったことも記憶に新しい。3年前には再エネの比率が18年ぶりに低下し、再エネシフトは停滞した。そして、休眠していた石炭火力発電所の再稼働もあるか?と当時報道されていました。さらにロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけ、風力発電事業者は生き残りのために、日本の洋上風力発電に触手を伸ばしたと考えられます。日本はそんなドイツの物まねをしないように、ここらで一旦再エネ促進を見直さないと、失敗が目に見えているでしょう。発電した電気の固定買取制度のもとでは、消費者負担が増大し、行き詰ることをドイツの例が証明していると識者も述べています。発電事業の入札制度などで工夫を凝らしても、国民負担が増すことは避けられないという。地元出身の議員が事業者を伴って市役所に行くなどは、国会議員の収賄疑惑を思い起こさせますね。要注意です。


CO2ゼロ目標の不都合なこと

2024-09-07 14:22:26 | 日記

 地球温暖化防止と国策を大義名分にした分別のない風力発電やメガソーラー事業に翻弄されてきた住民は厳しい監視を行うようになり、計画が押し寄せている自治体は計画を規制すべく、ゾーニングや課税策等の対抗措置を講じるようになってきました。

 そこで今一度考えたいのは、自然エネルギーによりCO2排出を減らす事業が、温暖化防止に効果が上がっているのか? 国内では、チャンスとばかりに利権争いが横行している現実、そして世界では・・・。報道や関連書籍を見てみました。

CO2削減~本音はやっかいで迷惑?無関心も多い?

 これから経済成長したい東欧や開発途上国にとって “CO2ゼロ ” は迷惑な話だろう。日本は西欧諸国や国連があれこれ言うので、一応同調しているという。世界は2050年に “CO2ゼロ ” を目指すと掲げているが、どの国も具体的で実効性のある目標はあるのだろうか。日本は「2050年ゼロ」と言わないと糾弾されるので自然エネルギーを促進し、それを経済活性化に繋げようとしている。しかし、風力発電やメガソーラーが計画された地域には迷惑この上ないという事例が多く見られる。むしろ、政府には喫緊の課題として、異常気象による洪水対策等を推進してもらいたいのではないだろうか。不安定な風力発電や太陽光発電のおかげで、電気料金の値上げ(再エネ賦課金)という形で国民にはね返っているのは大いに納得いかない国民は多いだろう。

 日本では多くの人が「このまま温暖化が進めば自然災害が増える。温暖化の原因は化石燃料を燃やすこと、これを削減することが必要だ。」というふうに思っているのかもしれないが、国連やおえらい学者さんやマスコミからそういう「物語」を繰り返し聞かされ、「環境にやさしい風力発電」と思い込まされ、みんな信じてしまっているのだろう。私のまわりを見ても、無関心の人も多く、政府や事業者にはかえって都合がいいかもしれない。

 気象庁によれば、日本の気温上昇は過去100年で1.35℃で、温暖化は事実としても、この気温上昇が、どの程度 CO2の増加によるものかはよく分かっていないようだ。近年の猛暑の原因も気象庁によると、夏の高気圧の張り出し具合の自然現象(太平洋やインド洋で起きる様々な現象)と、都市熱による影響の2つをあげている。ちなみに、よく使われる気候変動(上がったり下がったり)よりも、気候変化(別の状態に変わる)の方が適切だろうという説もある。

◆アメリカ・中国は                           

世界のCO2排出量の多くを占めているアメリカと中国はといえば、アメリカは石油・ガス・石炭産業が世界一発達している国なので、脱炭素などできるわけがない(2030年に半分、2050年にゼロにするというが)。中国は2060年にCO2を実質ゼロにすると言っているが、現在も火力(石炭)発電真っ最中。結局、今後もCO2排出量は増えることになる。仮に日本が “CO2ゼロ “を達成したとしても、世界の大勢に影響はないだろう。

脱炭素で行き詰る西欧諸国                          

西欧諸国の多くはエネルギー危機になり、「脱炭素」どころではない。最も熱心に「CO2ゼロ」に取り組んでいるというドイツの風力発電は世界の先頭を走ってきたが、その新設ペースが落ちてきたという。その理由は生態系への影響、景観、騒音等で、特に野鳥への影響が大きな問題とされている。ロシアによるウクライナ侵攻で、ドイツがロシアに経済制裁をして、ガスの輸入が止まれば、ロシアもダメージを受けるが、それ以上にドイツの影響がはるかに大きい。工場の稼働や家庭に大きな影響が起きるだろう。いや、すでに起きているようだ。イタリアの家庭ガスは利用料金が跳ね上がり、政権への不満が噴出しているという。

 結局、“CO2ゼロ ”“脱炭素” といえばなにか環境にやさしいイメージですが、政府は従来のエネルギーとのバランスを考慮せず、無理やり自然エネルギー経費を負担させられることになり、高い電気料金を払っていることになります。私たち国民はその不合理に怒っていいと思うのですが・・・。

“CO2ゼロ” で一人勝ちの中国                        

現在、風力発電と太陽光発電の製造は中国が世界一という。人件費の高い日本や欧米が自前で製造するよりは、中国製品を買った方が割安なのは明らか。自然エネルギーを進めれば進めるほど中国経済は潤い、欧米諸国は莫大な費用で国力が弱体化し、中国は依然CO2を出し続けるだろう。何ということか・・・。

以上が、研究論文や報道で見る「CO2ゼロ目標」の不都合な真実と言えるでしょう。

【ブログ作成者から】                                                                         

これまで私たち保護団体は、身近にふりかかった風力発電から野鳥への影響を軽減しようと、事業者や自治体と協議したり、意見・要望を提出したり、署名を集めたり、マスコミに報道してもらったりと、私たちなりに努めてきました。そして “CO2 削減 ” “温暖化防止” に気をつかいながらです。これまで成果らしい成果はありませんが、めげる暇などなく努めてきました。しかし、事業者の形骸化した環境アセスや野鳥への無配慮、そして誘致する自治体は地元の経済活性化しか頭になく、掲げている環境保全は絵に描いた餅状態、さらに国会議員の収賄疑惑、再エネ促進に号令をかけるばかりの政府など、これがCO2 削減のための自然エネルギー事業であることに落胆しました。世界の情勢を見ても、CO2ゼロ目標の取り組みには不都合な事実があることがわかります。それでも、私たちは“野鳥も人も地球のなかま” をモットーに頑張らなければなりません。それが私たち保護団体の使命であり、信念です。思いを同じくする全国のみなさん、これからもご支援のほどお願い致します。


山形・福島の再エネの動き~そして北九州では

2024-09-04 13:54:06 | 日記

◆ アセスデータ改ざん疑惑の栗子山風力発電計画

 報道によれば、山形県米沢市の栗子山で、事業者が計画する風力発電(10基)を巡り、山形県は知事意見を経済産業省に提出し、風車建設予定場所の近傍がイヌワシの営巣地となっている可能性が高いとして、生息環境保全の必要性から、事業中止を含めた計画の抜本的見直しを求めました。事業者はイヌワシの営巣が確認されたのは10キロ離れた場所と主張していたが、山形県が昨年12月から2月にかけて実施したイヌワシ生息調査で、巣材やエサを運ぶ様子を確認、事業計画地近傍で別のつがいが営巣を行っていると推定した。事業者による生息状況やバードストライクの予測は信用するに足らないと判断したようです。また、建設工事に伴う土石流や地滑り、雪崩などの誘発、さらに低周波音調査における地形や風の強さ・向きの影響を考慮していないと指摘している。

◆ 福島県の風力発電とメガソーラー計画

 web報道によれば、会津若松市の背あぶり山(標高863m)の尾根に計画されている風力発電計画(50基以上)を巡る問題については、これまで地元が、会津若松市長に反対の意見を示すよう再三申し入れを行ってきた。さらに住民は風車の建設により水源や野生動物のすみかが失われるだけでなく、土砂災害のリスクもあるとして、会津若松市が事業者に計画の白紙撤回を提言するよう改めて求めている。建設に反対する会の代表は、「全国的にも分別のない計画が中止に追い込まれ、白紙撤回している事業が多くあり、自然が破壊される建設は遺憾であると、市から事業者に言ってもらいたい」と話している。                        

イヌワシ研究会員が県に要望書を提出:事業計画地の一帯には少なくとも8ペアのクマタカが生息。絶滅危惧種クマタカに悪影響が懸念されるとして、環境影響評価の停止を求めた。「現状は影響を判断できないのに、手続きを進めるのはおかしい」と訴えている。

 一方、福島市の先達山(せんだつやま 標高:635m)のメガソーラー計画では、市民団体が県知事宛に要望書と反対署名を提出した。市民団体はこれまでにも建設中止と周辺の景観保全や、工事を規制する条例の制定を求めている。周辺の住民によると、この現場では大雨による土砂の流出に対策がとられたが、8月下旬の大雨でも泥水が周辺に流れ出たという。「吾妻山の景観と自然環境を守る会」の会長は、「この問題を放置すれば私たち福島市民は将来どうなっていくのかという、大きな問題を抱えている事業だ」と指摘。メガソーラーを巡っては、福島市が禁止区域の設定などで、新設へのハードルを上げる条例を制定すべく審議を始めている。

◆ 響灘洋上風力発電(25基)は、20年間野鳥への影響の責任を負うことになる

 福岡県北九州市においては、これまで若松区の響灘埋立地の風力発電事業の計画(比較的小規模ですが)に対して意見書を出し、野鳥への影響軽減を求めてきました。しかし、10年以上経った今でも、実効性ある対策が実施されていないために、衝突死と推定できる野鳥の死骸が発見され続けています。(死骸調査の結果を教えていただいている事業者さんには感謝しています)          

響灘の洋上風力発電は野鳥保護団体の力及ばず、建設工事が始まり、2025年度から順次運転が始まるようです。その規模はこれまでの風力発電とは比べものにならないような大規模な事業です。日本野鳥の会北九州支部からの「建設の見直しを求める要望書」、「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」からの「建設中止を求める要望書」と「建設反対署名」を事業者の「ひびきウインドエナジー」に提出しましたが、事業者に軽視されたのか何の反応もなく、実効性ある野鳥対策を実施する予定もないようです。25基の風車がすべて海上に林立すれば、どれほどの野鳥が風車の羽根に弾き飛ばされ、叩き落されることでしょうか。考えただけでも恐ろしくなります。さらにその被害実態は海上のため、ほぼ把握できず、事業者は形ばかりの事後調査で「影響はやはり小さかった」と胸を張るのでしょうか。数年後?白島で集団繁殖するオオミズナギドリが激減したとき、生物多様性の重要性を掲げている北九州市は「洋上風力発電の影響ではない!」とでも言うでしょうか。事業を誘致した手前、その責任を20年間負うことになるでしょう。そんなことよりも、2025年度から順次運転開始する洋上風力発電に対しては、野鳥への被害について追及の手をゆるめずに、保護団体らしい行動をしていかなければなりません。

【追記】風力発電先進国のヨーロッパでは、建設適地のゾーニングが積極的に実施され、野鳥への影響調査も大がかりに行われているようです。野鳥への被害を減らすために、最大4マイル(約6.4キロ)先で野鳥の群れを検知し、風車の回転を停止させるレーダーが開発され、さらにロビンレーダー社が開発したレーダーは、驚くほど小さな群れでも検知し、AI種識別技術と組み合わせることで、風車の回転を停止させる。オランダの沖合風力発電でデビューするという。(引用:カールトン・リード2024.08) ところが日本ではどうでしょうか。“たかが鳥のために費用も手間もかけられない” とばかりに、ヨーロッパの対策事例には見向きもせず、ひたすら政府の大号令のもと、事業者は有利な補助金と利権を求めて、分別のない計画をどんどん出し、計画地の地元住民や自治体の反対を受けるや、紛糾させるだけさせて、さっさと撤退するという無責任極まりない事例が少なくありません。翻弄され、しこりが残った地域のことなどおかまいなしです。政府による改善策は期待できないため、当該自治体が連携して、規制を強化しなければなりません。

 このブログをいつも見ていただいている方からコメントが寄せられました。「CO2吸収源の森林を大規模伐採して、20年ほどしか稼働できない今の再エネ事業は、トータルに見ればCO2削減どころか増加させていることは明らかです。再エネ政策は、再エネ賦課金を国民から集め、これを発電事業者にFITという形で支払うことで建設事業を活発化する経済政策であり、環境政策ではありません。こんなことを続けていると、地球の環境はずたずたになってしまいます。経済政策としてもFITまたはそれに類似した補助金制度が終了すれば成立しなくなります。国際情勢が不安定な中、再エネ政策は見直される時期に来ているのではないでしょうか。」