野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

新北九州市長への意見書

2023-10-13 12:13:41 | 日記

 建設工事が始まっている北九州市若松沖の洋上風力発電は、「2016年に北九州市が公募し、8企業グループが公募に参加予定、2017年1月までに事業者が決定する。そして環境アセスを経て2021年度着工予定」と、2016年9月8日付の西日本新聞が報じています。その後、現在の事業者が選定され、環境アセス手続きから建設工事開始までの経緯と、風力発電の負の部分など、新市長はあまりご存知ないのではないかと思い、この度の建設中止を求める要望書について、「市民の声」制度を利用して意見書を提出しました。 以下、その要旨を紹介します。

 

 北九州市長 武内 和久 様

北九州響灘洋上ウインドファーム事業に対して

洋上風車建設の中止を求める要望書を提出した件について

令和5年10月10日 

風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州

「若松沖響灘は北九州市の生物多様性を象徴する海域です」                                

現在、事業者が進めている事業実施区域は、その周辺海域及び沿岸部において、1年を通して生息する留鳥と、繁殖のために渡来する夏鳥、越冬のために渡来する冬鳥、そして移動途中に立ち寄る旅鳥など、多くの鳥類が生息し、絶滅危惧種等の重要種は30種にも及びます。中でも、白島で集団繁殖するオオミズナギドリ(日ソ・日豪渡り鳥条約掲載種)や、島嶼地域のみに生息するカラスバト(準絶滅危惧種・国指定天然記念物)、魚類を主食とするミサゴ(準絶滅危惧種)、越冬するカモメ類などは、この海域の生物多様性を象徴しております。2017年に北九州市が試行した響灘海域のゾーニングのためのスクリーニングでは、対象事業実施区域を含む一帯の海域は、洋上風力発電設置困難エリアとされました。その根拠の一つが、希少な鳥類が生息し、北九州市内では稀な島嶼地域の生物多様性を支える海域である事と私たちは認識しています。

「環境影響評価制度では鳥類への影響を軽減することはできません」                              

鳥類などへの影響軽減のための環境影響評価(以下、環境アセス)制度において、事業者がその手続きを踏んできました。それに対して当初野鳥保護団体からの意見としては、風車の設置場所の変更や設置基数削減等の計画見直しを提言しました。その後、事前調査の不十分さや、鳥類への影響軽減策(バードストライク防止策など)が実効性に乏しいことから、このまま事業を進めるべきでないと提言するに至りました。また、北九州市が主催する環境アセス審査会においても、委員から再調査の提言や、鳥類への影響を危惧する意見が出されたにもかかわらず、改善されることなく、審査会意見を軽視するかのような事業者の対応でした。そして、審査会の意見を尊重し、事業者に提言する市長意見も、鳥類への影響を軽減させるには有効な意見ではありませんでした。北九州市が公募誘致した事業であることから、事業者に対して厳しい意見を言えなかった事情があることが推察できます。環境アセスに対するパブリックコメントもその意見を聴くだけで(検討も実行もしないで済む)手続きが進んでいくという、事業優先のあり方に大きな問題があります。市民向けの説明会に至っては、市民からの意見も公開されない、記録もされないという、市民の意見軽視も甚だしいです。まさに環境アセスが形骸化していると言われる所以です。これでは響灘海域の鳥類を洋上風車のバードストライクから守ることはできません。

「野鳥と風力発電の共存に向けてご尽力をお願い致します」                              

私どもは、風力発電の導入については、既存のエネルギーを自然エネルギーへ転換していくために重要な事業と考えておりますが、この度の洋上風車25基を設置するという事業が、当該海域に生息する鳥類に多大な影響を及ぼすことが懸念されるにもかかわらず、事業者による実効性ある対策は全くありません。このまま建設工事を進め、稼働開始すれば、多数のバードストライクが発生し、北九州市が掲げる生物多様性の保全に汚点が残ると予想します。そのようなことにならないためにも、公募誘致した北九州市の責任として、早急に事業者と協議を行い、勇気を持って引き返す英断をお願い致します。「環境未来都市」「SDGS未来都市」の名に恥じない、「野鳥と風力発電の共存」に向けた行動を起こしていただき、将来に禍根を残すことなく、評価される北九州市となることを望みます。

 この意見書に対して、武内市長からのコメントを求めていますが、担当部署の見解をコピーしたコメントになるのか、それとも武内市長なりのコメントがもらえるのか、さて如何に?                          

 話は変わって、私たち野鳥をシンボルとする保護団体としては、野鳥と風力発電問題のほかにも、積年の課題があります。北九州市内では最も多くの野鳥を観察することのできる小倉南区曽根干潟の保全問題や、響灘埋立地のチュウヒ(国内では南限の繁殖地・種の保存法における国内希少野生動植物種に指定)の保全問題など、武内市長と北九州市内の保護団体とで、面談が実現し、北九州市の環境保全がよりよい報告に向かうことを願っています。

 

                       

 



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