プラスチック標本を眺めていると
標本を作ったひとの
心の原点に 接触できそうな
瞬間がある
出来るだけ長く形にして
留め置こうと願う執拗なまでの欲求
そして その奥に潜む
届かぬものへの 深い絶望に似た憧憬
胸の奥深く沈め
いつまでも抱き続けたいと願う
怨念にも似た憧憬は
この標本のいったいどこに隠れているのだろう
プラスチックの標本が
美しいのになぜか哀しいのは
決して終わることのないはずの形の行方が
眺めれば眺めるほど ますます
遠ざかってしまうその時間性である
(1972)
標本を作ったひとの
心の原点に 接触できそうな
瞬間がある
出来るだけ長く形にして
留め置こうと願う執拗なまでの欲求
そして その奥に潜む
届かぬものへの 深い絶望に似た憧憬
胸の奥深く沈め
いつまでも抱き続けたいと願う
怨念にも似た憧憬は
この標本のいったいどこに隠れているのだろう
プラスチックの標本が
美しいのになぜか哀しいのは
決して終わることのないはずの形の行方が
眺めれば眺めるほど ますます
遠ざかってしまうその時間性である
(1972)
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