遊行吟遊

短詩型作品等

日本国憲法

2014-06-15 09:26:16 | 詩・短詩

こんな世が
来るとは思いもしなかった
戦争放棄を 批判する世が

こんな世が
来ようとは思わなかった
「平和憲法」見直す時代が

殺されも殺しも
なかった自衛隊
世界平和の象徴だった

殺されも殺しも
なかった日本国
世界平和のリーダーだった

殺されも殺しも
せずに70年
これこそ日本の大きな誇り


ゴミの責任

2014-01-12 15:59:27 | 詩・短詩
核には
全人類を滅亡に追い込む毒があるという
放射能の毒性が
弱まるまでの時間は
少なくとも
一万年かかるという

同じ長さを
過去に遡ると
石器時代

危険伝説の継承を
代々 三百世代にわたって
伝えていくことは
可能でしょうか

今ある企業が 一万年続いて 生き残っているでしょうか
政権が 一万年変わらずに存在するでしょうか
言語は 変わることなく通じているでしょうか

廃棄物の処理場が
命に係わる 危険な場所である
ということを
一万年後まで
一体
誰が
どうやって
伝えていくというのでしょうか

ゴミ処理の責任は
一体 誰が負うのだろう

憧れ

2011-03-09 20:20:39 | 詩・短詩
届かぬものへの憧れは
すぐに捨ててしまわずに
心の中の奥深く
そっとしまって置きなさい

届かぬものへの憧れは
心の中の奥深く
そっと収めて待ちなさい
思いを凝らして待ちなさい

届かぬことは辛いけど
届いてしまうことよりは
ずっとはるかに美しい
それが一番大事だと
そのうちいつかわかるでしょう

憧れる魂だけは
諦めず
そっと沈めて置きなさい
思いを凝らして待ちなさい

                  (1966)

大晦日の蛾

2011-03-09 16:23:02 | 詩・短詩
久しぶりに帰省した生家の部屋で
大晦日の夜
寝室の電気スタンドの薄暗いルームライトの元
一匹の蛾が 羽ばたいていた。

時もあろうに 冬の師走のこの日まで
どこで どうやって生き延びて来れたのか
しかも 雨戸も締め切られたこの家の
一体どこから侵入して来たのか。

それにしても 
光を求めて あの夏の暑い陽射しから
光の衰えていく季節の中を生き永らえ
その末にやっと ありつけたのが
この 僅か15燭光の灯かりだったとは。

かかった時の長さに比較したら
薄倖としか言いようのない
ささやかな
あまりにもささやかな光にも
蛾は 無邪気にも 
ほら こんなに 喜びに翅を震わせている。

蛾よ 慎ましい蛾よ。さあ、死んでいくがよい
それが お前に定められた本来の姿なのだから
歓びにに満ちて 死んでいくがよい
そんなお前を 私は讃えよう。

明日は 新年。

                       (1965)