…なんか、深山さんしか、読んでないみたいな態になっていますが、ちゃんと読んではいるんです。坂木さんとか宮部さんとかさ。
でも、ここに記録しとくべきほどのモノは、深山さんのしかなかったんだよなぁ。てことで、安定の深山さんです。大正もの第二弾。
紗子嬢経営の華族のお屋敷下宿屋、やはりおもしろかったです。下宿屋の面々が頼もしくおもしろく、今回も和みました。主役ふたりの恋物語とともに。
ただ今回はしのさんとミツさんにもってかれてしまいましたねー。
わたし、しのさんミツさんターンはもっと先と勝手に思いこんでいたので、予想外の早出しにアレレとびっくりしてしまいました。まあ、ストーカー脳内モウソウ女とDV元旦那の組み合わせが、淡路と宮を思い出すといえばそうなので、さっさとケリつけてしまいたかったのかもしれませんが。
ミツさんが意外男前で、もっと寝汚いとことか女性対応に四苦八苦してるとことかさんざ見せてから、しのさんほだされ系と目論んでいただけに、あらー、早いわーてなったのかもしれません。ミツさんは株確実にワタクシ内であがりましたけど。
ああ、それからおばーさま登場も早かったです。もっと本編にしっかり絡んでくると思って期待してただけに、肩透かしをくらった気分です。できればシリーズクライマックス、お家存続のために紗子嬢が敢えて臨む、ベタな見合い現場ににっちもさっちもいかなくなった状況で、伊織さん登場、華麗に奪取が見たかったんですが。つーか、帝大生ではそこんとこ無理なので、やはり仕方ないんですかね。
ほんとは、落ちこぼれ嫡男みたく、地道に出世して堂々と、というのが見たいなぁ。
ワタクシ、カイショある男の人が大好きなので、手に手を取ってとか、親兄弟捨ててとかは、ばかもーん、て興ざめしてしまうらしいです。夢希望より明日のコメのが大事、と言い切るクチなので。女房に食べさせるカイショのない男は、恋を語る資格なしと思っています。
深山さんはそこんとこ実に分かってらして、くだんの嫡男なんかは、その典型、すんばらしく地に足就いた恋愛もので好きでした。霜月せんせもそうだったよね。できれば伊織さんも早くお医者になって稼げる人になってから仲を進展させていただきたい。ですからワタクシ的には時期尚早感が強く、そんなら伊織さんとこの家庭内処理のが先でいいんじゃね?でした。
あー、でもばあさん先鋒、父ちゃんラスボスな扱いなんでしょうか。つーか、何かしのさんミツさんにしろ、やたら展開早くて、かぎろい的早じまい再びかと戦々恐々であります。
頼むわー、出版界。
あああ、それと貫さんの連れて行く先が、前巻に引き続きとてつもなく知りたいです。貫さん…いったいどんな裏の顔もってるんだ。ときめくじゃないか。実は作中で一番のときめきナイス初老でありますうふふ。
狂乱の関西行きで、しかもぷりんせす無量がお供してたので、正月休みにのんびり奈良を思い出しつつ読みました。ああ、でも堪能した。
出版事情でですか、1巻のわりかし早いうちから主人公がくっいついてしまいましたので、さあ2巻以降はやはり仲麻呂の乱よね、そうよねとわくわく読みはじめましたが、深山さん公言通り絶妙にかすって通り抜けてましたね。まあいいです。それでこそ少女小説。
しかし2巻の上皇への毒殺未遂など、おしかっちゃんの独善的なとこが、少女小説なりにもちゃんと描かれていてわたくし的にはうふふでしたし、ワガママ三昧美形坊主に骨抜きにされた一人っ子皇女だった孝謙嬢ちゃんが、意外に好感触に描かれてて新鮮でもありました。ワタクシ的とらえでは、あの乱はワガママ藤氏の内輪もめ以外の何物でもなく、不比ちゃんが草葉の陰で青筋立ててるわよー、という感じでしたので。
四十路の独身上皇の不器用な初恋てとらえ方は、何かときめきました。おしかっちゃんの残念さは、まあテッパンだよね。
ただ一つよかったのは東子の処遇が悲惨なものでなくてほっとしました。いっくらワガママ三昧の恵美家の息女でも、ちと惨い。そんならおしかっちゃんを屍O……いえ、すいません。ごめんなさい。許してください。気持ち悪い。はいそうです。発熱で歪んでるんです思考が。
しまった主人公カップルのことを何も書いてない。
いえ、あっさりまとまって、しかも身内も公認らしいと、のほほんと見てしまったのですよね。身分とかどうとか、あの頃は平安ほどまだきつくもないでしょうし。郡司の娘がなったっていいじゃないのさ。
八尋ままの泣き落としがまたかわいくてヨカッタです。できればじいさまにも登場していただきたかった。絶対いい味出してると思うんだけどなー。フェイドアウトを切望する元皇孫。そんで真奈ちゃんをうんと気に入って、苦虫かみつぶすぱぱを笑い飛ばせばいい。
どっちかというと、気になるのは八尋さまでなくおにーちゃんの方でした。もしかして、深山さん…?と邪推してしまう処遇。いえ、まああの時代出家は一種ステイタスで、貴族のボンが御仏の教えに傾倒し、てわりかし許容範囲内ですけど、ついつい先に出家してしまった幼なじみを追っかけてんのかと。すいません。
薬草の知識についても、たいへん興味深く読みました。いつかまたどこかで披露してほしいです。
総じて、マイナーな奈良時代を、何とか3冊でも出してもらえてよかった、というところなのでしょうな。ワタクシとしましては最低でも4冊、と鼻息荒く望んでいましたが、このご時世に善戦したものです。
つーか、だれかー、おもしろい古代ものをー、できれば10冊くらい出してくださーいー。
今度はちゃんと。
謹賀新年。今年もよろしくお願いいたします。
さて、待ちに待った柴田さんの新刊でした。
高原リゾートのカフェの主に転身した女性の、お店運営記。周りの人たちや、転身前のしがらみや、そんなのもろもろひっくるめて、百合が原高原で過ごす1年が描かれています。
安定のていねいで繊細な筆致で、菜穂さんの心情と自然の移り変わりを綴ってて、自分も転身したみたいな気持ちでいっきに読ませていただきました。やー、夢ですよ。そんな生活。仕事抱えてる女としては、一度はそんな大決断を夢見ませんか。料理はそんなに得意じゃないし、雪や過疎のつらさも身に染みてはいるのですが、ついつい別天地での生活というものに憧れてしまいます。
そして特筆すべきは、数々のおいしいものたちでしょうなぁ。レビューでもダントツ食べ物の感想が多かった。
お話の中に数々のおいしいものたちが出てきますが、それら一つひとつが魅力的でお話をうまく演出している。表題のベーコンサンドは言うにおよばず、和菓子アンソロジーに掲載された淡雪羹なんかも秀逸。料理じゃないけど、ひよこ牧場の食材やあおぞらベーカリーのパンも食欲を刺激されました。つーか、伊藤夫妻はきっと帰ってきますよね。ものすごく待ってます。
あとはリリー・フィールドホテルのシェフが気になって仕方ありません。ぶっちゃけ甥っ子も気になります。あのあたり、なんか楽しいサイドストーリィとかありそうで期待してます。それとも他作品とリンクしてたりするんでしょうか。柴田さんの全作網羅しているわけではないので、シェフ情報求めます。
あとは田中さんがよかったです。この作品のきっかけとなっている田中さんがいい味だしてる。それこそスープの中のベーコンのように。私は必ず洋ものスープは、炒めたベーコンをダシにします。
続編を期待しつつ、あー、おいしかったと本を閉じました。
さ、今夜はテレビの前に正座で待機。天使ちゃんがかえってくるぅ~w
冬の夜話になってしまいました。夏だったらもっと楽しいのに。
まあでも寒かろうがやはり小野女史のホラーは怖くて素敵です。堪能いたしました。
家にまつわる6つの短編集ですが、営繕業の方がレギュラーなだけで、あとはまったく独立していたので、どっからでも読みやすいお話になってました。小野女史というと緻密に編み上げてゴール、て印象が私の中では悪霊シリーズのせいで揺るぎないですから、ちょっとそこだけは肩透かし。いえ、これからまたすべて絡んでくるかもしれませんから、まだまだ落胆などはしてられませんがね。
「奥庭より」と「雨の鈴」が怖かったな。奥庭は、やはりひっかき傷というのがさも苦しそうで辛そうで、怖さ倍増です。柄杓を手に、外を眺めて安らげた、在室の方の安息を心より祈ります。私は同居無理ですが。
雨の鈴は、私どっかで似たようなお話を聞いたことがあるらしく(しかもおそらくうんとちびっこの頃)、ゾクゾク度がパなかったです。怖かった…。少しずつ自宅に迫ってくる喪服の女性、というモチーフが鮮明で、彼女が表している「死」がまさに理不尽で唐突で恐怖で悲しみで「死」というものの本質なのを実感しました。
生きなあかんですよ。
その点「異形の人」や「檻の外」なんかは現代社会の惨さを如実に物語っていまして、怖いというより哀れを感じました。明日は我が身と戒めるより、それらのことを悲しいと思える身の上でいられることに感謝しつつ、哀れを覚えられる環境を大切にしようと思いました。
どのお話も一つひとつ、繊細にていねいに作り上げられていて、怖さの中にも古い街の独特のうつくしさをもっていて、久しぶりに現代日本の良さを味わいました。江戸とか古代にばっかトばず、しっかり地に足つけとけ、襟をただす心もちもさせてもらいました。
いやー、忘れてたわけではないんですが、ずっと放置。よく残っててくれたよ書店。ウィングス文庫に対して薄情な対応をする地元本屋ですが、鴉ちゃんだけは死守してくれたらしい。感謝。
で、読みましたすぐに。ないない言うてて買い逃してるなんざ、本棚の窮状は、やはり当方の怠惰が最たる原因かと反省。すぐ読みました。おもしろかったし。久々の宇宙。
ルシファのおめざの場面がいちばん楽しかったです。憲兵隊長の恋メロもその副官とのやりとりもイラネでしたが、キレイドコロ一堂に会してのライラの渾身の一撃が大ヒットでしたのでチャラです。あーもーほんとライラ大好きだ。もっともっと出てほしい。
大ヒットされて、のっとられかけてたルシファは覚醒しましたが、あれって封印とやらはまだ解けてないんでしょうか。謎です。ご先祖ちょちょいと解いてけばよかったのに。行きがけの駄賃がちと少ないわ。
二コルがやや正気づいたようで、それについては何よりでした。水麗人はアタクシ的にはイラネなんですけどね。二コルはグラディのカテキョがんばるといいよ。グラディは早く回復して士官学校進学してもらいたいです。そして尉官としてばりばり活躍してほしい。あら、ということはわたし鴉ちゃんではサイコドクターズ以外は女子押しなのですね。ふむ。大体オナゴに点が辛い中、珍しいことです。
いやー、そういやレスおねーさまもコワイけど嫌いじゃないしなぁ。あー、キライっていえばバンカー夫人だけだわ。あのおばさま臭がいやなんだよな。なんつーか、メリッサとかには感じないおばさま特有のずるさが許せない。惑星大統領も同類項。
その点、ベンのかわいらしさはサラに不可欠で頼みますて感じです。ぜひ拉致の時は一緒に。サラの足かせになり苦しむベン。うふふふ、かわゆいに違いない。
と、鬼畜ってる自覚は十分ありますが、も一つおまけに鬼畜れば、現行の年一冊の発行ペースを作者様には死守していただきたい。これ以上延びるとつらいです切実に。
ゴール見えてきたんなら、ベースアップは無理でもペース維持はしてほしいです。頼む。
某所で発売時に話題になっていたので、ちょっと試しに買ってみました。
同人されていたとかサイトあるとかで、アマチュアがプロになったような方かなーと、一昔前の同人排出作家さんを思い起こし、気軽に手に取ってみました。
率直に言えば確かに同人的な内輪感を出ていない感触は否めないですが、書き慣れている感はあって読みやすかったです。私は年代的にこういうのに抵抗なく買ってきたクチなので、まあ次も出たら買うかなくらいには。
捕虜になってた敵国将軍と彼と心通わせた獄吏の奴隷少女のハートフル恋物語なのですが、養い親と養い子の関係から始まっていて、最後に結ばれます。主人公の元奴隷少女ブランカが、少女から女性へと成長していく過程の中で、自らの生き方だったり、人との対し方だったり、いろいろな場面での成長が丁寧に描かれていて、読みごたえはあります。
とてもまじめに真摯にお話に向き合ってる方だなーと思いました。いつものノリで癒されようと手にすると、いきなりの重たさに回れ右したかもしれません。いや比較的有閑期でよかったよ。
言葉から始まって、文化の違い、お約束の学校でのいざこざ、ブランカちゃんには、異邦であれば当たり前の試練がいろいろめぐってくるのですが、そのあたりが絶妙に痛すぎず、なんとか読み進めていける感じ。
必ず彼女の周りには助けてくれる温かい人がいて(いえ養い親筆頭にそれはもう多数)、ハラハラ感はあまりなく読めたのが勝因です。
そしてそして。私を惹きつけてやまなかった要因は文体。
どこか佐々木丸美さんを彷彿とさせるんですよねぇ。一人称とか、北国の叙述とか。そんでもって年上の養い親に恋心抱くとことか。
佐々木さんに関しましては、とにかくもう「すげぇ好き」で、いつかこの場でおおいに語りつくしたいおヒトであります。なのでここではあまり触れませんが、少女の一途な思いや自立への矜持なんかはものすごく似通っていて、懐かしく思い起こさせていただきました。さしずめ祐也さんと飛鳥だよなーと。
いえいえ佐々木さんの描く少女よりは現代仕様でよほどマイルドに仕上がってはいますがね。
なんにせよ思わぬ拾い物した気分であります。
私としては、巷で言われるほどまずいものではありませんでした。
彩雲国の次作としては、まああんなものかなと。
いえ、確かにツッコミどころとかワケワカンネとことか、あるにはあるのですが、たぶんこの方はその辺りが(彩雲国でもそうでしたが)得意な方ではないのだろうと感じました。
まあ、緻密な世界構成には目をつぶって楽しもうという姿勢で読めば、楽しいんじゃないかなぁと。 少なくとも今後謎が明かされるのではとか、どっかでつじつま合うのかもとか期待はしないで楽しみたいです。
私はたぶん、この人の文章や根底にあるどっぷりヒューマニズムが好きなので、わりあい無茶にも寛容になれるのでしょうね。じいばあが活躍するし、反戦前面だし、彩雲とそう変わってないなと思いました。
あと登場人物も。ギィとかレナートとか好きだし、苦労人ぽいセシル宰相もよいです。アキも好きですよ。いいね、絶望している策士。今後はアリュージャとユーディアスの相克なんかもおいしく待ちたいと思います。
ま、でも、一番はやっぱアリル少年ですけど。つーか好きですなー、雪乃さんも。しょたヤマイは持ち合わせておりませんが、背伸びする男の子というのはテッパンですので素直に応援。ヒロインとの逆年齢差もヨシ。
そうそう、ミアちゃんも好きですよ。がんばってる女の子。
というか、雪乃さんの描く登場人物像は、どっかしらイッちゃってる面とまっとうな面と兼ね合わせていて、そこが私的には楽しめるのでしょうな。霜島さんにも共通する悪役にも愛を精神です。
いろんな事情があって、敵対したり陥れたりしてるのが分かるので嫌いになれない。たぶんこの人は人情ものとか書かせた方がむいてるんでしょう。
さてまだ1巻ですから、これから続くわけですが、売り上げとか評判とかちょっと予断を許さないものがあるだけにヒヤヒヤです。天下の新O社が、新レーベル立ち上げたわけなんだから、そうそう無情なことはしないと期待したいんですがね。
頼むわー。
いやもう、ただただ真堂さんだから買っただけです。あほっぽいお姫様モノとかイタタじゃなかったらもう何でもこいな感じで。
内容自体はフツーです。詳しくないんですが、舞台モノのノベライズ?なんですかね。私とんとそっちに疎いので。
戦国の世で最強の盾と矛と呼ばれた二人が、自国が滅亡することで敵対し、戦の中で互いを確かめ合っていく、という、まあ、あるあるなお話です。織田信長サマと三国志足して二で割ったような時代背景と登場人物とお考えいただければよろしいかと。対人関係とか物語世界の理解はそれでおけー。
私は読み終わるまで何の原作なのか確認しなかったので、はじめゲームのノベライズかしらと思いつつ読み進めました。そして「あー、これゲームだとしたら軍師萌えとか武将萌えとかあるわけね」と。
世の戦国萌えな人々が好きそなキャラクターがそこここ出てきますので、そういう方は好みにあうかと思います。張飛くんタイプのシンパチさまとか、ナンバー2好きのためのコウエイさまとか。あ、ちゃんと忍び好きにも対応しております。無頼漢もいたし。
真堂さんですから、破綻なく書きあがっていますし、原作自体も目を覆うような設定はしていないのですが、ただなー、欲を言えば登場人物の心情的やり取りをもっとていねいに書いてほしかったです。
真堂さんならそれくらいの力量はあると思うんだよ。ト書きじゃないんだからさ、舞台で仕種や表情、雰囲気で伝えるものを、もっと文章で克明に伝えてほしかった。
ツムギの冷酷な仕打ちに隠された想いが明るみに出たときの場面とか、ヒャクタカにツムギが白百合を託した時のやりとりとか、もっと加筆して魅せてほしかった。やはり舞台をそのまま小説にするのでなく、小説にすることで出てくる面白みというか味わいを大切にしてほしかったです。
いえね、真堂さんがご自分の作品でもないので遠慮したんならそら仕方ないですが。
そしてちらりと思いましたね。これ朝香さんだったらどう書くかなーと。
まあ、絵空事ですが。
そしてそして真堂さんにはぜひにもちゃんと骨太な作品を出していただきたい、と鼻息荒くしめさせていただきます。
あー、もうホントつまらん。脆弱過ぎるわ今のオナゴ小説界。
安定の深山さんです。もうこの人しか作家買いしないしワタクシ。
かぎろひはまだ未読です。もったいなくて読めません。今夏は奈良行きを断念したので、奈良行きの際にぜひと大切にとっておいてあります。
いや、でもさすがです。面白かった。大正モノも。
貴族令嬢の紗子嬢が、ひょんなことから助けられた御仁に部屋貸しすることになり、結果下宿屋を始めるわけなのですが、イタタな展開とかなくて安心して読めました。
紗子嬢と伊織青年のやりとりも微笑ましく、また下宿人の面々も安定の個性派ぞろいで良いです。そして紗子嬢にふりかかる災難を騎士たちよろしくみんなで解決。
好きですね。定番かつお約束な展開ですが楽しめます。まあ深山さんの文章力のなせるわざなのでしょうが。
今後が気になるのは下宿屋の面々です。やはりしのさんと光也くんの寝起き攻防の行方や尚彦少年とりんちゃんのちいさな恋メロや、いろいろワキにも物語があふれていて興味深いです。紗子嬢のご学友梨影嬢が下宿人のどの方と親しくなるかとか、いやもう楽しみで。
あとはもう深山さん節炸裂というか、残念な父親と祖母君の登場はいつとか、今後予定される泥沼も楽しみですし。
できれば、なでしこで叶わなかった女学校ライフの醍醐味も味わわせていただけることを願い、次巻をわくわくで待ちたいと思います。
あー、久しぶりに満点でおもしろかった少女小説でした。
月が赤い夜ですね。こんな時間帯に見ることができるなんてラッキーなんでしょうな。
さて第3弾ー。あさのさん恋物語。話の筋は普通に時代物ですが、やはり登場人物的魅力はあさのさんが一つ抜きんでていますな。お八重ちゃんにしろおちかちゃんにしろ。おばあ様もよし。とにかくあたご屋の面々がみんな好きです。
ただなー。今回どうしても男衆が好きになれませなんだ。川獺くんはじめとしてみんな。あ、いえあたご屋のおとっつぁんだけは別ですが。なんつーか、魅力を感じなかったです。お八重ちゃんあんなのでいいのかー。おちかちゃんのがよっぽど甲斐性あるぜぃ。
最後おそらく川獺くんとは再会したのでしょうが、果たして履物職人とお店の跡取り娘は一緒になれるのか。ううむ、どっちかってーとあたご屋を継いで自立してくお八重ちゃんとその右腕おちかちゃんの成長ものだった気がします。つか恋物語てついてるけどイラネ的な。あははははすいやせん。
どのお話も楽しく読ませていただいたのですが、予約みっしりのとこに同時にきたものだから、とりあえずスピード勝負で読んでしまったので、堪能とまでいかずちと残念です。いえ自業自得なんですけども。
で、第2弾は畠中さんの若旦那シリーズ。安定でしたね。今回も。
私はおりんちゃんは大賛成です。てか出てきた時からこの娘だといいなぁと思っておりました。これからうんときれいな娘さんになるといい。楽しみだ。
おたえさんも相変わらず最強ままで何よりです。規模がちがうよね、箱入りは。
今回仁吉さんたちの進退を問うお話が出てきていましたが、千年待って生まれ変わる若旦那に再会したいと言った彼にじんときました。いいなぁ。恋や愛でなくてもいいのです。それだけ強く慕える相手がいるということは、途方もない幸せなんではないでしょうか。白沢さん。
あとやはり若旦那の病人っぷりも素晴らしかったです。仁吉さんの作る薬湯の色の推移がなんとも…だんだん三途の川色になってくて、家鳴、描写がコワいわー。
おりんちゃんがお嫁に来るころには、きっと――いや、相変わらず気合の入った病人ぶりだろうねぇ。
先週末は、はるばる北の地へ赴いてまして、しかもおさだまりの風邪をひきこんで半月ほどになりますので、見事に何も読まなかった長月後半でした。つかそんなら行くなやほっかいどー。
いかにいま現在私の中での本の地位の凋落っぷりが凄まじいかを物語っていますな。はははは。
じゃない。緊急事態ですよ。首キリンにして発刊楽しみにしている本がないなんて。
そんな中でもしぶとく図書館通いです。つか、かるい気持ちで予約しといた江戸モノ3点が同時に届いたものだから嬉しい悲鳴ってやつなんでしょうな。
まずは宮部さん「荒神」が先着。いそいそと読みましたら、江戸モノというよりバケモノ退治でした。
いえ、舞台は元禄江戸真っ盛りなのですが、山間の村で起こった奇病と一村逃散、それに関わる人々の人間模様を中心にしているので、あまり時代物という感じを受けませんでした。
どっちかっていうとホラー。
山から出でたバケモノを、皆で退治ていくわけですが、このバケモノがまた強い。酸は吐くわ保護色使うわウロコ激硬だわ、ほんと無敵でげっそりしました。最後は奥の手っつーか限定アイテムで滅びるわけですが、なんか…やっぱやりきれない気持ちで本を閉じました。
いえね、朱音さまにしても弾正兄ちゃんにしても、ああいう終わり方がいちばん良かったのかもしれないけれど、幸ある生だったとは言えないよなぁと。生まれた時から不幸しょって、そんでその不幸の後始末してて…やはりむごいと思います。まあ宮部さんらしい不条理でしたがね。大団円はないにしても、もちっと、救いが欲しかった。
ぶっちゃけてしまえば、アタシは弾正兄ちゃんが好きでたまんなかったのですよ。忌まわしいと生まれた時から疎んじられて、世をすねて育ったカイショだけはありまくりのお兄ちゃん。モロ好みです。
妹へのゆがんだ自己愛なんかもう、ど真ん中ですことよ。
宗栄さんもなー、思い人に自ら成敗してくれと依頼されてそれ引き受けるて……イタタなお人です。城下でいろんな後始末終えた後、果たしてあの方はどうしたんでしょうかね。村へは帰らなかった気がする。江戸にも帰ってないだろうな。もういっそあのお寺の後任のお坊さんになって、みんなを供養するのがいいと思ってしまいました。
いや不憫なのはダントツ菊池さんちの圓州さんだったんですけどね。朱音さまも惨い依頼をするよなぁとつくづく。絵師冥利につきるとはいえ、正気を手放してまで追っかけたい絵心というものが私にはわからんです。まったくの部外者でありながら、いちばんワリくっちゃった人だと思います。傑作遺して満足に死んでったにしても。
その点で言えば、蓑吉と源じいが今回いちばんお得だったかなと。言葉は悪いの承知ですが、何も失わなかったのはこの2人だった気がします。ああ、ハナが残ったから得たものがあるよな。そしたらやはり山の神様は蓑吉にだけは大盤振る舞いな気がします。
そもそも、私にとっての山の神様はやはり畏れ敬うもので、決して慈悲深くも守り神でもないわけでして。いわんや厳しい自然環境の東北山間部でそんなカミサマいるわけないというのが一貫した見解です。ですから、この陸奥の山奥(おそらく福島)で起こった一件も、どっかしら東北らしくないつーか、東北の山が舞台じゃない観が否めませんでした。いえ、私とて厳寒の東北を知っているわけではないですが、どっちかというともっと南の温暖な山みたいな印象を受けました。あさのさんや霜島さんあたりだと抜群にそのあたりお上手ですがね。そこだけはちと残念。山モノ好きとしては、山の怖ろしさをもっとリアルに描いてほしかったです。
そもそも私は人死が苦手で、ミステリと名のつくものは日常ものが読む主流、探偵ものなど片手くらいしか読んだことがありません。ですから王道も王道、シャーロック・ホームズなど、実はちびっこ時代の小学生向けか、課題でいやいや読まされた英文ものしか知らないわけで。
無論、原点となっている「緋色の研究」も知らんのですよ。解説の方が読んだ方が、とおっしゃってくださいましたが、今後も読む予定なし!
つーくらいシャーロキアンからは程遠い私がなんでこの本を読んだのかといえばひとえに高殿さんだったからです。つーても、登場人物がみんな女性だったことも大きな要因かな。らぶに走られると逃げたしたくなるんだ高殿さんのは。
現代に生きるホームズとワトソンの女性版でしたが、なかなかにおもしろく読ませていただきました。殺人事件はやっぱキライですがね。
ネタがまた男性シャーロキアンが躊躇するネタで、これ知らずに読んだ人いたらちと可哀そうだなぁと思ってしまいました。いや、女性にとっては身近な単語だけどさ、ああも連呼されると女でもちと面はゆいですよ。
中身自体は安定の推理ものなんでしょうが、私自身まったくそちらの素養が育っていないもので、ジョーよりさらに脳みそ使ってない輩としましては、ほへーとなっているうちに事件が進んでいきました。
つーか、そういうミステリ脳機能がないに等しい私でも、するする楽しく読めるのがいいかもしれません。
パンケーキの叙述とか、ヒースローまでの常識はずれの追跡行とか、楽しくはっちゃけてて活劇としても楽しめます。アパッチはすごいよ……。アヒルはまだしも。
あと、物語の良心的存在のはずのワトソンが、いろいろ隠し持ってそうなのも興味深いです。戦地で何が彼女に起こったのか、また白雪ちゃんと化したホームズに何が起きたのか、続刊が楽しみです。
つーてもなー。ほんと昨今の出版界は生殺しばっかなので、続き物は正直いやなのですよね。うそ、そんな幕引きで次巻出なかったらどうすんのよ!という経験が多数ある身としましては、せめて白雪ちゃん化したシャーリーがどうしてそうなったのかの経緯だけは書ききってほしいものです。つーか高殿さんの場合カーリー続刊が最優先事項だけど。
3巻出るて聞いたのいつだったっけ。一昨年の気がするんだけど。ほんとに来月出るのか。
何にせよ堪能しました。女の子だらけのミステリ。
で、えー、楽しみに待ってました。
豪ちゃんたちとはうってかわって底抜けに明るく、でも大切なことはしっかりと伝わってくる、弱っているときでもだいじょぶな一冊。だって、またまた仕事が大変なことになってるんだもんよ。ココロ折れないように、つまみぐいくらい許せ。
勇作少年のいっそ見事なまでの温泉愛と野球愛ににまにま楽しく読ませていただきました。
今回は夏ではなく春の選抜だったわけですが、甲子園への憧憬とそれに付随する戸惑いや焦りや不安がちゃんと明るおもろい中にもしっかり入ってて、あさのさんの描く少年ならではのきらきらでした。
山田投手と一良捕手とのやりとりも好きですが、なんですか今回ご住職にワタクシがっちりハートをつかまれてしまったらしく、ご住職が出てくると一人できゅーきゅー言ってましたよ。ああん、いいわ。オトコマエ。
あと、大木さんがスタンドに回ってしまったことに涙でした。不健康そうなスラッガー、そしてお菓子作りの名人なんて、もうもう、すごい好みど真ん中だったので。もっともっと出てほしかったわー。
好みと言えば、勇作少年の横道それまくりの語りも今回大いに楽しみにしていました。どんだけ外れてってもちゃんと戻ってくるとこがおもしろおかしくて、1巻はそれを半ば楽しみに読んでましたから。
今回もちょこちょこ逸れはするのですが、大幅に逸れすぎず、自ら戒めて戻ってきてしまい、ちと残念。
いえ、あのまんまずれてくと、きっとページ数が2倍になってしまうでしょうからそれでいいんでしょうが。
同時進行で敗者たちの方も読んでいたので、余計明るく感じられたのかもしれません。敗者たちの方は比較的あさのさん王道の野球もの。こちらも好きです。ただ弱っている私にはちとイタタだっただけで。
なんですか、ここ上半期あんま本が出ないなー、寂しいなーと思っていました。とはいえ今までが出過ぎなくらいだったんだから、体調と執筆ペースとか大切にしてほしいなーと思っていた矢先に波状攻撃連続刊行で、正直嬉しい悲鳴です。でもできればもちっと散らばせてくれると嬉しいです。読む側としては。
とりあえず次は農高ものと時代物でしょう。素直に楽しみです。
夕鷺さんは、仮花嫁から読み始めたんですが、わたしゃこっちのが好きでしたのでコレ。
花が有害生物と化している世界の、退魔学園モノ? です。
初恋のロザリアを、花に襲われ失ってしまった病弱少年クロードが、一念発起して花を狩るために性別偽って養成学校モント・フロステラに入学し、そこで相棒探したり女装がバレそうになったりあれやこれやとある話です。
1巻しか出てないのですが、まだまだこれから、というところで終わってしまっているので、私としてはあらざんねんーという気持ちでいっぱいでした。
お話自体は花を狩るというところが斬新でしたが、退魔ものも学園ものもあることにはあるので、そのあたりが原因かなーと。男女逆転もですし。
ただねー、私としては単に主人公が珍しく好きでしたのですよ。男の子主人公はだいたいのとこ単純明朗元気者て感じであんま食指が動かんのですが、クロードに限ってはちゃんと男前でカッコイイと好感をもちました。
そんでですね、最大の要因は、色の組み合わせらしいです。
女装主人公は見事な赤で、相方ノワールは黒。しかも赤い方は元気にぎやかやさしくて、黒い方は無口無愛想剣技だけは突出てとこが……どっかのコンビを彷彿とさせてくれたのですよ。
最近読み返してたからかもしれませんが、某バスケまんがの10と11番を思い出してもう。ほろほろゆってしまいました。ああー、大好きだ赤黒コンビ。
これでもちっとノワールが無愛想だとまんまなのですが、正体女の子ですのであれくらいでよいのでしょう。
しっかし、今さらですが出版界の売り上げ至上にちと呆れます。
出すだけ出して放置はやめてほしい。出したからには完結までが一区切りだと思います。それが、書く側と売る側の心意気だと思うのですが。