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ゆる~くね。ゆる~く。

基本【 →Pia-no-jaC← 】の事を書いてますが、好きなものがたくさんありすぎてまとまりがないブログ。

読売新聞夕刊 popstyle 【チャレンジ精神】

2011-09-27 22:42:59 |  →Pia-no-jaC←
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〈転記〉
第4弾では、ピアノジャックのチャレンジ精神について書きたいと思います。
紙面で書いた「P・I・A・N・O・J・A・C」のキーワードでも、「C」にチャレンジ精神は入れたかったんですよねぇ。
私個人としては、彼らのこの部分が最も刺激的で、最もリスペクトするところだと感じています。
オレも頑張ろ!って気持ちにさせてくれるんです。

「いろんなアイドルやアーティストに会ってきたけれど、特に今の時代、色んな課題を与えると『それはできないです』といって、逃げる子が多い。でも、この世界は、チャレンジ精神持ってるやつ、『やります』って言っちゃったものの勝ちなんです。そういう若者が少なくなっている中、ピアノジャックの二人は、指示に対して『とりあえずやってみる』、レクチャーに『とりあえず乗っかってみる』という素直さを持っている。それが、ことごとくハマッっていくんですよね」。
これは、ピアノジャックのサウンドプロデュースを手がける樫原伸彦氏の言葉です。

多彩な経歴を持つ師匠、何でもできるマルチクリエーターが出す「むちゃぶり」とは、いかに「むちゃぶり」なのか分かるでしょう樫原氏とお話をすると非常に気さくで温厚な方なのですが、「2日間、館山に拉致して、2日寝ないで合宿した」なんてスパルタぶりを、事も無げに語るところからすると、現場はカナリのものなのでしょう(笑)。

HAYATOさんの何でもアリの自由な演奏スタイルも、師匠直伝。
「かなりメチャクチャな方で。むちゃぶりだけど、ボクも面白いこと、誰もやってないことをやり続けたいなと思ってたんで」と、HAYATOさん。
樫原氏も尾崎バンドの時、ひじで弾いたり、足で鍵盤をたたいたり、左手でキーボードを縦にして弾いたりなどの武勇伝があったそうなのです。
「テクニックでは先輩ミュージシャンにかなわないから、どう目立つかばかり考えていた」という樫原さんですが、その師匠に「もっと沸かせたい。どうするんですか、教えてください」とHAYATOさんは熱心に教えを請うたということなのです。
とはいえ、師匠・樫原氏もHAYATOさんのパワーには「ボクも同じようにはできない」と脱帽。
そして、樫原氏自身さえ「さすがに無理かな」と思ったむちゃぶりも、二人がギリギリまでチャレンジして必ずこたえてくるというのです。

例えば、手袋をはめて、スタンドを立てて弾く「熊蜂の飛行」。真っ暗闇の中、蛍光塗料をつけた手袋、つなぎの「P」「J」の文字やサングラスだけが浮かび上がる華麗な演出ですが、その影にはものすごい試行錯誤があったとか。
手袋だけでも試作品をいくつも作って試す「これじゃ弾けない」の繰り返し。
立って弾くのは、「足がつる、背中がつる」という苦労の連続だったそう。
長い経験のある樫原さんはそんな時、「これは弾けないだろうな」と、できなかった場合の次善策を用意している。
と思っていると、夜中に電話がかかってくるのだそうです。
HAYATOさんです。立ったまま寝ることなく練習を続けていたHAYATOさんから、樫原さんが電話に出るとただ一言だけ、「出来た」と。
HIROさんも、今回のツアーのためにボイスパーカッションにチャレンジし、猛練習を積んでいました。ツアー直前の3日間は、「ほとんどカホンに触ってなかった」というほど。
普通にボイパをやるだけでも大変なのに、今回初めて47都道府県ツアーということで、さいたま初日の前日にふられた課題が、「ご当地ボイパ」! 樫原さんは「うけるか心配だった」と言いますが、これが見事大ウケ! どうにかやりきってしまう二人のことを樫原さんは「瞬発力で持ってっちゃう。帳尻あわせがすごい」と感心するのです。

帳尻合わせといえば、二人のデビューと親御さんとの約束も、ギリギリだったようです。
HAYATOさんは27歳、HIROさんは26歳までに、デビューなどモノにならなければあきらめて就職するというのが約束だったそうです。

「どうしても早くCD作りたかったんですよ。27歳がボクにとってラストチャンスだったんで、CDが出てなかったから、僕はいま就職してたんです。出たのは28歳なんですけど、決まったのが27歳だったんで『今、レコーディングしてんねん』って」(HAYATO)。
「オレは、ギリギリロスタイムでしたよ。事務所と話をし出したのが26ぐらいの時だったんで、『あとちょっとだけ待ってくれ』っていうロスタイム的に、うまくゴール決められたんでよかったなあって」(HIRO)。

HAYATOさんに、「デビューして成功したから、立場が変わった、満足したということはないですか」と聞いたら、「いや、もっとできることあるんやないかと、常に考えている」と語っていました。
とにかく、ツアーのたびに、また、同じツアーでも会場が変わるたびに、新しいことにチャレンジする二人。
それは、どんなむちゃぶりに対しても何とか対応できてしまう二人の能力と、面白いアイデアはどんどん投入するというスタッフの遊び心のたまものだといえると思います。
でも、それだけに、失敗も多々あるようで、例えば前回のツアーは、HAYATOさんがタップダンスを必死の練習の末、披露したのですが、お客さんの拍手と重なって会場に聞こえないという欠陥が分かり、初日で撤収という憂き目にあったとか。
ただ、そういう失敗も含めて、ピアノジャックのチャレンジ精神は、ファンを大いに楽しませているという感じがします。
そして、それはチャレンジしている姿を”泥臭いまでに見せる”というところもポイントだと思います。


このポイントは、彼らのまた一つの大きな特徴「ダダ漏れ」という話になってくると思うので、第5弾に譲ろうかなと思っています。


続く


読売新聞夕刊 popstyle 【ストリート魂】

2011-09-26 22:36:33 |  →Pia-no-jaC←
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〈転記〉
ALL ABOUT → Pia-no-jaC ←」ブログ延長戦の第3弾は、忘れちゃいけません。
ピアノジャックの原点といえるストリートの話です。
実は、この部分が二人のハチャメチャなエピソード満載なのですが、紙面ではほとんど触れられずにいました。
私自身にとっても、もっとも興味ひかれる話でしたので、楽しんでいただけると思います。

ピアノジャックの2人って、ずっとストリートというイメージがありますが、出会いの場所がレコーディングスタジオで、その後ライブハウスで何度も再会したりと、本来は2人ともライブハウスでの活動が中心だったそうです。
その流れで、ユニット結成当初は、なじみのライブハウスを回っていた。そこも「1か月に23本ぐらいライブをやっていた」(HAYATO)というのが、彼ららしいんですがね。でも、もっと知名度を上げたい、客層を広げたい、ライブハウスにも来られない人にも聴いてほしいと考えて、ストリートを始めたそうです。そして、ストリートでいかにして聴いてもらえるか、足を止めてもらえるか、と様々な工夫をしたことが、彼らの巻き込み型ライブの原型を形作っていったのです。

「最初は演奏するだけだったんで足を止めてもらえず、通りすがられるたびに『あれ、聴いてくれへん、聴いてくれへん』って。そっからどうしたら聴いてくれるかなっていうことから、初めての人も楽しめるような巻き込み型のライブにしていったんです。演奏してるだけじゃなくて、どんどんパフォーマンス磨いたり、もうちょっと遊びの要素を入れてもいいかなって考えたりした。手拍子をあおってみたり、『向こうの人全然やってないぞ~!』とか言ったり、パントマイム的に気になっている人を引っ張ってみたり」(HAYATO)

さらに、パフォーマンスを磨くきっかけになったのが、自主制作のCDを売るテクニック。
最大時は1か所の路上で、1枚500円のCDをダンボール2箱空にして、3、4万円の売り上げがあったとか!

「時間にしたら4時間ぐらい。2曲で10分ぐらい演奏して、10分CD売って・・・というのを繰り返して。ステージ数にするとかなりの数になるんですよ」(HAYATO)。
「キラーチューンばかりで。そのころはクラシックやってなかったんで、ジャックとか」(HIRO)。
「その4時間、ジャックとか同じ曲を何回もやるので、正直言うとこっちも面白くなくなってくるんですよ。どう面白くしたらいいかってことでどんどん変化して、勝手に暴走し出したりとか、ピアノ離れてお客さんとこ混じって手拍子あおってみたりとか。ずっとカホンほったからしにして、『カホン!HIROー!!』とか言ったり」(HAYATO)

なんか、今のスタイルに通じてきてきましたね。
この1日で3、4万売ったという伝説の一夜は、彼らが大阪で活動していた時代、四国ツアーで生まれたものらしいのですが、そのツアーについて詳しく聴いてみると、本当ハチャメチャで・・・・(笑)

「車で機材とCDダンボール箱3箱ぐらい積んでだけで、お金も全然持っていかずに四国に行ったんですよ。だから、おなかへってもストリートしてCD売らないと、その日食べられない。なので、本当に必死ですよね。ストリートを止められてしまった終わり。するとどうするかっていうと、近くのバーとかスナックとかライブハウスに電話して、『今からライブしに行っていいですか』って飛び入りで行って、そこでCD売って。そんときってホントに1日食パン1、2枚ですよ」(HAYATO)。「次の日に神戸でライブがあるっていうときに、まだ四国の香川におったんで、このままだと残金も底をついていて、『明石大橋渡れへんぞ』って」(HIRO)。「まず、ガソリン入れられへんなっていう話で」(HAYATO)。

すごい話でしょ。こんなギリギリのストリートツアーをやったたから、必死でパフォーマンスしてCDを売って、ということがせざるを得なかったんですね。
でも、このハングリー精神も、彼らの重要なアイデンティティーのような気がします。ライブハウス出ていた時期にしても、23本ライブ入れる合間に夜中から朝までバイトしていたというんですから。
これは、第1弾のハードスケジュールにも書いてもよかった話ですね。

ところで、2人でツアーに出るときは、HAYATOさんがずっと運転手。
「こいつ免許もってないんですよ」ってHAYATOさんは、インタビュー中に2度もHIROさんを指していましたが、さすがにHIROさんも2回目には「何回言うねん!」ってマジツッコミしてました(笑)。
この辺のやりとりは漫才コンビばりの応酬で爆笑ものでした。

「こいつ免許もっていないんですけど、ずっと僕運転して、セッティングしてライブして、運転して、横で寝てるんで、1回殴って、また運転して。運転してるときずっと寝てるんですよ。そりゃ殴りたくもなるよ」(HAYATO)。
「でも、ツアーに行く時、金持ってきてないんです(とHAYATOを指さす)。オレ、それまでに必死こいてメッチャバイトして、寝る間削って金もってきてんのに、『いくら持ってきた?』『1000円』『は?』って」(HIRO)。
「だって、だってね。ツアーって、CD売って稼いだお金で次行くもんでしょ」(HAYATO)。
「って言ったから、『お前ガソリン代まずどうすんねん。駐車場代どうすんねん』って言ったら、『ああ、そうか』って。まず四国行けへんやろうって。ま、それでまあバイト代が生きましたけど。なもんで、持ちつ持たれつでお願いしますよ」(HIRO)。

2人の性格の違いが出てますね(笑)。お互いに、ない部分を補いあっているところがほほ笑ましい。

ところで、四国ツアーでストリート止められた時にバーなどに電話かけて飛び込みで行くという話は、CDデビュー当時の話にも通じますね。
CDショップやショッピングモールに2人が自ら電話したり手書きFAXを送ったりして、インストアライブをさせてほしいと売り込んだそうなんです。
それこそ、2人で地域を分担しながら全国片っ端から当たりながら。最初は、知名度がない彼らは全然受け入れられなくて苦労したとのこと。

でも、その中でもヴィレッジヴァンガードでのインストアライブや、イオンショッピングセンターのフリーライブは、彼らが幅広いファン層をつかむのに大いに貢献したんですよね。
樫原プロデューサーは「イオンは、ライブハウスにも来られない、おじいちゃんおばあちゃん、子どもなどにも見てもらえる機会になった」と、振り返っています。
喜んでもらえるなら、どこへでも出て行くというピアノジャックの姿勢は、ストリート発だからこそだと思いますし、その姿勢をいまだに貫いているから、ライブハウスにも来られないファンも、音楽に詳しくない人でも、ドンドン引き込み続けていられるのでしょう。

最後に、ストリートにこだわりを持つ彼ららしいコメントで第3弾を終わりにしたいと思います。

「1回やりたいのは、たとえ武道館でライブをしたとしても、次の日、下北の駅前でストリートしようみたいな。面白くないですか。『遠いのか近いのか全然分かんないな、この人たち』って」(HAYATO)

「俺たちにとっても、どっちも得られるところってたくさんあるんですよね。ツアーずっとやってきた中で、久しぶりにストリートやってみると、アレ?っていうぐらい人が集まらなかった時とかあって、違うと思って修正したら、集まった。その感覚二つ持ってないとピアノジャックじゃない」(HIRO)

「ライブハウスと、フェスと、ホールって違うんです。動き方も、見え方も。その切り替えがすごく難しくて、またストリートに出ると別物なんです。その感覚は忘れたくないな」(HAYATO)


続く

読売新聞夕刊 popstyle 【音楽の楽しさ伝える】

2011-09-26 22:35:20 |  →Pia-no-jaC←
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〈転記〉
紙面に対する様々なご反応ありがとうございます。プレゼント応募のアンケートも目を通しておりますが、思い入れのこもった感想ばかりで、感激しました。
中でもうれしかったのが、「PJを解くキーワード」が好評だったこと。
【P】Power、【I】idea、【A】activity・・・などと、P・I・A・N・O・J・A・Cの文字を使って、あいうえお作文的に特徴を並べてみたのですが、あれはもちろん公式なものではなく、当編集部として独自にというか勝手に考えたものです。
ピアノジャックが遊び心に溢れているので、書く立場の我々もついつい何かやっちゃいたくなるんですよね。
全くの私見なので、反応が気になるところでしたが、ファンの皆さんも納得していただいたようで、よかったです。
まぁ、本当はどのアルファベット使ってもできるし、この8文字だけでは表しきれないなあとも思っているんですがね。
Pは「Passion」でもいいわけですしね。
でも、それだけ、特徴が多い、語ることが多いユニットということなんですよね。

さて、今回の話は、キーワードでは「【J】Joy(喜び)」と表現したことと重なるのですが、「音楽の楽しさを伝える」ことについての力、そして彼らの思いについて書きたいと思います。

これは、彼らの活動の原点であるので言うまでもないことかもしれません。
何せ、樫原プロデューサーが二人に対し、「お前らは、音楽で何がしたいんだ」と問うたとき、二人は「音楽でみんなを笑顔にしたい」とだけ話したそうですから。


まず第一に、彼ら自身が存分に音楽を楽しんでいます。
HAYATOさんが音楽を楽しんでいる様子は、ピアノを弾く時に会場に向ける笑顔や、体全体が喜んでいるような肉体のうねりで伝わってきます。
HIROさんも頭を揺らしながら、全身で音と戯れている。
インタビューして意外だったのですが、HIROさんは喋る時はスゴく真面目で固い感じなんですよ。
自分でも「すごい真面目」と言ってましたが、音楽で違うスイッチが入っちゃうんだろうなあってぐらい印象が違います。
悪い意味ではないですよ。話しているHIROさんもすごく好印象なのですが、こちらが申し訳なくなるぐらい腰が低いんです。
「こち亀」の本田さんが、バイクに乗った時のようの変わりようです(すいません言い過ぎました)。
HAYATOさんは、そのままでした(笑)。

そのHIROさん。やはり「よう楽しそうに演奏してるねってアーティストの人にも言われたりしますね。
そうなんです、楽しいんですって(言うんです)」と話していました。
HAYATOさんも、「全部音に出ちゃうと思うんですよね。本当に楽しそうに弾いていても音が楽しくなかったら、本当に楽しんでないんだなっていうのは、すぐ分かっちゃうことだと思うんですよ」。
そう、演奏している二人は本当に楽しそう。だから、音からも「幸せなグルーブ」がビシビシ感じられるんですよね。

あまりに楽しそうなステージ上の二人。
その理由の一つに二人の音楽的な相性の良さがあると思います。
「二人でずっとやっていて楽しくなかったライブってないんですよ。これ自慢で。
それまでに『お前、あそこ違うやろ』って大ゲンカしても、ライブ始まるとホント楽しくて。
その思いってどんな形であれ伝わるからって思ってもいるので」(HIRO)。
「音を一発出しただけで、『あ♪』って思って、ついニヤけてしまうっていうか」(HAYATO)。
これは、本当にうらやましい関係ですよね。
でも、性格は全然違うんだとか。「たぶん同じクラスだったら友達になってないですよ」(HAYATO)。
「音楽で通じ合わへんやったら、多分ここまで仲良くはなってないですよ。きっかけが音楽だったから、こう仲いいんでしょう」(HIRO)。
まさに音楽の神様が結びつけてくれた二人なのでしょう。

さて、音楽の楽しさを伝える力の一つは、彼ら二人が存分に楽しむ姿を見せていることなのですが、もう一つ、重要なのは、音楽は自由に楽しめばいいという原点を伝えていることではないでしょうか。

紙面でもお伝えしましたが、HAYATOさんはクラシックピアノ、HIROさんはエレクトーンを幼少期に習っていて挫折した経験があります。
そして、独学でピアノとカホンを習得していったのですが、二人とも自由なスタイルでプレイを楽しんでいる。
「ミスタッチから新曲が生まれたりする」というHAYATOさんの言葉は、本当に前向きな考え方だなと感心してしまいます。
「ミスタッチから、すごい!こうなったという発見をして、それで曲ができたパターンもあるんで。どんどんそれで変化させて、テンションが上がったら、腕が足りなかったら、足も使っちゃえみたいな勢いだったり」(HAYATO)。

”足技”に関しては、HAYATOさんがステキなエピソードを披露してくれました。
「この前、インストアライブしたときに、言われたことがあるんです。
『この前、息子がピアノのレッスンの時に、足で弾いて怒られました』。
そうですよねーー(笑)って言いつつ、それ楽しかった?って聴いたら、『うん』って言ってたんで、じゃあいいよって。
やっぱ音は楽しまんとって。何でもありなんやでって」

私個人の話で恐縮ですが、筆者もクラシックピアノを習っていて練習嫌いだったものですから、すごく共感できるんですよね。
「できない、できない」って苦しんだ経験ばかりで、今思うと、本当に好きでやっていたのだろうかって。
でも、譜面と格闘するのと関係なく、適当にピアノをいじって音と戯れていると、何時間でも過ごせちゃうんですよね。
学生時代でキーボードをやっていたときも、ひたすら難しいテクニックを追求することばかりで、眉をひそめながら演奏するサークルにいたものですから、音楽を楽しむという原点を置き去りにしていたのかもしれません。

でも、ファンの方も、音楽で挫折した経験のある方が多いと聞きました。
私に限らず、「そうだよな。こうやって楽しむことこそが、音楽の原点だよな」って改めて気付かされた人は多いのではないのでしょうか。
今回のツアー向けに、HAYATOさんがピアノの黒鍵を赤く塗って「赤鍵」にしたのは笑えました。
「黒鍵きらいやから」って理由、プロとしてはどうかなって感じもしないではないですが(笑)、いやいやいいんです。共感します。僕も黒鍵大嫌いです。なるべくなら黒鍵さわらずに済ませたい。いやホント、黒鍵はピアノの構造上の欠陥だ!弦楽器も管楽器も、そういうのないじゃん!!なんでピアノだけ!? 

でも、ピアノジャックを聴いて、「もう一度ピアノやってみよう」という人は多いのは本当のようで、スコアは出せば必ず1万冊も売れるのだとか。
これ驚異的ですよ。スコアや教則ビデオを作る上での思いを、HAYATOさんはこう語っていました。
「カホンってまだ皆さん知らないと思うし、でも誰もが音を出せますし、ピアノも誰Dでも音が出せる。途中で挫折してやめてしまった人も、それからやろうかなって思いつつ敷居高いなって思ってる人でも、全然そんなことないんだよ、誰でもさわってもいい楽器なんだよという楽しさを作りたい思いで作っています」

「音が出るものは何でも楽器」。HAYATOさんはこうも言っていました。
ライブで、HIROさんが次から次へと投入する鳴り物の数々がまさにそうですよね。
樫原プロデューサーいわく「HIROは、鳴り物貧乏」(笑)。
ライブに向けて、たくさん買ってくるものの、ボツ鳴り物も多いんだそうです。
このエンターテインメント根性、すごいですよね。プライドだけ高い人だったら、「とにかく、オレのカホンだけを聴け」ですよね普通。

そして、私も先日のライブで見て感動したのは、「シャカシャカ大作戦」ですね。
ライブ未見の方のために説明すると、コンビニのレジ袋と同じ素材の袋を、ライブでは「シャカシャカ大作戦」と称して、お客さんに擦ってもらってシャカシャカ音を出したり、膨らませてポンポンと叩いてもらうものです。

「音が出るものは何でも楽器なんだよっていうのを伝えたいです。
音遊びって誰でもできるじゃないですか。やったことなくても、コンビニの袋でシャカシャカすればリズム取れるし、グルーブも出そうと思ったら出せる。そういうのでみんなでセッションしたら面白いじゃないっていうので、音楽の楽しさをどんどん伝えていきたいなあって。
会場会場で子どもたちが、すごい楽しそうな顔をしてやってるんで、それがメッチャうれしいんですよ。
そうして、ライブで音楽って楽しいなって知ってもらえたら、すごくステキなことなんじゃないかなあって思って」(HAYATO)。
しかも、5枚300円で売っているという仕掛け、すごいアイデアだと思います。
初めて来た人は当然買っていない。だから、常連のファンの方が持っていない人に分け与えてるんですよね。
そうやってファンの絆を生み出している。この袋をシャカシャカするという行為は、ライブで声出したり、手をあげたりするのが恥ずかしい人でも、おそらく参加しやすいことなんじゃないかなと思います。
「みんなが袋分け合う姿って、すごくうれしいんです。音楽で楽しそうにやって、みんな楽しそうって言って、そういったきっかけで色んな何かになる。そのすべてがピアノジャックじゃないのかなと思う。媒体は音楽かもしれないけど、それ全部ですよね」(HIRO)。

もう一つ、私が伝えたいことは、会場のお客さんを楽しませて、ライブに巻き込むことに成功しているといえるのは、こういう分かりやすい仕掛けだけではないと思うのです。
ピアノジャックの演奏、二人が作り出す空間には、あらゆる感情動作心情が溢れていると感じたのです。
喜怒哀楽という四文字熟語では到底足りない。夢中・恍惚・感動・元気・没頭・躍動・気合・執念・熱気・焦り・安堵・気障・挑発・間抜け・爆笑・ボケ・ツッコミ・・・・。あらゆる感情が渦巻くステージで、会場の人々はあらゆる感情を揺さぶられ、そして解放することで、てらいなく叫び、手を叩き、跳び、拳を掲げる。
そして空っぽで純粋になった心で、何一つ難しいことを考えずに、音をそのまま楽しむことができるのではないでしょうか。

「音楽ファンじゃない人が、能動的に買いに来る」。
ヴィレッジヴァンガード下北沢の金田謙太郎さんは、こう話していました。
これは重要な証言だと思います。
だとしたら、ピアノジャックは、音楽ファンの裾野を広げている。
これまで音楽をたくさん聴いてこなかった人も引き寄せている。
まさしく、音を楽しむ原点を伝えることで、音楽ファンじゃない人にも響いているのではないでしょうか。
制作側はどうでしょうか。樫原プロデューサーは、「みんなが投げ込んでいるストライクゾーンには投げていない」と語っています。
その結果、「必ずしも、インストファンが聴いているわけではない。バンプやミスチルなど普通のポップスの愛好家が多い。歌もののように感じられているのかも」だと。
なるほど、年配の方から子どもまで幅広いファンがいる理由が分かる気がします。
私には、歌のないインストゥルメンタルは、そう大多数の人には伝わりにくいという先入観がありましたが、決してそうではないのかもしれない。

最後に、HIROさんの言葉で、さらにすごい話・第2弾を締めたいと思います。

「やっぱ言葉がないことは武器になると思ったんですよね。言葉がある分、伝わるっていうのももちろんそうなんですけど、俺たちは身ぶり手ぶりもあるので、もっとそれで伝えられるだろうし、いろんな壁も越えられる、言葉の壁も文化の壁も年齢の壁も越えられるじゃないかと」

あらゆる人に、音楽の原点を知らしめてくれるはずの彼らの音、そして何よりライブを、ぜひ体感してほしいと思います。


続く

読売新聞夕刊 popstyle 【ハードスケジュール】

2011-09-26 22:14:30 |  →Pia-no-jaC←
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〈転記〉
9/21の読売新聞夕刊popstyle面に掲載された「ALL ABOUT →Pia-no-jaC←」いかがでしたでしょうか。
彼らの魅力を出来る限りお伝えしたつもりでしたが、現在の音楽業界の中で彼らの持つ特異性は、まだまだ語り尽くせません。
というわけで、「→ Pia-no-jaC ←さらにすごい話」を、このブログで数回にわたってつづっていきたいと思います。
HAYATOさん、HIROさんのインタビューで載せきれなかったコメントも紹介します。

ピアノジャックを語る上で欠かせないのが、ハードスケジュールです。
1年に2枚というCDの制作ペースも尋常ではありませんし、年間にこなすライブの本数も飛び抜けています。
今回の「EAT A JAPAN TOUR2011」にしても、4か月足らずで全国47都道府県でのライブが組まれている上に、ライブの合間を縫ってインストアライブやイベント出演も果たしているのです。


私が最近のことで驚いたのは、8月に行われた東京・新木場のクラブ「ageha」でのDAISHI DANCEとのコラボ。
ピアノジャックの出演順は午前3時近くでした。深夜スタートのクラブイベントだから当然でしょと思われた方! 
ピアノジャックはこの日(日付的には前日)、北海道でライジングサン・ロックフェスティバルに参加してきてるんですよ! 
ライジングの出演順は午後3時半から。1時間近くのステージを終えて、1時間以上かかる空港まで移動して、夜、飛行機で東京へ。
agehaには午後10時入りでリハーサル。そして深夜3時近くのステージ。
つまり、北海道と東京との移動をはさんで、昼と深夜のそれぞれ3時ごろにライブしているということなんです。
私は、agehaのステージを見ましたが、フェスの疲れも移動の疲れも全く感じさせない、いつも通りのエネルギッシュな演奏だったことは言うまでもありません。


また、現在のツアー中でも、9/11の宇都宮公演を終えた後、ピアノジャックの2人と樫原伸彦プロデューサーが、東京へ戻って、深夜にスタジオ入りした、ということがあったそうです。「LIVE福島 風とロックSUPER野馬追」での怒髪天とのコラボ(9/15)に備えての練習だったそうですが、ライブのリハだけでも大変なのに、ライブ終わった後、別の曲を練習するために深夜にスタジオ入りするなんて!


こんな殺人的なスケジュールも二人はお構いなし。
なにせ、HAYATOさんは、学生時代に所属していた軽音楽のサークルで、同時期に23バンドも掛け持ちしていたんだそうです。


「サークルの合宿って、1バンドにつき練習1時間なんですけで、ボク考えたら1日23時間練習があって(笑)。
1時間でご飯食べて寝てっていうのを、ずっと1週間やってたんです。
でも、それがすごい楽しかったんで。だから、今も全然大丈夫」(HAYATO)

なぜ、こんなにピアノジャックは走り続けるのでしょうか。

理由の一つを、樫原プロデューサーは、「止まったら終わりだという強迫観念がある」と語ってくれました。
今の時代、常に新しい情報、新しい音楽、新しいエンターテインメントが供給され続けています。
だから、リスナーも、すぐに新しいものへと浮気をしがち。
たとえ今人気があってとしても、ファンを引き留めるために、常に新しいニュース、新しい話題を提供してないといけないという背景があるんですね。
「メディアがちょっと変わってきたんですよね。音楽誌は月刊だったからライブレポートは1、2か月先の号に掲載されてきたけど、今はナタリーのようなデイリーニュースがあるから、その日のうちにアップされる。速報が流れている時代なんです」と、樫原さん。

確かに、ピアノジャックはライブに限らず、ニコ生だったりカラオケ店でのカホン講座だったりと、手を変え品を変え、エンターテインメントを提供しています。
加えて、本人や周りのスタッフがブログだったりツイッターだったりと、色々な角度から情報を発信しています。
だから、ピアノジャックはいつも何か面白いことをやっている、という感じに見えるのでしょう。

おそらく同様の方法論でスピード感ある仕掛けを行うグループがあります。AKB48です。総選挙やじゃんけん選抜という大イベント、江口愛実などの仕掛けなど息つく暇もなく話題を提供しています。まさに、情報が出されるスピードや量が加速度的に増している今の時代ならではのアーティストの見せ方なのかもしれません。


そして、ハードスケジュールの中、どんなライブでもイベントでも全精力を投入するピアノジャックの姿に、ファンは魅了されるのではないでしょうか。「こんなハードな日程の中、辛い顔ひとつ見せずに楽しませてくれる」「一体いつ休んでいるんだろう」。ファンの頭にはこういう思いがよぎるのではないでしょうか。
だからこそ、我々は「やっぱりプロはすごい」という敬意を持って、彼らの姿を見るのでしょう。
そして、彼らも常に全力で、常にギリギリの状態でステージに立つからこそ、あれほどエネルギー溢れる空間を作り出すのではないのでしょうか。


続く


読売新聞夕刊 popstyle 【→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)大特集!!】

2011-09-26 22:13:30 |  →Pia-no-jaC←
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読売の取材の為にライブを訪れて、いたく感動してしまった。
と、PJ大絶賛で取り上げてくださっています。
ブログも5ページに渡って愛ある文章を書き上げてくれました。

〈転記〉
このユニット、どこを切っても「すごい!」の連続!
演奏も、パフォーマンスも、売り出し方も、スケジュールも!!! 
紙面でどでかく紹介しますが、それでも全く足りないっ!というわけで、このブログで数日にわたって、「さらにすごい!!!」話を特集する予定です(第1弾は、本日夕方アップ!)。
その前に、まずはド迫力の紙面を手にしてみて下さい。その熱さ、カッコ良さに痺れるはず!

ピアノジャックは、ピアノとカホンのたった二人のユニット。
なのに、ものすごい速さで圧倒的な音数を繰り出して、バンドサウンドにひけのとらない迫力を出すのです。まずは、映像をご覧下さい。


YouTube: →Pia-no-jaC← Jack 2011



かっこいいでしょ! でも、ピアノジャックの本当のスゴさは、動画やCDだけでは伝わらない。
彼らの真骨頂は、サービス精神満載のライブ。
ユニークなパフォーマンスをステージ上で繰り広げて、観客を魅了するのです。
路上ライブで鍛えた観客を巻き込むテクニックにも長けており、ライブに来たお客さんは本当に幸せな顔をして帰っていくのです。


取材した私も、実は前々からピアノジャックはショップで流れるCDやPVを横目で見て、かねがね気になっていたのですが、ライブを見て、真のスゴさを知りました。
ステージから放出される圧倒的な熱量、これは会場に行った人しか分かりません。
メンバーのHAYATO(ピアノ)とHIRO(カホン)の二人は、「人々を楽しませたい」という純粋な気持ちを持っていて、話していてもその熱い思いにグッと胸をつかまれます。
どんなときも決して手抜きをせず全力で挑んでいるからなんでしょう。


そんな姿勢がファンにも伝わるのでしょう。
CD不況といわれる中、3年間のアルバムセールスは、インディーズながら50万枚近くに及びます。
雑貨チェーン「ヴィレッジヴァンガード」を中心に売れているため、オリコンなどのチャートには反映されないんですよね。
音楽業界の中では特異の「隠れたヒット」なのです。
ネットや口コミを利用して、どんどんファン層を拡大している様は、まさに今現在の音楽シーンならではの売れ方で、見習うべき点を多々あります。
紙面では、ほんの一部しか触れられなかったのですが、このブログで詳細に紹介していきたいと思います。


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続く