
( 映 画 )【一部ネタバレ】[画像小はクリック拡大]
ずい分前にこんな話を聞いたことがある。はるかなずっと大昔には、生物は「雌」しか存在してなくて自らを割いて代々その種を維持していたが、厳しい環境に適応していくために後代のある時期から自らを割いて「雄」を作り、雄どうしを互いに争わせた。そして生き残った強い雄との交配により、今に至るまで生物は種を維持し続けているというのである。
映画『サッド ヴァケイション』を観たとき、フトこの事を思い出した。この映画に登場する女性たちの生き様というか、生命力の強さ、そういうものを強く感ぜずにはいられない。これに比しどうも男性は分が悪い(笑)。粗暴であり強がりはするが、お釈迦さまの掌、女性の懐からどうも抜け出る事が出来ない。特に顕著なのが、石田えりさん扮する間宮運送の妻、千代子である。夫(中村嘉雄)に対して、そして子供たち(浅野忠信、高良健吾)に対して、いかに彼らがあがいたとしても悠然として生きて行く。健次(浅野)に対する恋人、冴子(板谷由夏)にしても、そして宮崎あおいちゃん扮する梢においても、後藤(オダギリジョー)を余裕を持って最後に包み込む。げに女性の強さと奥深さは、はるかに深いと知れるのである。
さて、知られているようにこの作品は、青山真治監督のさきの作品『Helpless』と『EUREKAユリイカ』の続編的意味合いを持つと云われ、そのボソっとしたセリフ回しに北九州独特の匂いが立ち込めている。土地がら言葉の意味はよく分かる私でも低く呟かれるセリフについ耳を立てることになるのは、まァ、作品の持つ独特の魅力の中でのご愛嬌か!?(笑)。だが、それにしても、よくこれだけ魅力ある役者を揃えたものだと感心する。光石研さん、斉藤洋一郎さん、川津祐介さん等々。
「間宮運送」という、行き場のない人々を引き受けている会社、そしてその社長(中村嘉雄)であるが、役柄上みなはそれぞれ付かず離れずに暮らしていて、その距離感がそれぞれの役者の個性をも示していて心地よい魅力を放つ。
『EUREKAユリイカ』の梢のその後を引きずっているあおいちゃんも、淡々と演じているようで、やはりウマイ。特に後年、『剣岳 点の記』で夫婦役を演じた浅野忠信さんとのやり取りでは不思議な落ち着いた空気感を漂わせていて、その魅力につい浸ってしまうのはひとり私だけであろうか・・・。梢が車を運転して健次を送るシーン、子を捨てた互いの母について語るシーン、ごくごく自然なこの二人が放つ間とその魅力に、不思議と何か二人の役者の共通点のようなものさえ感じられた。
千代子に代表される女性の生命力の強さ、図太さにかきまわされる「間宮運送」の周辺にうごめく男たち。遂にはヤクザに追われてさてどうなるのか・・という心配をよそに、知的な問題がありながらも、こちらも女性のユリがのどかに作り出す大きな大きなシャボン玉。うごめく男たちを尻目にゆっくりゆったりと、そして下界の者の注意を一気に集め、パーンと弾けて大雨を。右往左往するのは男たち、笑っているのは全て女たち。そう、このラストシーンほど愉快な終わり方はない。いかにも映画らしくてウマかった。ホントに愉快だった・・(笑)。
ずい分前にこんな話を聞いたことがある。はるかなずっと大昔には、生物は「雌」しか存在してなくて自らを割いて代々その種を維持していたが、厳しい環境に適応していくために後代のある時期から自らを割いて「雄」を作り、雄どうしを互いに争わせた。そして生き残った強い雄との交配により、今に至るまで生物は種を維持し続けているというのである。
映画『サッド ヴァケイション』を観たとき、フトこの事を思い出した。この映画に登場する女性たちの生き様というか、生命力の強さ、そういうものを強く感ぜずにはいられない。これに比しどうも男性は分が悪い(笑)。粗暴であり強がりはするが、お釈迦さまの掌、女性の懐からどうも抜け出る事が出来ない。特に顕著なのが、石田えりさん扮する間宮運送の妻、千代子である。夫(中村嘉雄)に対して、そして子供たち(浅野忠信、高良健吾)に対して、いかに彼らがあがいたとしても悠然として生きて行く。健次(浅野)に対する恋人、冴子(板谷由夏)にしても、そして宮崎あおいちゃん扮する梢においても、後藤(オダギリジョー)を余裕を持って最後に包み込む。げに女性の強さと奥深さは、はるかに深いと知れるのである。
さて、知られているようにこの作品は、青山真治監督のさきの作品『Helpless』と『EUREKAユリイカ』の続編的意味合いを持つと云われ、そのボソっとしたセリフ回しに北九州独特の匂いが立ち込めている。土地がら言葉の意味はよく分かる私でも低く呟かれるセリフについ耳を立てることになるのは、まァ、作品の持つ独特の魅力の中でのご愛嬌か!?(笑)。だが、それにしても、よくこれだけ魅力ある役者を揃えたものだと感心する。光石研さん、斉藤洋一郎さん、川津祐介さん等々。
「間宮運送」という、行き場のない人々を引き受けている会社、そしてその社長(中村嘉雄)であるが、役柄上みなはそれぞれ付かず離れずに暮らしていて、その距離感がそれぞれの役者の個性をも示していて心地よい魅力を放つ。
『EUREKAユリイカ』の梢のその後を引きずっているあおいちゃんも、淡々と演じているようで、やはりウマイ。特に後年、『剣岳 点の記』で夫婦役を演じた浅野忠信さんとのやり取りでは不思議な落ち着いた空気感を漂わせていて、その魅力につい浸ってしまうのはひとり私だけであろうか・・・。梢が車を運転して健次を送るシーン、子を捨てた互いの母について語るシーン、ごくごく自然なこの二人が放つ間とその魅力に、不思議と何か二人の役者の共通点のようなものさえ感じられた。
千代子に代表される女性の生命力の強さ、図太さにかきまわされる「間宮運送」の周辺にうごめく男たち。遂にはヤクザに追われてさてどうなるのか・・という心配をよそに、知的な問題がありながらも、こちらも女性のユリがのどかに作り出す大きな大きなシャボン玉。うごめく男たちを尻目にゆっくりゆったりと、そして下界の者の注意を一気に集め、パーンと弾けて大雨を。右往左往するのは男たち、笑っているのは全て女たち。そう、このラストシーンほど愉快な終わり方はない。いかにも映画らしくてウマかった。ホントに愉快だった・・(笑)。
(楽天に同文寄稿)
この作品も奥深い話しですし良い映画ですよね。
ただ、あおいちゃんの出番が少ないので寂しいです。今度青山真治監督の作品に主演で採用して欲しいですよね。
そういえば浅野さん、石田さん、高良君とまた共演するんですよね。他にも同じキャストの作品が多いので、俳優グループ(事務所かも)みたいなものが有るんでしょうかね。(・・;)