( 映 画 )【ネタバレ注意】[画像小はクリック拡大]
大分の湯布院映画祭で観る機会があった、映画『ツレがうつになりまして。』・・で、これには、まんまとしてやられてしまった~!!。 佐々部清監督の涙の手腕に見事に捕まってしまったのである・・(笑)。けれどもそれは、心があったかくなる、あァ、良い映画観せてもらったなァ~、そして、ホントにうまい役者さんで良い夫婦だったなァという、満足感に充ち、幸福感に包まれたものだった。
笑いと涙が短時間に交互に襲ってくるという、今まであまり経験がないストーリーの流れで、もちろん原作の細川貂々さんのコミックのユーモアのベースが基となってるのであるが、それを実際の人間がうまく演じることで、より現実味を持つことに成功し、ここに「秀作」の誕生をみたのである。
大河ドラマ『篤姫』において篤姫と将軍家定を感動的に演じたお二人、宮崎あおいちゃんと堺雅人くんの、この映画でのあたたかく自然な夫婦ぶりは、この作品の中でも見事に生かされた。そして私の中ではこの映画、既に大河ドラマ中でのお二人の関係を、もう既に超えてしまっている。
それにしても、あおいちゃんと雅人くんの“夫婦ぶり”、本当に良かったねェ~。既婚者の方は、より分かるかも知れませんが、ちょっと気恥ずかしくなるような、例えば‘お誘いシーン’なんかでの極々自然な演技は、ユーモアと共にこの夫婦に、より親しみをさえ抱かせられるのである。うつを体現する堺くんのきめ細かい、成り切りのウマイ演技。それを見守っていく中で、或いは戸惑い感情を爆発させながらも、ゆとりとユーモアで返して、あたたかく見守っていくあおいちゃんの見事な演技。あうんの呼吸、あうんの演技とはこういうのを云うのだろうと、つくづく思い感心した。
さきの映画『神様のカルテ』とは異なり、夫をあたたかく見守っていくという点では同じでも、ここでのあおいちゃんは感情を前面に出すという演技で、全く異なった個性を現出させている。ほぼ同時期公開のこの二つの映画は、彼女の演技力の厚さ深さを知る上で、とっても良い作品列だと考える。
うつという病気を夫婦で克服していくストーリー、ともすれば暗くなりがちな話題を、明るくユーモアを交えながら表現された貂々さんのコミック。実はこの映画を観るまでは、私はこのベストセラーのコミックエッセイを読んではいなかったのであるが、後で読んでみてちょっとビックリした。うつ特有の多くの症例を挙げながら描かれた貂々さんのコミック、それをよくも映画の中のストーリーとして本当に上手くまとめたものだと、つくづく感心した。そしてまた、それに役者さんお二人が極々自然にうまく応えていて、感動を呼ぶのである。多くの方が今もこの病気で苦しんでいらっしゃる事を思うとき、こういう素晴らしい作品を今後も残して伝えていける事は、とっても大切な事ではないかと思われる。
映画の後、映画祭では続けてシンポがあった。佐々部監督のほか、脚本家、プロデューサーの方々が見えておられたが、どうやら今回の映画の作品の脚本は、青島武さんという方が手がけたようだ。原作をそのとき私は読んでなかったので何とも云えなかったが、原作を読んだ今云えるのは、ウ~ン、この映画での青島さん、確かに大きな力となっておられたと、そう思う。ウマイもんだ。会場で、‘佐々部監督は脚本を書かないで監督に専念してもらった方がいい’みたいなジョークが飛んでたが、今回はフムフムと聞いていた・・まァ、そのとき私は、もちろん何も云える立場になかったもので・・(笑)。でも、あながち・・どうなのだろうかとも思った・(笑)。
会場からは、さすがにうつに関連した切実な質問等も数多く寄せられていて、監督さんたちが応えていらっしゃったが、聞いている内に、撮影現場はどうだったんだろうかとか、二人の演技については?あおいちゃんは?とかのまたもや卑近な疑問が、にわかに私に起こって来たもので(笑)、ここはあおいちゃんファンの立場として一つ聞いてみようと手を挙げた。まァ、ここは一人くらい、ミーハーとしての質問をやってみようと、まず名を名乗って『篤姫』とあおいちゃんのファンである旨伝えた上で、この作品が‘標題’のとおり素晴らしいものだった事をまず伝えた。それから、下記に記す二ヶ所の点が特に印象に残る描写であった点を述べ、‘肝心の’撮影エピソードを尋ねたのである・・。が、まァ、ちょっと残念なことに、応えて頂いた内容の流れの中で、堺くんの話題が中心となって進み始め、あおいちゃんのそれがほとんど聞けなかったのは、時間の関係もあったかとは思うが惜しかった・・(笑)。
それにしても、佐々部清監督は本当に泣かせどころがウマイ人だとつくづく思う。盛り上げのポイントがウマイのである。個人的には、戦争、サスペンス調ものを扱ったものより、それ以外のものの出来が今のところ良いように思うし、好きだ。『半落ち』『出口のない海』『日輪の遺産』等より、『陽はまた昇る』『カーテンコール』、そして『ツレがうつになりまして。』等がである。
今回の『ツレがうつになりまして。』での映像シーンで特に忘れられないのが二ヶ所あった。
映画冒頭シーンのイグちゃん(イグアナ)の描写、そのポーカーフェイスの表情にもかかわらず、抜群の存在感を放っている。その秘めたるパワー、『スターウォーズ』のヨーダ、助演賞ものだ。
そして、これもシンポでも伝えたが、終盤でアニメがとび出すシーン、これ、良かったなァ~~。いかにも映画、映画だからこそ出来る心があったかくなるシーン。佐々部監督、本当に映画がお好きなんだと、心からわかった瞬間だった。
(楽天にも同文寄稿)
大分の湯布院映画祭で観る機会があった、映画『ツレがうつになりまして。』・・で、これには、まんまとしてやられてしまった~!!。 佐々部清監督の涙の手腕に見事に捕まってしまったのである・・(笑)。けれどもそれは、心があったかくなる、あァ、良い映画観せてもらったなァ~、そして、ホントにうまい役者さんで良い夫婦だったなァという、満足感に充ち、幸福感に包まれたものだった。
笑いと涙が短時間に交互に襲ってくるという、今まであまり経験がないストーリーの流れで、もちろん原作の細川貂々さんのコミックのユーモアのベースが基となってるのであるが、それを実際の人間がうまく演じることで、より現実味を持つことに成功し、ここに「秀作」の誕生をみたのである。
大河ドラマ『篤姫』において篤姫と将軍家定を感動的に演じたお二人、宮崎あおいちゃんと堺雅人くんの、この映画でのあたたかく自然な夫婦ぶりは、この作品の中でも見事に生かされた。そして私の中ではこの映画、既に大河ドラマ中でのお二人の関係を、もう既に超えてしまっている。
それにしても、あおいちゃんと雅人くんの“夫婦ぶり”、本当に良かったねェ~。既婚者の方は、より分かるかも知れませんが、ちょっと気恥ずかしくなるような、例えば‘お誘いシーン’なんかでの極々自然な演技は、ユーモアと共にこの夫婦に、より親しみをさえ抱かせられるのである。うつを体現する堺くんのきめ細かい、成り切りのウマイ演技。それを見守っていく中で、或いは戸惑い感情を爆発させながらも、ゆとりとユーモアで返して、あたたかく見守っていくあおいちゃんの見事な演技。あうんの呼吸、あうんの演技とはこういうのを云うのだろうと、つくづく思い感心した。
さきの映画『神様のカルテ』とは異なり、夫をあたたかく見守っていくという点では同じでも、ここでのあおいちゃんは感情を前面に出すという演技で、全く異なった個性を現出させている。ほぼ同時期公開のこの二つの映画は、彼女の演技力の厚さ深さを知る上で、とっても良い作品列だと考える。
うつという病気を夫婦で克服していくストーリー、ともすれば暗くなりがちな話題を、明るくユーモアを交えながら表現された貂々さんのコミック。実はこの映画を観るまでは、私はこのベストセラーのコミックエッセイを読んではいなかったのであるが、後で読んでみてちょっとビックリした。うつ特有の多くの症例を挙げながら描かれた貂々さんのコミック、それをよくも映画の中のストーリーとして本当に上手くまとめたものだと、つくづく感心した。そしてまた、それに役者さんお二人が極々自然にうまく応えていて、感動を呼ぶのである。多くの方が今もこの病気で苦しんでいらっしゃる事を思うとき、こういう素晴らしい作品を今後も残して伝えていける事は、とっても大切な事ではないかと思われる。
映画の後、映画祭では続けてシンポがあった。佐々部監督のほか、脚本家、プロデューサーの方々が見えておられたが、どうやら今回の映画の作品の脚本は、青島武さんという方が手がけたようだ。原作をそのとき私は読んでなかったので何とも云えなかったが、原作を読んだ今云えるのは、ウ~ン、この映画での青島さん、確かに大きな力となっておられたと、そう思う。ウマイもんだ。会場で、‘佐々部監督は脚本を書かないで監督に専念してもらった方がいい’みたいなジョークが飛んでたが、今回はフムフムと聞いていた・・まァ、そのとき私は、もちろん何も云える立場になかったもので・・(笑)。でも、あながち・・どうなのだろうかとも思った・(笑)。
会場からは、さすがにうつに関連した切実な質問等も数多く寄せられていて、監督さんたちが応えていらっしゃったが、聞いている内に、撮影現場はどうだったんだろうかとか、二人の演技については?あおいちゃんは?とかのまたもや卑近な疑問が、にわかに私に起こって来たもので(笑)、ここはあおいちゃんファンの立場として一つ聞いてみようと手を挙げた。まァ、ここは一人くらい、ミーハーとしての質問をやってみようと、まず名を名乗って『篤姫』とあおいちゃんのファンである旨伝えた上で、この作品が‘標題’のとおり素晴らしいものだった事をまず伝えた。それから、下記に記す二ヶ所の点が特に印象に残る描写であった点を述べ、‘肝心の’撮影エピソードを尋ねたのである・・。が、まァ、ちょっと残念なことに、応えて頂いた内容の流れの中で、堺くんの話題が中心となって進み始め、あおいちゃんのそれがほとんど聞けなかったのは、時間の関係もあったかとは思うが惜しかった・・(笑)。
それにしても、佐々部清監督は本当に泣かせどころがウマイ人だとつくづく思う。盛り上げのポイントがウマイのである。個人的には、戦争、サスペンス調ものを扱ったものより、それ以外のものの出来が今のところ良いように思うし、好きだ。『半落ち』『出口のない海』『日輪の遺産』等より、『陽はまた昇る』『カーテンコール』、そして『ツレがうつになりまして。』等がである。
今回の『ツレがうつになりまして。』での映像シーンで特に忘れられないのが二ヶ所あった。
映画冒頭シーンのイグちゃん(イグアナ)の描写、そのポーカーフェイスの表情にもかかわらず、抜群の存在感を放っている。その秘めたるパワー、『スターウォーズ』のヨーダ、助演賞ものだ。
そして、これもシンポでも伝えたが、終盤でアニメがとび出すシーン、これ、良かったなァ~~。いかにも映画、映画だからこそ出来る心があったかくなるシーン。佐々部監督、本当に映画がお好きなんだと、心からわかった瞬間だった。
(楽天にも同文寄稿)