”あおいの宇宙”

宮崎あおい、その宇宙を旅する

映画 『青い車』、その感覚美の世界

2011-02-15 00:11:10 | 日記
( 映 画 )【ネタバレ】[画像小はクリック拡大]




     

  短編コミックを映画化したというこの作品は、あおいちゃん出演作の中でもなかなか取り付きにくい部類に属するかも知れない。或いはその中に感覚的美の味わいを見つけない限りは・・・。
 子供の時に事故で片目に傷を負った青年が、大人になった今も精神的な傷あとが癒えず孤独感に時おり苦しめられている。その青年には恋人がいるが、次第に彼に惹かれていくその恋人の妹(あおいちゃん)は、一線を超えてその青年と関係をもつこととなる。そして偶然か否か、一つの悲劇が起きる・・・。
 筋を追えば何とも救いようがないストーリではあるが、映画作品、映像作品としてみるとき、何とも言えぬ感覚美としての魅力をかい間見せている。その美によって、ややもすれば単なる‘さんかく話’としての筋書きに堕ちるのを防いでいるように思われる。曲もまたその美に沿っていて魅力的だ。アヒルを連れた子供の自分との対話、首を吊ってる自分を嘲笑している姉妹等々・・。そこには、深刻な青年の孤独感が見え隠れする。悪人が特に出てくるわけではない。ARATA、麻生久美子、田口トモロヲ等。悪くない役者、そして役柄である。ただ、どうしてもブルー基調で全体が演出されていることもあり、やはり取り付きにくい作品になってるのは否めない。が、その独特の感覚を楽しむことが出来さえすれば、この作品の魅力が落ちて来る、と、そう思われる。
 それにしても、青年リチオ(ARATA)にとっても、そして、より以上にこのみ(あおいちゃん)にとっても、二人の恋の成り行きは痛く切ないものだった。それは、姉の事故について、“自分のせいだと思ってないよ”とこのみが自己を精いっぱい肯定して見せたとしても、そのすぐ後の彼女の言葉は、その切なさを如実に語っていて胸を突く。
    “・・・苦しいよ・・・・チクチクするんだ・・・”
                                                      (楽天に同文寄稿)