every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

フラッシュバックメモリーズ[3D]

2013-02-15 | 映画
交通事故の後遺症で記憶の一部が消えてしまったり新しいことを覚えづらくなるという高次脳機能障害を患ってしまったディジリドゥ奏者=GOMAがその障害と闘い、リハビリしていく様を渋谷WWWで行われたGOMA & The Jungle Rhythm Sectionのライヴを軸としながら描いたドキュメンタリー。

そんなフィリップ.K.ディック的展開をいま正に生きている人におきているだなんて!


そのディックは「自分が生きているということは生きてきた記憶があるからではないか」と投げかけましたけれど、記憶をなくしていても覚えてくれる人がいれば、生きている証は残るんだなぁと。


自筆の日記がモノローグ的に使われるですけど、そこに引用されたある一行が強く心に残っています


「自分だけが他の時間軸に属しているような気がする」

自分も同じような感情を覚えるときがあるので、この1行に強い共感を覚えました(自分は脳に外的な障害はないと思いますが......)。

その自筆日記の"属"という漢字にルビがふってありました。自筆日記にルビ振るか? って思ったんですけど、自分が書いた内容はおろか書いたと言うことさえ忘れてしまうから、未来の自分が読み返す時にルビが必要になるんですね(漢字も忘れてしまうとのことだし)。つまり、日記は未来への自分への私信であり、過去の自分との対話なのだだなと。

3D映画なのですけれど、その演出効果はずば抜けていると思いました。
飛び出すディジリデゥがまるで自分を指差しているように感じられて、他人事ではなく自分にも起こりうる物語として迫ってくるかのようでした。

音響効果も素晴らしく生の演奏を聴いているかのように......というよりも同じステージに立っているかのように生々しく響きます(ちょうどど真ん中の席で観られたというのも大きかった)。



フラッシュバックメモリーズ[3D]特報

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