every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

ゲータレード

2009-05-26 | HIP HOP
先週末からO.A.されているゲータレードのCM。




プロテニスプレーヤー錦織圭初出演CMにして、THA BLUE HERB(というよりそのMCであるILL-BOSSTONIO)の書き下ろし楽曲が起用されていることが話題のヤツだ。


……わざわざこうやって書き記している段階でメーカーと広告代理店の思うツボなんだが、"時代は変わる"瞬間を記憶されているものだから書き留めておかざるえない。

BLUE HERBはメジャーとディールを組まないことを"自分たちのクリエイティブ・コントロールを守る為"としている。

作品だけでなくポスターや取材記事なども含めて、自分たちの意図しない露出の仕方を避けたいということだ。

であるのであればテレビCMの話は断るべきだったろう。

CMの制作自体のクリエイティブ・コントロール自体はTBHR側にもあったのかもしれない。
なるほどWEBでフル尺のモノを見れば、THA BLUE HERBの表現として変わらぬモノを見ることが出来る。

が、肝要なのはこれはテレビCMだということだ。

『爆笑レッドカーペット』なんかを見ている時に流れるんである。

そうすると・・・ですね・・・、気持ち悪いんですよ、BOSSのフロウっていうかテンションっていうかが明らかにテレビの空間と合わないんです。
文体が変わってしまうほどに違和感があるんです。

こないだのLiquidroomでもそうであったようにTHA BLUE HERBはライヴのスタート時のステージ入りが上手い。

そこが彼らのステージの肝だとも過言ではない。

「エイジアン・ガンジャ・ファンデーション、オリエンタル・アンダーグラウンド・レジスタンス! THA BLUE HERB!!」

その箱の空気を一気にTHA BLUE HERBの世界に変えてしまう。
それだけの力がBOSSの声にはあるということだが、逆に言えば、空気を変えなければならないのだ。
そうしなければBOSSの放つ真摯なメッセージを聴き手は受け取れないのだ。

ピッチャーの投げる剛速球をキャチャーが受け止められるのは、球を捉える心構えができているからだ。

そして茶の間で流れるゲータレードのCMはポカポカ陽気の公演でキャッチボールしている親子に向かって、剛速球を投げ込むくらい場違いなんである。

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