every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

倫(RIN)『continue da game』

2019-05-14 | HIP HOP

前回のエントリーで触れた<新宿Disk Union Duesでのトークイベント>後の打ち上げ的な飲み会で知り合ったラッパー
倫(RIN)君がMIX TAPEを出した。

終電が終わるというのに自分の中の何かに対峙するがごとく酒を進める彼が気になっていたのだけれど、その”ブルーズ”がここに収めらた13曲に集約されているように思い、感じ入るものがあったのでキーを打つ。

 

さきに言ってしまうと、このMIX TAPEの音質は悪い。想像するにマスタリングという工程を経ていない(もしくはそこに手間隙という意味がかけられてない)。
トラックの響きとラップの響きが馴染んでない。そこが功を制している瞬間もあるけれど、大体の曲はマイナスに響く。特に#6「fuck kirakira hikaru dream」は叫ぶようにラップが歪められているのだけれど、ミックスが詰め切られてないのでその意図が有効に響かない(そのおかげでこの曲の言葉はよく聞き取れない)。

後述する構成の見事さのためにSKITが大根のツマではなくSKITとして異議のあるものになっているのだけれど、大根芝居すぎて何回聴いても噴出してしまう。申し訳ないが。特にSKIT2などにある「フアハハ」という笑い声はwwwと草生える(← 敢えてネット用語使ってみました)。

が、そこを補うようなチャーミングさがこのMIX TAPEにはある。

ちょっと話は脱線するのだけれど、ラップというアートフォームが他のアートフォームと比べた時の一番の特徴は演者の人間性が見えるところにあると思う。前回のエントリーでとりあげたMORROWなんてモロそうなんだけれども。オトトイ斉井君がいうところの「背中が見える感じ」というか。
であるが故にホラを吹くのはありなのだけれど、ウソをつくのが忌み嫌われるのだと思うし、作品と演者の人間性が一緒くたに語られガチなのだと思う。
ということを踏まえると、人間性が窺えるということはそれは良いラップなのかもしれない。


閑話休題。
冒頭に書いたように倫(RIN)君とは一度きりとはいえ酒の席に同席したし、その後Twitterでやりとりしているので(決して全部ではないけれど)どういう人なのかホンの少しわかるし、そこで受ける印象とこのMIX TAPEから受ける印象は同じだ。つまり、人間性が窺える、背中が見えるラップだということなのだけれど、それはそういう経緯で聴いたから・・・? ということかもしれない。判断付かないけど、そこらへんの真偽はこの駄文を読んだ人が実際に聴いて判断してみてください。


#1 everyday livesはこの作品の中でも異色なメランコリックなトラックだ。そして「ママチャリこいで見てた/遠くに漕いでみてた」という内省的な発露からこの作品は始まる。そのメランコリックな情動にいたるまでの苛立ちや不安がこの作品の主なサブジェクトだ。
そこにいたる行ったり来たりの感情(凹んだり、発奮したり…)をSKITを挟んで見事な構成で語られる。大根役者かもしれないが舞台演出の才はあるようだ!

表題作の「continue da game」はラッパーRINの代表作となるだろう(いまのところ)。ECDの影響が強いかな…とか思うけれど。”シンドイなら一回休んでろ”ってECDからの引用だっけ?*本人によると引用でいいよんとのことでした。

あと休むということでいえば休符を意識するとフロウもステップ・アップするなと思いましたぅ。

 

 


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