自民党・憲法改正プロジェクトチームが出している「論点整理」の中には、次のような記述があります。
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新憲法では、基本的に国というものはどういうものであるかをしっかり書き、国と国民の関係をはっきりさせるべきである。そうすることによって、国民の中に自然と「愛国心」が芽生えてくるものと考える。
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「国と国民の関係をはっきりさせるべきである」という表現は不思議な表現です。現行憲法では関係がはっきりしていないかのうようですし、不適当な関係のようにも受け止めることができます。
国と国民との関係では、国民が「主人公」です。憲法は国民が定めるものですから、憲法を通して国に対して「命令」をしているといえます。ただ、憲法が国民に対して「命令」をしている条文もあります。それは「第3章 国民の権利及び義務」に記されています。
具体的内容としては、①「公共の福祉」による自由の濫用制限、②普通教育を受けさせる義務、③勤労の権利と義務、④納税の義務、ということになると思います。それ以外は、国民の権利を国家権力から守るための条文になっています。または、国の暴走を防ぐために国に対して制限を加えている条文になっています。国と国民との関係を憲法を通して考えるとき、11章103条に渡って、国民が国に対して命令をしている、と読むことができるのです。
国民は「主人公」ですが、好き放題自由にできる、という存在ではありません。「公共の福祉」によって自由の濫用を制限されているからです。逆に言いますと、国が「公共の福祉」を理由に、国民の自由を制限し、様々な強制力を働かすことも想定できます。条文を曲解して「公共の福祉」のために、国民を兵役にとる、ということがあり得るかもしれません。命を捧げ出すことを強制するかもしれません。しかし現行憲法は、国権の発動による戦争を放棄していますので、国民は国から戦争を強要されることはありませんし、命を国のために捧げる必要もありません。公共(国)のために個人の自由が制限されることと、国による戦争を禁止していることとは不可分一体をなして機能しているといえます。
憲法改正の狙いは9条にある、といわれます。現行憲法は、国の交戦権を認めていませんが、自民党の思惑通りの改正がなされれば、国権の発動による「戦争」ができるようになります。
では、自民党はどのような改憲案を出してきているのでしょうか?
「自衛のための戦力の保持を明記」して、「個別的・集団的自衛権の行使に関する規定」を盛り込もうとしています。これで「戦争ができる国」になります。そして、「国の防衛及び非常事態における国民の協力義務の規定」を設けようとしています。これは「国防の義務」を国民に負わせることです。
国民が国に対して「戦争をしてはいけません」と命令をしていた現行憲法を書き換えて、
国が国民に対して「国防の義務」という形で、「国のために命を捧げなさい」と命令をしています。これでは主客転倒です。
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新憲法では、基本的に国というものはどういうものであるかをしっかり書き、国と国民の関係をはっきりさせるべきである。そうすることによって、国民の中に自然と「愛国心」が芽生えてくるものと考える。
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「国と国民の関係をはっきりさせるべきである」という表現は不思議な表現です。現行憲法では関係がはっきりしていないかのうようですし、不適当な関係のようにも受け止めることができます。
国と国民との関係では、国民が「主人公」です。憲法は国民が定めるものですから、憲法を通して国に対して「命令」をしているといえます。ただ、憲法が国民に対して「命令」をしている条文もあります。それは「第3章 国民の権利及び義務」に記されています。
具体的内容としては、①「公共の福祉」による自由の濫用制限、②普通教育を受けさせる義務、③勤労の権利と義務、④納税の義務、ということになると思います。それ以外は、国民の権利を国家権力から守るための条文になっています。または、国の暴走を防ぐために国に対して制限を加えている条文になっています。国と国民との関係を憲法を通して考えるとき、11章103条に渡って、国民が国に対して命令をしている、と読むことができるのです。
国民は「主人公」ですが、好き放題自由にできる、という存在ではありません。「公共の福祉」によって自由の濫用を制限されているからです。逆に言いますと、国が「公共の福祉」を理由に、国民の自由を制限し、様々な強制力を働かすことも想定できます。条文を曲解して「公共の福祉」のために、国民を兵役にとる、ということがあり得るかもしれません。命を捧げ出すことを強制するかもしれません。しかし現行憲法は、国権の発動による戦争を放棄していますので、国民は国から戦争を強要されることはありませんし、命を国のために捧げる必要もありません。公共(国)のために個人の自由が制限されることと、国による戦争を禁止していることとは不可分一体をなして機能しているといえます。
憲法改正の狙いは9条にある、といわれます。現行憲法は、国の交戦権を認めていませんが、自民党の思惑通りの改正がなされれば、国権の発動による「戦争」ができるようになります。
では、自民党はどのような改憲案を出してきているのでしょうか?
「自衛のための戦力の保持を明記」して、「個別的・集団的自衛権の行使に関する規定」を盛り込もうとしています。これで「戦争ができる国」になります。そして、「国の防衛及び非常事態における国民の協力義務の規定」を設けようとしています。これは「国防の義務」を国民に負わせることです。
国民が国に対して「戦争をしてはいけません」と命令をしていた現行憲法を書き換えて、
国が国民に対して「国防の義務」という形で、「国のために命を捧げなさい」と命令をしています。これでは主客転倒です。