「ゲバラを脱神話化する」太田昌国著。考えさせられることが多い良書です。
太田氏はキューバ革命やゲバラに対して好意を示すと同時に批判的なコメントと解釈を加えています。特に、私たちにとって差し迫った問題として抱えている「軍(自衛隊)」「暴力」といった中心部に通じる内容として読むことができます。
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現在の革命が、「国家の廃絶」も、「軍隊=常備軍の廃絶」も口にしなくなって、久しい。資本制社会の常識的な価値観に、それが「現実的であるがゆえに」骨の髄まで侵食された社会革命の理念と実践は、夢も理想も語ることなく、ますます袋小路に追い詰められる。
「国際主義の総括」の後に待つ課題はなにか? 本質的に非民主主義的な存在であり、「敵」を意志的に殺すことを使命とする軍隊が、ゲバラが言う「新しい人間」の社会で強大であり続けることは、大いなる矛盾であるという問題意識ではないか。
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引用:『「ゲバラを脱神話化する」』(現代企画室)P.100
革命軍が国軍として常態化することの矛盾を指摘し、「軍」そのものが持つ非人間性を「英雄ゲバラ」を通して浮き彫りにしています。
私たちはいま日本の「軍(自衛隊)」がイラクに進駐し、アメリカが行う戦争に対して、「有志連合」として加担しているという現実に直面しています。アメリカ軍の行っている行為は、シビリアンコントロールのらち外にあり、「軍」の持つ凶暴性が歯止めが効かない形でむき出しになっています。いや、アメリカ軍の行為は「軍=シビリアン」が持つ本質を忠実に体現しているにすぎず、シビリアンコントロールを前提とした「軍」そのものの限界性を示している、と踏み込んで語ることができます。
ゲバラは娘に宛てた最後の手紙で次のようにつづっているそうです。
「自分が生きてきた社会というものは、人間が人間の敵である、そういう社会であった。今おまえは、そうではない社会に生きることのできる特権を持っているのだから、それにふさわしい人間にならなければならない」
1967年、革命戦士ゲバラは39歳で死にました。幾度となくゲバラブームが起きると同時に「神話」から解き放たれていきました。2004年現在、この社会が抱える問題の中心部が見えてきました。

※太田昌国氏シンポジウムが11月23日にあります
太田氏はキューバ革命やゲバラに対して好意を示すと同時に批判的なコメントと解釈を加えています。特に、私たちにとって差し迫った問題として抱えている「軍(自衛隊)」「暴力」といった中心部に通じる内容として読むことができます。
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現在の革命が、「国家の廃絶」も、「軍隊=常備軍の廃絶」も口にしなくなって、久しい。資本制社会の常識的な価値観に、それが「現実的であるがゆえに」骨の髄まで侵食された社会革命の理念と実践は、夢も理想も語ることなく、ますます袋小路に追い詰められる。
「国際主義の総括」の後に待つ課題はなにか? 本質的に非民主主義的な存在であり、「敵」を意志的に殺すことを使命とする軍隊が、ゲバラが言う「新しい人間」の社会で強大であり続けることは、大いなる矛盾であるという問題意識ではないか。
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引用:『「ゲバラを脱神話化する」』(現代企画室)P.100
革命軍が国軍として常態化することの矛盾を指摘し、「軍」そのものが持つ非人間性を「英雄ゲバラ」を通して浮き彫りにしています。
私たちはいま日本の「軍(自衛隊)」がイラクに進駐し、アメリカが行う戦争に対して、「有志連合」として加担しているという現実に直面しています。アメリカ軍の行っている行為は、シビリアンコントロールのらち外にあり、「軍」の持つ凶暴性が歯止めが効かない形でむき出しになっています。いや、アメリカ軍の行為は「軍=シビリアン」が持つ本質を忠実に体現しているにすぎず、シビリアンコントロールを前提とした「軍」そのものの限界性を示している、と踏み込んで語ることができます。
ゲバラは娘に宛てた最後の手紙で次のようにつづっているそうです。
「自分が生きてきた社会というものは、人間が人間の敵である、そういう社会であった。今おまえは、そうではない社会に生きることのできる特権を持っているのだから、それにふさわしい人間にならなければならない」
1967年、革命戦士ゲバラは39歳で死にました。幾度となくゲバラブームが起きると同時に「神話」から解き放たれていきました。2004年現在、この社会が抱える問題の中心部が見えてきました。

※太田昌国氏シンポジウムが11月23日にあります