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東京のスキマ

日常の生活で、ふっと感じる悦楽

静寂の夜 御茶ノ水

2008-08-06 01:29:05 | ビジュアルブックマーク
御茶ノ水の坂をのぼると、木の影からゆっくりと姿を現す「山の上ホテル」。
かつて一度だけ宿泊したことがある。東京にこんなに静かな夜があるのだろうかーと感銘した。
そこはまるで深海のような静寂と穏やかな揺らぎに充ちていた。

ホテル・オオクラのロビーも深海を想わせる。
いいホテルは自分にとってなぜか深い海の底にある。

新橋 和解

2008-07-13 10:41:42 | ビジュアルブックマーク
新橋駅前「ニューしんばしビル」。
私はかつて京橋の商社に勤務していたことがあり、当時よく先輩に連れられてこのビルを訪れた。当時からこのビルは、居酒屋、食堂から床屋、風俗店に至るまで軒を連ねる雑多な雰囲気。加えて高度成長を造り上げたと自負する先輩たちは、どんでもない人達が多く、自分にはどうにもなじめないものの象徴的な場所だった。

朝方の光は白系をひきたたせるようなところがある。
徹夜明けに見上げたこのビルに、イメージとは異なりある種の美しさを感じた。壁にはスリットが波を描くように組み込まれている。モダンクラシックといえなくもないかも・・・・
いずれ再開発の波に呑み込まれることは必至だが、その前に1瞬たりともこのビルに魅せられるようなことがあってよかった。当時の先輩にも今となっては、理解や感謝の念が強い・・・
全ては和解していくーということだろうか。

本の森をいき、古生物にあう・・・新宿

2008-07-09 00:34:41 | ビジュアルブックマーク
新宿三越の上層階には、3フロワーにおよぶ大きな書店がある。長い本棚をたくさん並べたようなレイアウトで、そこを練り歩くとまるで本の森をさまよっているようでもある。
帰りは壁で化石を探しながら階段を下る。築80年のこの百貨店には天然石がふんだんに使われ、その中に多くの古生物の化石がみてとれるのである。破片のようなカタチを覚えていて、後で図鑑で調べることもある。
そんなことを繰りかえしていると、アンモナイトはヤドカリではなく、実はイカのような生態だったという、およそ生活には必要のない?知識に触れて、それなりに新鮮。

蝶の舞うスキマ 紀尾井町

2008-07-04 00:00:09 | ゲニウス・ロキ
特に立入りを禁止になっているふうでもないのだが、素朴な疑問として、足を踏み入れていいものだろうかー紀尾井町のお堀。
ゆるい傾斜は、人の手の入っていない鬱蒼感がある。思い切って堀まで降りていくと、水際のわずかな平地に小さな花が咲き、茶色の羽に綺麗な藍色をまとった蝶が乱舞している。都心にあって稀な景観で悪くないのだが、なぜかあまり留まるような気にならない不吉さのようなものを感じるのはなぜだろうか。

ひかる目 青山

2008-07-01 01:09:24 | ビジュアルブックマーク
綺麗な人が多い通りには上空にも美女が多い?
青山通りには、モデルから歌手、最近は芸人までが入れ替わり立ち替りひしめきあっている。中には視線を通りにおとしている人もいて、歩きながらふっと見上げると思わず目があったりする。

青山通りの彼女は強い光を浴びて、ネガのように反転、それにより目が独特の光を放つ。

目の色が独特の女性に魅力を感じるのは自分だけだろうか。黒からすこしだけブラゥン、グレーなどかすかに異なる目の色調を自分は見逃さない。そのささやかな気付きを相手に伝えると、ほとんどの人は目を輝かして反応して、またーぐっときてしまう。

モノリス 汐留

2008-06-24 00:47:04 | ビジュアルブックマーク
雨前空色ー雲が低く垂れみるみるうちに暗くなる。そびえたつビルの袂を雲を避けた斜光がさす。その斜光を浴びて新都市交通が走りさる。
エッジが鋭いシルエットは、地面に突き出た1枚岩:モノリスのようで美しい。
こういう景観を前にアーサーCクラークの描くモノリス《2001年宇宙の旅》が放つ不思議な音をイメージしてみる・・・

野菜に水をまく女性 神宮前

2008-06-11 01:50:01 | ビジュアルブックマーク
外苑・キラー通りのワタリウムで開催中の展覧会「ファブリス・イーベル/たねを育てる」の屋外展示場。
農大の女子大生が空き地で野菜を育てている。
東京の真ん中で、突如出くわす景観としてはにインパクトがある。これがアートかーといわれると自分にはよくわからないが、腕を横に伸ばし、水をまく女性の姿に思わず見入ってしまう。風にのった飛沫を頬に感じても、平然としてぼーっと見入っている・・・ちょっとなさけなし

ベンチ 晴海

2008-05-25 03:24:00 | 東京の椅子
晴海は物を静に考えるのにはいい場所だ。他の人にとってどうかはわからないが、少なくとも自分にとって、ゆっくり物事を考えることのできる稀少な場所だ。

旅客ターミナル内には赤色の椅子が点在している。椅子というより、どちらかというとベンチの様相で座り心地は極端に悪い。人の長居を拒むようなところがある。ベンチは元々、控え椅子ーとの意味があるらしいから、座り心地は必要ではないののだ。
この赤いベンチにわずかの時間留まり、ちょっと思いにふけったりして、すぐ立ち去るーそういうことに最適なベンチかもしれない。

23番線 東京駅

2008-05-17 02:31:16 | ビジュアルブックマーク
日が傾きかける頃に新幹線で向かうような先にある仕事にろくなものはない。
気を重くしながら、エスカレーターでホームへ・・・夕日が半透明の屋根を透過をして一瞬だけ目を瞠るような美しい景観になった。

エスカレーターに身を任せながら上昇すると、自分の意思とは関係なく、どこかへ推し出されていくようなー感覚にとらわれることがある。
モチベーションが上がらない仕事にも、こんな美しい光に包まれて推し出されていくと、少しは、それに挑もうという気にさせられるから不思議だ。

足がすくむ広尾

2008-05-13 01:53:34 | ビジュアルブックマーク
往路に公園があればそこを通りぬけるのが習性のようなもの。
広尾の有栖川宮公園は鬱蒼とした森。その森の切れ目からこの塔が唐突に視界に入る。塔の上のわずかのスペースに金色の人像が輝いているのを認めた瞬間、なぜか足がすくむ。もしあの像と自分が入れ替わったらー意味のない想像が血を逆流させる。ぼーとして歩いていて、どこか強烈なスイッチが入って切られたようなそんな感じ。

せめてメキシコ?かどこかの聖人像のように手を横に水平に広げてバランスをとって欲しい。よくみると丸い玉の上にのってラッパ?を吹いている・・・そんな場所でそんなことをしているばあいではない・・・

「卑弥呼」 静かの海をゆく

2008-05-06 23:50:08 | ビジュアルブックマーク
曇天の夕刻のひととき風がやみ、東京湾は静かの海。
松本零士デザインの「卑弥呼」が虹橋をくぐる。涙滴をイメージしたシルエット、キャビンが低く抑えられていて水面をすべるようにすすむ。光がおちはじめた湾をしずかにゆく姿は、なかなかシュールな景観。
就航からすでに4年が経ち、船体はくすみ、そのやれた質感はかえって魅力的に観える。近未来の臨場感って実はこういうことかもしれない。

この海上バスでは、アニメのキャラクターが乗船案内するらしい・・・
巷にはこういう落とし穴があったりする・・・
ここは外からその姿を楽しむだけにしたい。

謎 赤坂

2008-04-09 21:13:31 | ビジュアルブックマーク
街で景観に謎をかけられるようなことがある。
例えばこのビル。
工事中の2棟のビルの突起。どう考えても2つの棟をつなぐ通路にしかみえないのだが・・・・段がずれて繋がらない。
赤坂まさかーか!
ところで、この景観は会社でもちょっと話題になっている。
人って意外に同じようなものを観て、同じように感じているーということだろうか。

抜けて人に還るトンネル 浜松町

2008-04-01 01:54:32 | ビジュアルブックマーク
JRの架線を潜るトンネル。
天井が低くナトリュウム灯が放つオレンジ色・・・作業用通路が、そのまま横断通路になったような趣きがある。
こうしたオレンジ色の光では、人の印象が微妙に変わると感じるのは自分だけだろうか。
大勢のサラリーマンがトンネルから大勢でてくる・・・
その姿はトンネルを抜けて人に還る・・・妙な印象をもつ。

高速のトンネルで、この光に包まれると、それまで車内で和気藹々としていた同乗者との距離感の微妙な変化を感じたりする。また隣で寝入った女性を盗み見すると、思わず色気?を感じたりする不思議・・・

このオレンジの光が、機能以外で人の心理に与える影響を研究する価値はないだろうかー

ひかる壁と床にでくわす 恵比寿

2008-03-20 23:04:36 | ビジュアルブックマーク
強い斜陽が織り成す光景。老朽化した建物で、こうしたことに出くわすことがあるー
ここでは見るというより、出くわすという表現がはまる。
そして思わず足を留めるー
こちらも止めるという表現より、留めるという方がちかい。

出くわして、思わず足を留める・・・それは新しいビルではおきない不思議。
ただ面白がって立ち去れば、それはそれなりに粋なのに、こうして撮ってしまう不粋。

点在する陽だまり 初台

2008-03-16 11:46:05 | ビジュアルブックマーク
植物園を訪れると、いきなり熱帯地方へ放り込まれる。蒸せる空気と花の香りに包まれ、様々な記憶が多層にリンクしあう・・・南の島へ降り立って外気に接した瞬間、強烈な花の香りに包まれた瞬間の記憶・・・植物園のひそかな?楽しみ方だ。

季節の変わり目のアトリウムでも同じようなことを感じる。
この初台の新国立劇場へ昇る導線も、ところどころに点在する陽だまりに身を投じると、植物園ほどでないにしろ心が高揚する。この高揚感の先に春があり、かすかに夏をみる。
人はもっと陽だまりに身を任せた方がいい。