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東京のスキマ

日常の生活で、ふっと感じる悦楽

光のサロン 六本木

2009-03-12 16:03:15 | ビジュアルブックマーク
母校の中学校は、当時の世田谷区の建築モデル校。従来の校舎とはことなる様々な新たな試みがなされていた。
今にしてよかったのは、廊下がガラスの壁面に面してつくられていて、いつも外光が射す明るい廊下だ。私たちは休み時間は、教室より開放されて明るい廊下にすいだされていったものだ。こうしたことでクラス間の交流も盛んで、明るい廊下は昼休み、放課後には細長いサロンのような有様だった。
あれ以来、どんな学校に入学しても廊下が暗く思えてしまう。

外光が射し、人々がたたずむ場所を目の辺りにすると、私は我母校を想い出す。
六本木の新国立美術館。ここも居心地のよい明るいサロンができていた。
人々の喧噪が、せりあがってきて1つの音になる。まさにあの中学校の廊下の音だ。

紀行体験 青山

2009-03-06 17:26:12 | ビジュアルブックマーク
ヨーロッパ、特に貧富の差の激しい地域では,旅行はおろか自分の街を出るのもおぼつかない人々も多い。そこで人々は旅行本専門店へ行き、紀行本を求め読書で旅行体験を楽しむそうだーお手軽と思いきや、想像力が豊かでないと成り立たない、ある意味知的な楽しみだとすると、貧富の差と民度とは比例しないということだろうか。

読書を通して旅行体験ー生活の中で習慣付ける場所として、この旅行専門の本屋〈BOOK246)はよくできている。古本もあり1点ものとの思わぬ出会いがある。
古きよきレトロな旅客機の模型の下で、スタンドの本を眺めているとトランジェットの空港に売店で時間をつぶしているような感覚にとらわれたりする。

ところでー旅行本、紀行本は、古本の方がシズルのは自分だけだろうかー



似非伊太利亜  汐留め

2009-02-25 19:21:40 | ビジュアルブックマーク
汐留めのイタリア地区ーなんとも安直にイタリアによせているさみしい街。
こんな都市開発があるのかーちょっと恥ずかしい気分になるのは自分だけか。
しかし、冬の午後の斜陽のいたずらかー1瞬素敵な雰囲気をかもし出す。
そういえば、雨の暗い夜、濃霧がたちこめたこの街もとてもよかった。
ディズニーシーの街並みには専門のアーティストによる演出とのことだが、似非伊太利亜の雰囲気を盛り上げるのが雨や光だとしたら、やはりこの開発は失敗?

アトムの空 皇居前

2009-01-30 20:20:42 | ビジュアルブックマーク
皇居界隈は灯りが抑えられ、品のよい夜のとばりに包まれている。大手町方面を望むと折り重なるように広がるビル群が美しい。
どこかがなつかしいーなんだろう・・・
帰りにJR高田馬場駅「鉄腕アトム」の発車音に、はたと気が付いた。アトムの世界だ!アトムに描かれた都会の夜は、このようなモノクロームに輝くビル群、アトムはこうした夜の街を飛んだり、ビルのへりに座り耳をすましたり、ときに稚拙な人間の行動に涙していたっけ。

なつかしい未来ーといってもアトムは2003年科学技術庁生まれー
アトムもいないし、科学技術庁もなくなってしまった現実。何かから取り残されたようなそんな気分になる・・・

地図にない富士山 狭山富士

2009-01-04 12:00:44 | ビジュアルブックマーク
新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

東京と埼玉県の県境に「狭山富士」はある。
伝承で通称となった場所は地図にも載らず独特の趣きがあるように思う。
土を山のように盛った場所だが、粗末ながら登山道、山頂にはお宮もある。眺望は思いのほかよく、山頂からはほんもの?の富士山も望める。

夜が明けて、陽光で鈍く輝る富士。
やはり神々しく、それだけでありがたい気持ちになる。

ドアの向こう側のクリスマス  浜松町

2008-12-21 02:05:30 | ビジュアルブックマーク
開ける必然のないドアが無数にあるとすると、当たり前の話しとして
ドアの向こう側には星の数ほどの未知の空間が存在していることになる。
凝ったカットのほどこされた古い硝子。透過光を煌びやかに放つが中は見えない。
何気なく近づいてみると、かすかにクリスマスの音楽が聴こえる。
息を潜めて輝くドアのそばで聴くサイレントナイト。

酔いざましの徘徊 表参道

2008-12-18 09:59:59 | ビジュアルブックマーク
そもそも強い方ではないので、酒が入ると妙に酔い覚ましでぶらぶら徘徊する癖がある。暖をとる?ために吸い込まれるように入った参道ヒルズは、閉館まぎわで一部の照明は落とされ、フロワーは既に通れないところもあって、いつもの参ヒルとは異なる空間。方向感覚が変、同じところをぐるぐる廻っていたりする。
見下ろすと、酔いのせいでデコレーションが揺れたり様々なものに姿をかえる。
酔いに身をまかす、歳末ならではのスキマのような時間。

官能 東銀座

2008-12-14 03:47:56 | 東京の椅子
東銀座のクルマのショウルーム。
美しいシェイプを描く新しいスポーティカーと座り心地のよいソファ。
そのクルマのふくよかな曲線、ソファの優しい包まれるような座り心地、いずれも実に官能的。
こういうものに触れて刺激を受けると、単純に何か心の奥底にあるものが再生するような錯覚?をおぼえる。

死にいく王を忘れないでー  上野

2008-12-04 11:22:55 | ビジュアルブックマーク
没落寸前の「上野百貨店」。かすかな記憶は、子供心にはちょっと恐ろしい大人の世界、思わずつないだ親の手をぎゅとにぎりしめる、ある種上野っぽい途方もなく吸い込まれるような原色の煌びやかさ。
何千、何百万の先輩たちが東京の入口として上野に立ち、希望を胸に対面した煌びやかな景観が今や、さびれ枯れ姿をさらしている。
街は新陳代謝は必然ーしかし、この枯れ姿はあまりに寂しい。つなぐ手はなくとも、ちがう意味でこちらもぎゅっと握りこぶしをつくりたくなる。

壁面に西洋美術館の世界遺産登録を促す看板が無遠慮に取り付けられている。
これは悪い冗談か- 世界遺産の前にまずは東京の遺産に敬意をー。
「死にいく王を忘れないでー」検事ジム・ギャリソンのJFKに敬意をはらった言葉がふっと心によぎる。各時代を彩った建造物に敬意を払う意義は充分にある。


迎合 新宿

2008-12-01 11:09:06 | ビジュアルブックマーク
西新宿の高層ビル街に建つ「コクーンビル」
デザインは、その名のごとく繭をイメージして造られている。絞り込まれたフォルム、ウォールのスリット、さらに、永遠に繭のままというのが刹那的で、比較的おとなしい既存のビルを挑発するようなエッジを感じた。
写真は工事中のもので、ビルの窓の奥の溶接の閃光や、映りこむ重機の影がなかなかシュールでいい感じだった。
しかし、オープンから1ヶ月たち、このビルは、瞬く間に高層ビルの脇固めという極めてシンプルなスタイルで周りと迎合してしまった感がある。
目が慣れたといえばそれまでだが、新建築はオープン前にみるべしという基本を改めて感じる。

釣り場 天王洲

2008-11-28 05:53:17 | ビジュアルブックマーク
橋の上リードを垂らす。こんなところで魚が釣れるのかー
黒いタールのような水面には、天王洲のビルの灯が鏡のように映り込んでいる。
横は東京モノレールが静に走りぬける。
この景観には妙に惹かれる緊張感のようなものがある。

師走のかおり 新宿

2008-11-11 02:18:23 | ビジュアルブックマーク
とばりに会議を終えてちょっと立ち寄ることになった新宿花園神社。
酉の市・前夜祭。
空気がひんやりする中での神社の賑わいは、師走の訪れをほんのりと感じる。


八王子 天使の梯子

2008-10-21 09:44:18 | ビジュアルブックマーク
叔母の訃報で信州をめざす。
遥か彼方昔に点在する叔母との記憶をくりかえしたぐりながら、クルマは中央道を北上。
八王子を超え、夜が明けはじめると、前方に天からさす1条の光が・・・

幼少の頃、雲の切れ目から指す光の柱を観た。祖母の葬儀で信州からの帰路の車窓からだった。
「あれは天使の梯子、死んだ人が昇っていく光・・・」。母の言葉に2歳上の兄が、昇っていくお祖母ちゃんが見えるーと。観たいけど観えない自分、さらに見えると煽る兄・・・涙で視界が霞み、やがて泣きつかれて夢路へ・・・

死に対する心情は人によって異なるが、私は悲しみや寂しさにどっぷり浸かるタイプだ。決して、それから逃れようとはしない。その沈痛な想いから、やがて、天使の梯子のごとく一筋の光がさすごとく、気持ちが晴れていく・・・私は静にそれを待つ。

山小屋 御茶ノ水

2008-10-06 01:17:29 | ビジュアルブックマーク
老舗喫茶店「穂高」。
山小屋風の店内で白髪のご主人が淹れる珈琲。
マッチには、常連の画家が描いたアルペンの線画。
店内の日本アルプスの水彩画。
山岳関係者のたまり場。

東京で数少なくなった、来たくなる喫茶店。

春日 上空

2008-08-12 00:09:30 | 東京のスキマ
「ちょっと昇ってみませんか?」
そう誘われた先は、文京区の役所の25Fにある展望室。
青山から浅草までひろがる眺望が夕陽に包まれて美しい。
こうした展望は、地上高があればよいというのものではない。あまりに高すぎると、なぜか都市景観に生気のようなものが感じられない。
そして、常に高過ぎる場所から見下ろすという視点に発見は少ない。