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反安保法案(米国の無法な戦争に加担する従米下請け戦争法案)反集団的自衛権、反安倍の管理人による真実を追求・周知するブログ

驚愕!!集団的自衛権の定義は国連憲章で定められていない。(国際連合広報センター・資料担当者より回答)

2015年07月21日 | 安保法制関連法案に関する記事

(前書き)

現在、内閣官房のサイトには、『国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について』というタイトルで一問一答が掲載されています。→  「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答

【問1】の集団的自衛権とは何か?というところを見て頂くと、その定義のようなものが書かれてあります。 

また、現在、安倍政権が大多数の民意を無視し、強行的に成立させようとしている平和安全法制関連法案の概要には、存立危機事態への対処として、「新三要件」の下で、「武力の行使を可能にしようとしており、その新三要件の中に、『我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること』とあり、日本政府が定義づけている集団的自衛権で対処する文言が掲載されてあります。

 

しかし・・・ 国会 正論!素晴らしい質疑 小川教授が集団的自衛権の必要性 最新の面白い国会中継(YouTube:2015/06/30 公開) ←こちらの動画では、軍事アナリストの小川和久という平和安全法制関連法案推進派の人物による集団的自衛権の定義というか、解釈の発言がなされていますが、これが全く政府の定義とは異なるものです。

動画の3分41秒あたりで、「集団的自衛権は、自分の国の安全を同盟国などの軍事力で守る権利」と発言されている。 つまりこの解釈からすると日本が攻撃された場合、他国の軍隊に対して防衛を要請する権利ということになるかと思います。

こうなると、法案の内容全体が狂うというか、全く違うものに変更しなければならなくなるでしょうが・・・ いったいどちらの解釈が正しいのかということで、国連広報センター、内閣府、防衛省に問い合わせをしてみたわけです。

そうすると・・ 予想すら全く出来なかった回答が返ってきました。(以下に掲載)

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◎集団的自衛権の定義は、各国の判断で定義される。


東京都渋谷区にある国際連合広報センターのサイトには国連憲章テキストというページがありまして、そこに国連憲章の各条文が掲載されており、現在、問題となっている集団的自衛権が明文化されている51条もありますが、その肝心要の【定義】が明文化されていない。

政府の定義と軍事アナリスト・小川氏の定義が異なるため、条文を追って確認しようとしたところ明文化されていない。 こうなると直接、広報センターに聞くしかないということで問い合わせをしたところ・・・・

なんと!集団的自衛権の定義はありません、という回答が返ってきた。 

(-_-;)おい、おい・・・ 定義が無いってどういうこと!!??

具体的に聞いたところ、定義はそれぞれの国の判断により定義づけられるということであり、国連憲章では定義づけてはない、各国の判断に委ねているとのことでした。 個別的自衛権も多分!?同様だと思います。(知らなかったのは私だけ!??)

そして、各国の判断で集団的自衛権の概念が決まるということを漠然と言われても日本以外の国々がどのような解釈をしているのか不明なため、これまでどのようなケースで集団的自衛権が行使され、一番多いのはどのようなケースか!?と問うたところ、Repertory of Practice of United Nations Organs ←どうもこちらの資料にデータとして掲載されているようですけど、全て英語で和訳機能を使用してもうまくいかない。 現状では確認が取れない状況です。(英語得意な方は和訳に挑戦してみてください)

 

集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利です。』 ←一応、これが我が国政府が定義づけてきた集団的自衛権の概念ですが、平和安全法制関連法案はこの定義を要にして立案されているようなので、仮に小川氏の解釈を前提とすると全くと言っていいほど違うものになってくる。

仮に、我が国への武力攻撃があった場合、他国の軍隊に援護を要請する権利という概念で安保法制を進めるなら、大多数の国民の反応は違ってくるだろうと思いますね。 最初から小川氏の解釈で安保法制が立案されていれば反対派の人も賛成に回っていたのではないかと思いますが・・・。

しかし、日米安保条約を締結した昭和の時代から、集団的自衛権は他国防衛説をとっていたようなので、今更、小川氏の解釈を取り上げて、「神発言」(集団的自衛権推進派が小川氏の答弁を神発言と持ち上げる)と持ち上げたところで、そう簡単には定義を変更することは不可能でしょう。

 

◎ニカラグア事件判決(1986年)から見える集団的自衛権の概念、そして小川和久氏の集団的自衛権解釈(自国防衛説が前提)の矛盾


ニカラグア事件判決とは、ニカラグアに対するアメリカによる軍事行動などの違法性を主張し、1984年4月9日にニカラグアが違法性の宣言や損害賠償などを求め、国際司法裁判所(ICJ)にアメリカ合衆国を提訴した国際紛争をもとにした判決。

この判決から見える集団的自衛権では、「他国防衛説」、つまり現在の日本政府が定義としているものが正しいと言えます。 

集団的自衛権の法的性質とその発達 ―国際法上の議論― ←こちらの資料の⑥番目のところには、次のように書かれてあります。→ 『国際司法裁判所が、1986年のニカラグア事件判決において、集団的自衛権を行使するためには、攻撃を受けた国による攻撃事実の宣言及び他国に対する援助要請が必要であると判断したことは注目される。

 

つまり、攻撃国、被攻撃国(攻撃を受けた側)以外の第三国が『他国防衛』の為の集団的自衛権を行使するには、被攻撃国の攻撃事実の宣言と援助要請があった場合に行使可能ということです。

ということは、軍事アナリスト・小川氏の解釈する「集団的自衛権は、自分の国の安全を同盟国などの軍事力で守る権利」というのはニカラグア事件判決に矛盾することになります。

https://twitter.com/search?q=%E5%B0%8F%E5%B7%9D%E5%92%8C%E4%B9%85%E3%80%80%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9&src=typd&lang=ja ←こちらで小川氏の集団的自衛権の解釈を基にした安保法制推進論を肯定し、素晴らしいともてはやしているツイッター民で溢れているようですが、どうも小川氏は誤解をして解釈されているのではないかと思いますけどね・・・。

このニカラグア事件判決からすると、集団的自衛権は小川氏の言う『自国防衛説』を前提としたものではなく、『他国防衛説』を前提としたものというのが国際的にも認識され標準化されているのではないかと思いますが!?

第9回 「集団的自衛権」は「自衛」ではない!(浦部法穂の「大人のための憲法理論入門」:2015年6月1日) ←こちらでは、ニカラグア事件判決と集団的自衛権の関係について具体的に掲載されています。とてもわかりやすい。

 

◎それぞれの国によって集団的自衛権の解釈が異なる場合に考えられる影響


そして、国連広報センターの言う、定義が無い(国連憲章で定義されていない)という言い分にも凄くひっかかるものがあります。 定義がないのにそこから言葉が生まれ、憲章に明文化されているという現実には度胆を抜かれましたよ。

例えば、それぞれの国によって集団的自衛権の解釈が異なる場合、対処にあたり支障がでてくるのではないかと思います。 例えば、攻撃された国が集団的自衛権に対して『自国防衛説』の概念を前提としている場合、支援要請をされた国は必ず支援の義務を果たさなければならないという事になるのではないでしょうか? つまりこの場合の集団的自衛権とは要請先の国に対する権利であり、その要請に応える義務が発生するということです。

そしてその支援の義務を果たさなければならない国は、攻撃をされ要請を求めてきた国と同様の概念で集団的自衛権を定義づけなければならなくなると思います。 また、『他国防衛説』を前提として集団的自衛権を定義づけている国とは軍事同盟を締結できない、支援の要請ができないということになってくるのではないでしょうか!? 

例えば、集団的自衛権に対し、『他国防衛説』を前提に定義づけている国(日本はこれ)の場合、要請してきた国の防衛に義務は発生しないということになり、その国の主権でもって被攻撃国の防衛にあたるか否かを決めることができる。

 

現在、ほとんどの国はこのスタンスであると思いますけど、例えばアメリカと日本の関係でいうと、アメリカは日本と日米同盟、そして日米安保条約を締結していますけど、アメリカにも日本にもお互いの国を必ず防衛しなければならない義務など無いわけです。 アメリカではいざ日本が攻撃をされた場合、防衛するか否かは議会の判断に左右されると主張している。 つまり日本が攻撃をされたとしても議会が拒否した場合、防衛にあたることはないということになります。 

仮に小川氏の主張が正しければ、こういう状況はまずありえないと思います。日本が武力攻撃に遭い、集団的自衛権によりアメリカに防衛の要請を出した場合、アメリカに対する権利なのだからアメリカはその義務を議会の判断抜きで果たさなければならなくなると思いますけど・・・ この解釈は間違っているでしょうか??

 

また、小川氏はこうも主張されている。『同盟関係を選ぶというのは、相互防衛が前提であります。相互防衛というのは集団的自衛権の行使というのは前提条件であるということなんです。』 

つまり、アメリカと日本で言えば、日米同盟を結ぶということは相互防衛が前提であり、集団的自衛権の行使は前提条件であるという主張のようです。 いざという時、お互いが『自国防衛説』を前提とした集団的自衛権を行使して防衛してもらうことが前提条件であると!

しかし、アメリカは日本防衛の義務を負っていないという考えであり、防衛するか否かは議会の判断に委ねられ左右される。つまりこの場合も矛盾が生じてくる。 しかも日本は交戦権すら禁止されているのに、武力による他国防衛の義務があるとはとてもではないですがいえないでしょう!?

 

旧日米安保条約を改定した岸信介氏の頃だと、集団的自衛権を前提とした(形式としては)双務的体裁を採用しており、日米双方が日本および極東の平和と安定に協力することを規定した、とWikipediaでは記載されていますが、岸信介氏は「一切の集団的自衛権を憲法上持たないのは言い過ぎ」と当時発言し、しかし次のように発言もされていた。

日本の自衛、いわゆる他から侵略された場合にこれを排除する、憲法において持っている自衛権ということ、及びその自衛の裏づけに必要な実力を持つという憲法9条の関係は、これは日本の個別的自衛権について言うていると思います。しかし、集団的自衛権という内容が最も典型的なものは、他国に行ってこれを守るということでございますけれども、それに尽きるものではないとわれわれは考えておるのであります。そういう意味において一切の集団的自衛権を持たない、こう憲法上持たないということは私は言い過ぎだと、かように考えております。しかしながら、その問題になる他国に行って日本が防衛するということは、これは持てない。しかし、他国に基地を貸して、そして自国のそれと協同して自国を守るというようなことは、当然従来集団的自衛権として解釈されている点でございまして、そういうものはもちろん日本として持っている、こう思っております。』(岸内閣が集団的自衛権を容認する答弁をしたというのは本当か?:2014年3月4日より一部転載)


上記の発言からすると、現在、安倍内閣が進めようとしている地球規模で米国の軍事行動に伴い後方支援、時と場合によれば武力行使もありうるとする行動は岸信介氏の発言からすると、それは許されないということが見えてきます。

それと、『他国に基地を貸して、そして自国のそれと協同して自国を守るというようなことは、当然従来、集団的自衛権として解釈されている点でございまして、そういうものはもちろん日本として持っている」と発言されていますけど、これは集団的自衛権ではなく、個別的自衛権の範疇であり誤解をされていたのではないかと思いますが!? う~ん・・なんだかややこしい。(-_-;)


◎防衛省の対応に唖然・・・ 


国連支援センターに問い合わせた後、どうもしっくりこないので集団的自衛権の定義について内閣府に問い合わせたところ、担当の職員が皆、電話に出ないということで(会議中?)、今度は防衛省に問い合わせをしてみたところ・・・ 

集団的自衛権の定義については、「今のところなんとも言えない!という回答が返ってきた。 どういうことかと突っ込んでみると、「現在、安保法案が審議中であるため回答は出来ない」ということでした。

そして、現状では定義は定まっていないという事で解釈していいですか!?と問うと、「それにも回答できません」というような返事が返ってきた・・・・。

何なんだろう、この防衛省の対応は??? ハッキリ言ってカチンときましたよ!!(-_-メ)

 

(画像元):<防衛省の考え方>「集団的自衛権行使は憲法の範囲を超えるものであり許されないと考えている」防衛省HPから消される前の文章(みんな楽しくHappy♡がいい♪:2014/07/11)


上記の画像は、毎年、防衛省が刊行している『防衛白書』の平成25年版 防衛白書 101頁から抜き出したもののようです。

そこには、『国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているとされている。わが国は、主権国家である以上、国際法上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、我が国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することは、憲法第9条のもとで許容さる実力の行使の範囲を超えるものであり、許されないものと考えている。』 ←このようにきっちり書かれてあります。 

しかし→ 「防衛省のホームページには7月1日の「集団的自衛権の行使を認める」閣議決定後も、「集団的自衛権の行使は、憲法上許されないと考えています」との文章が書かれていて、ツイッターなどで防衛省の集団的自衛権に関しての記述が話題になり、7日に防衛省のホームページからはこの文章が読めなくなった。」<防衛省の考え方>「集団的自衛権行使は憲法の範囲を超えるものであり許されないと考えている」防衛省HPから消される前の文章(みんな楽しくHappy♡がいい♪:2014/07/11) 

つまり、安倍内閣からの圧力により回答が出来ない状況ではないかと私なりに推測しましたけど、それにしても防衛省の対応には驚いた。もう唖然とするしかなかったです。じゃあ、今まで防衛白書に掲載していた集団的自衛権の説明はいったい何だったんだと!?(-"-)


しかし、今回いろいろとムカついたこともありましたけど勉強にはなりましたね。得るものはそれにありました。まぁ、ここで言えることは、ニカラグア事件判決を根拠に軍事アナリスト・小川氏の集団的自衛権の解釈は間違っているのではないかということです。

小川氏を持ち上げている安保法制推進派のネット民には申し訳ないですが。(苦笑)



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