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車止めピロー:旧館

  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

佐山みはるさんのうた

2009年12月01日 | 八首選 - 題詠2009
佐山みはるさんの歌から8首。


084:河
かうもりが飛ぶゆふぐれの河に来て小さく泣けり嘘つき少女

079:恥
恥おほきわが一生(ひとよ)なれ風のむた秋海棠はほろほろ散りぬ

076:住
佳きひとの住みたまへるかカーテンに風さわりゆく新しき家

058:魔法
この先に魔法使いが住むやうな古家がありてアロエ花咲く

046:常識
「常識ってめんどくせえな」閉ぢかけた絵本のページにおおかみが言ふ

028:透明
透明はうつくしきかなレントゲン写真にわれの骨を数へる

025:氷
ロープウェー頂上駅の売店の氷旗いろ褪せてさがれり

008:飾
「ドーイドーイ」の掛け声に曳かれゆく船のみおしに花の飾られてあり



46番。
童話集をすっかり毒抜きされてしまった、
グリム兄弟やペローの呟きでしょうかね。
理屈では説明できない恐怖や、理不尽な現象が世界には潜んでいる。
それを子供のうちに知るのは、とっても大切なことですよね。
お祖母さんの語る、妙に怖い昔話や、秋田のなまはげって、
そういう役割を担ってるんだろうなぁ。

佐山みはるさんの歌は、日常風景の描写がとても丁寧。
見習いたく思います。

TIARAさんのうた

2009年12月01日 | 八首選 - 題詠2009
TIARAさんの歌から8首。


099:戻
「戻れないものはきれいね」 舞い落ちる櫻と君を永遠にする

084:河
もう君を探さなくなった河川敷 握りしめてた冷めたコーヒー

042:クリック
手を伸ばし触れてもいいよほんとうを ワンクリックするほどのちからで

039:広
サンダルを片方なくした海岸で広告みたいな青に出会った

026:コンビニ
いまはもうコンビニ袋一つぶんほどの隙間の空いた僕たち

025:氷
張りつめた氷の上で君を待つ 失うものはもう何も無い

015:型
ネコ型じゃないしどこでもドアもない君をまあるく抱きしめている

005:調
新雪を歩調合わせて歩く朝ひかる一つの楽器になれる



42番。
インターネットというものに初めて触れた当初、
クリックしたその先に何が現れるのか、
その感覚を思い出しました。あの妙に高揚したドキドキ感。
触れたら一体なにが明らかになるんでしょうね。

5番。
ひかる一つの楽器、という表現にやられました。
新雪の朝って、妙にまぶしいんですよね、
地面が均一に光ってて。
ザックザック、キュッキュッ。

今泉洋子さんのうた

2009年11月30日 | 八首選 - 題詠2009
今泉洋子さんの歌から8首。


097:断
生も死も夢の断片笑ひつつ腸(はらわた)ぽたり落とす山茶花

095:卓
金風を土産と恋におとなはれ団栗ひとつ夜の卓に置く

076:住
うちひさす都へと子は移り住み葉桜春の余白うめゆく

067:フルート
フルートに「浜辺の歌」を吹く君の夢のほとりを去りがたくをり

064:宮
古宮の肥前鳥居に少年のはふりあぐる石中々のらず

057:縁
獄窓を額縁として郷さんの見る空の絵に秋はいたるか

027:既
長月は既視感(デジャビュ)を誘ひ秋雨をいつかのわれも君と見てゐた

023:シャツ
帰省せし子のまた去りゆくシャツの背に白きはやかに晩夏のひかり



今まで知らなかった、美しい言葉たち。
自分の不明を恥じつつ、辞書をひきひき読みました。

23番。
光の印象あざやかな一首。
夏、それは若者たちの季節。それはやがて暮れゆき、
我が子の輝かしい未来の光も、届かないところへと旅立ってゆく。

64番。
無邪気さ、ひたむきさ、愚かさ、伸びやかさ。
飽きもせず、一時間でも二時間でも鳥居に石を放り上げる、
それだけの行為の中に、少年期の性質が全部つまっている、
そんな気がします。
もうかえることのない、愚かしくも純粋な日々。

内田かおりさんのうた

2009年11月30日 | 八首選 - 題詠2009
内田かおりさんの歌から8首。


091:冬
朝靄の立つ暖かき初冬には村人の顔のほのぼの優し

083:憂鬱 
夕暮れに憂鬱いくつ持て余し夕陽の赤に車を焦がす

074:肩
銀杏葉は肩に一枚そのままで黄の温もりに小さく佇む

053:妊娠
目を伏せて胎を庇いつ妊娠を報せし女の肩の寂しき

052:縄
人混みの中のひとりの足取りに小さく作る縄張りがある

030:牛
尾を振りて牛はただ立つ山際に落日の朱沁みて秋行く

026:コンビニ
ハンドルを握りつ探すコンビニのマークの明かり小さな温み

018:格差
子犬にも格差あるらしペットショップの表示に赤き割引の文字



26番。
コンビニのお題では、その存在をどちらかというと
ネガティブに捉える歌が多かった気がします。
この一首は、反対に安心感として詠んだもの。
田舎の暗い道を走ってたりすると、ホッとした
気持ちになりますよね。
こういう風に、自分の実感に基づいて歌うのって、
本当に大事だな、と思います。

村木美月さんのうた

2009年11月29日 | 八首選 - 題詠2009
村木美月さんの歌から8首。


056:アドレス 
いつかまた名を呼ぶでしょうアドレスを消しても二度と逢えなくっても

047:警 
警笛は鳴ったのでしょうさよならの気配に耳をふさいだあの日

037:藤 
瞬かぬ明星だけが知っているエンジン音で振り切る葛藤

030:牛 
闘牛の目をして夕日見る我に「何が見える?」と子らの無邪気さ

027:既 
責めたてていながら既に許してるしたたかなほど我も女だ

024:天ぷら 
旅立ちを明日に迎える君のため春を集めて天ぷらにする

018:格差 
ミツバチの格差生態思うときメスって孤独な生きものなんだ

005:調 
調和してたまるかって言うように街のポストは今日も酔ってる



5番。
真っ赤なポスト。たしかにあの色の頑固な主張はすごい。
「青丹よし」の丹の色、鳥居の色。
日本人の心に、どこか訴えるんでしょうかね。

56番。
名前を呼ぶ、呼ばれることの意味。
相手の耳に届かなくても。

紫月雲さんのうた

2009年11月29日 | 八首選 - 題詠2009
紫月雲さんの歌から8首。


098:電気
ひとひらの枯葉を連れて帰りくる貧しき人に電気は灯る

096:マイナス
我こそがマイナスである歓びに明け方の夢の中に揺蕩う

068:秋刀魚
掌に受けて確かな感触の秋刀魚の腹はひんやりとして

045:幕
夜でしたさようならばと幕切れの予行練習して身のすくむ

025:氷
冷酷と激情とそのあわひにて君のものとならむ花氷

023:シャツ
別れ際見つけてしまったワイシャツの綻びのような小さな後悔

022:職
放課後の職員室のPタイル冷たく自我の肥大を罰せり

006:水玉
頬を這う水玉百個数えたら人を憎まず人を憎まず



98番。
これまでに読んだ、このお題の投稿歌の中で、
いちばんほんのりと優しい電気かもしれない。
誰にも等しき灯り。

23番。
いずれ避けられぬ別れであるならば、
お互いに全き二人でいたい。

やすまるさんのうた

2009年11月29日 | 八首選 - 題詠2009
やすまるさんの歌から8首。


067:フルート
木枯らしの呼気こぼしては乾きゆくフルートの声でいうさようなら

054:首
身一つでむかえる朝の冷たさに首の後ろをひっそり洗う

053:妊娠
夫のいないぬるい朝にはしたはらの白い妊娠線を押さえる

045:幕
手を繋ぎ幕間を行くわたしより背の低くなった人のはやさで

034:序
わたくしの葉序を調べるようにして四肢のつけねの関節をまわす

032:世界
ああ世界にのはらはあって春ごとの朱色の花は伝播してゆけ

021:くちばし
カルガモのこどもと目があうお互いに少し開いたくちばしのまま

001:笑
からだだけわらっているとそのうちに笑うこころがわいてきて笑う



1番。
これはほんと。笑ってんだか泣いてんだか分からなくなるときも。

32番。
私的ベスト。伝播してゆきますように。切に。

34番。
調べて回してるのが「わたくし」自身なのか、第三者なのか。
それで随分と歌意は変わってきますね。
第三者なら、男なのか女なのか恋人なのか医者なのか・・・
葉序、という言葉から、科学者のようなイメージも湧いてきますね。

かりやすさんのうた

2009年11月29日 | 八首選 - 題詠2009
かりやすさんの歌から8首。


100:好
はんぶんの細好男(ささらえをとこ)に見送られ残業帰りのこはくないのだ

097:断
わが頭部の断層画像をさししめしこれは空気とをしへてくれる

093:鼻
琥珀糖を食めば鼻血のひらきたり鶴屋八幡のつつみのうへに

061:ピンク
草食の忌まはしきかな手も触れずピンクレディーを飲むをとこのこ

029:くしゃくしゃ
負け投手がくしやくしやの顔でわらふなり女子はさういふものにはよわし

022:職
聖職者の瞳をもちて野良猫が仕事で凹むわれを迎へむ

009:ふわふわ
律儀にも口にすべきかためらひぬ「ふはふはオムレツ」とふメニュー名

008:飾
電飾をやぶりてジャッキー・チェン来たれ団塊ジュニアのわれは夢見む



22番。
とても孤独な歌と読みました。
「聖職者」は友人や同僚、家族とは違う、しがらみの無い存在。
鬱屈の全てを吐き出してしまえるひと。
だからこそ、飼い猫ではなく野良猫の必要があるのでしょう。
その野良猫にだって、いつ逢えるかわからない。
というより、その猫は作中主体の頭の中にしか居らず、
一度も遭遇したことが無いのかもしれない。
文末の「む」は、「いつか迎えて欲しい」という期待や、
願望の現われに他ならないのでしょうから。

8番。
ジャッキー・チェンを持ってきたことで、この一首は決まり!
あの体を張った力強さ、破天荒さ、楽天的な笑顔!
高度成長期の恩恵を、幼少期にジャストで受け取った、
団塊ジュニアといういい子ちゃん世代にとっては、
常識なんてぶち破ってくれるヒーローの存在が必要なんです。
しかしここでも文末は「む」。
夢みた、とか、夢見ている、とか言い切ってしまえないところが、
まさに団塊ジュニアのふわふわ感なのでしょう。

遠藤しなもんさんのうた

2009年11月29日 | 八首選 - 題詠2009
遠藤しなもんさんの歌から8首。


100:好
春暖の候、わたくしはすれ違う人の好意に甘えています

097:断
手をあげて横断歩道を渡りましょう 君が私に気付きますよう

081:早
早足であなたのことを追いかけた 「勝手、勝手」とヒールが鳴った

052:縄
連れてく気ないなら言うな 沖縄でハブに噛まれてしまえばいいわ

047:警
警察犬みたいに鼻を押し付けてもっと奥までさぐってみたら?

042:クリック
クリックで救える命もあるけれどできれば顔をみて救いたい

032:世界
世界中平和であればいいなあと思っただけの朝のコーヒー

002:一日
一日でいいから君になってみてあたしのスカートとかめくりたい



2番。
これ、倒錯のように見えて、倒錯じゃないんでしょうね。
自己愛のようでいて、自己愛でもない。
「君」が好きすぎる故の、同一視。
あまり男には無い感覚のような気がします。

42番。
32番にも通ずる、ちょっと辛辣な、豊かな国に住むものには耳の痛いうた。
やらない偽善よりやる偽善、なんて言われるけど、
さてクリックしただけで善行を施したって胸を張っていいのか。
って、これからの日本はそれどころじゃないのかな・・・

100番。
これはかの有名な、ブランチ・デュボアの台詞が下敷きである・・・
と見ましたが、どうでしょう?ちょうどラストの一首でもあるし。
違いは、この作中主体の若さ。春ですしね。まだここに悲劇の影はない。
でもこれが、季節が何度も巡って、何度目かの秋がくると・・・

わたくしはいつも見知らぬ方々の好意にすがって参りましたの
  I've always depended on the kindness of strangers.
  "A Streetcar Named Desire" by Tennessee Williams

bubbles-gotoさんのうた

2009年11月29日 | 八首選 - 題詠2009
bubbles-gotoさんの歌から8首。


018:格差
プラタナス枯れゆくままに格差社会カクサシャカイと落ち葉踏みしめ

026:コンビニ
コンビニの監視カメラが四方から映す男の倒れゆく様

027:既
みんなみんな既婚者になっていく夜だ 電気毛布の取説を読む

041:越
守られているだけじゃもう足りなくてフェンス越えればはじめての海

045:幕
幼子の背丈ほどある唇が唇求む銀幕の上

079:恥
母親をおふくろと呼ぶ恥ずかしさ未だ慣れずに次郎柿剥く

086:符
懲役を終えて行く手を阻まれる どこへ消えたか切符切る人

091:冬
溶液に腐食していく銅版画冬の木立の枝あたりから



題材が多岐にわたっていること。視点の面白さ。
言葉の扱い方。bubbles-gotoさんの歌、好きです。

18番。
うつむいて歩く秋。
格差社会がオノマトペになるなんて!
「立て看板がマンハッタンマンハッタンと音をたてる」
以来の衝撃(これはなんの小説だっけ?)。

27番。
独り寝の夜。ああ今日もほんっとに寒い。

86番。
数十年の隔絶ののち、意志の無いものに
行く手を阻まれるいらだたしさ。変容へのとまどい。

田中彼方さんのうた

2009年11月28日 | 八首選 - 題詠2009
田中彼方さんの歌から8首。


088:編
ほんとうの母と娘のように編む、
シロツメクサの花のかんむり。

084:河
つみあげて
またくずされて
つみあげて
恋し小石をつむ河原かな。

054:首
洗礼者ヨハネの首を持つ
サロメみたいに、
シフォンケーキを君が。

052:縄
めずらしく手を引いている。
ゆっくりと口縄坂をのぼりきるまで。

039:広
夏空が物干し竿にぶらさがる。
染めなおされて、広重の青。

036:意図
しな加減、足もとに来て吐息はき、
意図的にとも思案気、
悲し。

025:氷
赤い舌緑の舌を見せあって子どものように、
かき氷です。

024:天ぷら
天ぷらの衣のなかの海老を抜くように
ゆっくり君のなかから。



数行にわけて短歌を詠まれる田中彼方さん。
句読点の作用もあって、すごく新鮮に読めました。

54番。
戯曲の挿絵があまりに有名なんで、
立ち姿がぱっと浮かんできます。
喩えが素晴らしい。

36番。
タナカカナタさんのカンタンタンカ「ダイエイダ」の
ココロを体現する作品、ですね。

24番。
ぬるり、というか、ずるり、というか・・・
官能、赤面。

啄木や、釈迢空もそうですけど、こういった数行書きの
短歌を読むのって面白いし好きだなぁ、と再確認した次第です。
視覚的効果がなんかあるんだろうなぁ。それと、リズムを付与する
役目があるんだと思うんだけど。研究書とか出てないかな?

(題詠blogのトラックバックだと、改行が反映されていないので、
 田中さんのブログで鑑賞された方が良いでしょう。→「題詠だ」

穂ノ木芽央さんのうた

2009年11月28日 | 八首選 - 題詠2009
穂ノ木芽央さんの歌から8首。


077:屑
うつろなる目ひからせて屑箱をさぐる背中で眠る少女よ

075:おまけ
天からのおまけのやうに雪降れり心凍ゆることのなかれと

074:肩
肩胛骨の判らぬ季節めぐりきて何処に触れよか迷ふ指先

063:ゆらり
モビールのピエロがゆらり動いてるいま後ろにはあのひとが居る

054:首
首筋に触れるな生きてゐることが判つてしまふぢやないか君に

042:クリック
クリックの果ての世界を知らざりき少年けふも鹿の肉裂く

006:水玉
赤いろの水玉の散る国境の壁で少女は影絵あそびす

001:笑
彼(か)のひとの微笑写せし素描画(エスキス)に蝶の群れをり 弔ふ朝に



この方の歌には、どれにも暗い陰がつきまとっているように
感じたが、自分だけだろうか?サイトの色合いのせいかな?
イメージを重ねることで新たな世界を形作る、穂ノ木芽央さんの百首。

42番。
「クリック」のような新しい語は、すごく俗っぽくて難しくて、
安易にネットやパソコンに結び付けて詠みたくなく、
結局私などは言葉を弄してお茶を濁したけれど、
この一首のように仕上げることも出来るんだなぁ、と感服。
鹿の肉を裂く少年は、我々から遠く隔たった、しかしかつては
自分たちもそこに属していたはずの野性世界の象徴で、
現在でも変わらずに同じ生活をどこかでしている。
自分個人のPCを持っている人間は、世界人口のわずか7%という
話をふと思い出した。
クリックのお題から「鹿の肉裂く」はなかなか出ない。見事。

63番。
ゾッとしました。後ろを振り返っちゃったじゃないか・・・

ワンコ山田さんのうた

2009年11月28日 | 八首選 - 題詠2009
ワンコ山田さんの歌から8首。


099:戻
傾いてぶれていますが戻ります北極星を忘れずにいる

083:憂鬱
君ひとりすら救えない憂鬱を噛みくだく日々救世主なのに

079:恥
かさぶたで閉じ込めた恥部君の手のひなたの匂いにほどかれていく

074:肩
肩幅を目測で編む秋の日に正捕手だった夏伝え聞く

066:角
ポスト色にじんだ曲がり角目指し切手にDNAを残して

057:縁
セミヌード気分 初めて縁なしの眼鏡で君に逢う頬熱く

008:飾
隣室の満艦飾のベランダと同じ風受けわたしが渇く

007:ランチ
薬局の白衣の人のやわらかに「二錠、ランチの余韻に」と春



66番。
切手を貼って手紙を出す、というモチーフは
珍しくないと思うんですが、そこに残したDNAって風には、
なかなか詠めないですよね。その視点がすごい。
それこそが「私」の刻印。
お見事です。

7番。
ランチの余韻に。
このやさしさにぐっと来ました。
ほんのり暖かい一首です。

O.F.さんのうた

2009年11月27日 | 八首選 - 題詠2009
O.F.さんの歌から8首。


084:河
太陽系第三惑星から届く大河ドラマをのせた電波が

077:屑
わたくしは人間の屑 鳩たちに食べられちゃいたいパン屑みたいに

074:肩
来年は肩の筋肉鍛えよう 片っ端から肩の筋肉

071:痩
痩せ我慢すれば膨らむあの場所やこの場所がある僕のからだよ

043:係
恥ずかしいポーズでしばらくいてください係の者が対応します

034:序
冷蔵庫だけが保っている秩序 ダノン・納豆・ダノン・納豆

026:コンビニ
コンビニの張さん今日は機嫌よしスプーンくれるし釣りも投げない

003:助
救助!救助!アイス最中のひび割れの静かな被害三歳児姪



84番。
これまでに地球から発されたとんでもない数の電波が、
減衰しながらも宇宙のどこかを進んでいると考えると、
眩暈がしそうなロマンを感じます。

77番。
食べられちゃいたい・・・。これはキョーレツな一首・・・

34番。
毎日たべると決めたから。

はづき生さんのうた

2009年11月26日 | 八首選 - 題詠2009
はづき生さんの歌から8首。


100:好
好日とおもはば日々は好日とならむやけふは好日なれば

099:戻
川川に戻りきたる鮭鮭の群れ背に背をあらひ瀬を上りゆく

093:鼻
わが顔のなかほど鼻といふもののあるをさびしむここにわれ在り

084:河
大陸のながれ滔滔と集まりて黄河いよいよ黄河となりぬ

081:早
早稲の田のひろがりし昔おもひつつ都電荒川線にて過ぐる

047:警
町内を夜警で廻る時季がくる今年はふたり欠けている冬

043:係
関係はこの一枚で途切れると信じてテストみたいに書いた

037:藤
半身(はんしん)を削り取られた藤の木は今年も大きな実を二つつける



百首の後半にゆくに従い、少し作風が変化しているのかな、
と感じたはづき生さんの題詠。後半のほうの歌は、
リフレインが多く見られるのですが、それがとても心地よい。
しっかりご自分の武器とされているところが、
まだ自分の詠むスタイルも分からずうろうろしている私としては、
非常に羨ましく感じます。

100、99、84番など、ほんとうになんでもないことを
詠っておられますが、こういう歌こそほっとするというか、
すっと胸に入ってきて、なんか安心するんですよね。
数を詠まなければ、このレベルに達するのはなかなか
難しいことなんだと思います。