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放射線被ばく治療第一人者 ロバート・ゲイル博士 福島同行ルポ

2011年04月13日 00時54分27秒 | つれづれ
山陰中央新報より転載(雲南出身・青木さん寄稿)

汚染リスク混乱に心痛
放射線被ばく治療第一人者
ゲイル博士 福島同行ルポ

政治に危機管理問う

東日本大震災で冷却機能を失い、放射性物質の飛散拡大が深刻化する東京電力福島第一原発。
放射線被ばく治療の第一人者で、米国人医師のロバート・ゲイル博士(65)が先ごろ、緊急来日した。
世界が注目する原発事故の影響はー。博士に同行し現地入りした献血供給事業団理事長の青木繁之さん(69)=雲南市大東町出身=が、本紙にルポを寄せた。

大震災発生から10日後の3月21日、チェルノブイリ原発事故の惨状を知るゲイル博士が、献血供給事業団(東京)にいるまな弟子を頼って緊急来日した。
博士は、福島第一原発事故で「日本は放射能だらけ」という誤った情報が地球規模で広がっていることに心を痛めていた。

旅先のパリから直行し、「現場行き」を強く望む博士の願いをかなえるため、26日朝、緊急車両を手配。
福島第一原発から19キロ地点に設営のJビレッジ(福島県樽葉町)内の最前線基地に向かう。
博士のカリフォルニア大ロサンゼルス校時代からのまな弟子で、献血供給事業団の東京臍帯(さいたい)血バンク部長を兼務する幸道秀樹理事(医学博士)と、同じく事業団理事で白血病治療の世界的な権威者浅野茂隆博士(東京大学名誉教授)も同乗した。


明快な見方

自衛隊の大型ヘリが離着陸を繰り返す最前線基地は、ものものしい雰囲気に包まれていた。
経済産業省原子力安全・保安院や自衛隊、消防、東電、協力会社の関係者が防護服に身を固めていた。
その一角で杏林大高度救命救急医療の山口芳裕教授が詰め、原発内で復旧作業に従事する作業員らの被ばく量管理などに当たり、緊急事態に備えていた。

現場で、ゲイル博士は山口教授ら関係者と積極的に意見交換し、医学的な視点から助言を惜しまなかった。
福島原発事故に対するゲイル博士の見方は明快だった。強調したのは、被ばく治療で骨髄移植、臍帯血移植が威力を発揮した
チェルノブイリ事故(炉心溶融し爆発)や東海村・臨海事故との相違点である。

「福島原発事故は原子炉が爆発したわけでも、作業員が至近距離で破壊力の大きい中性子線を浴びたわけでもない。放射性物質の大半が格納容器内に収まっており、惨状の深刻さが全く違う」
実は原発作業員について、一部マスコミがゲイル博士の発言として、あらかじめ作業員の骨髄液を自家移植用にキープすべきだと報道。関係者の間で混乱を招いた。

だが、ゲイル博士は「誤解が生じている」とし、「作業員が高線量の放射線を浴びないように警戒し、
保護することだ。
移植準備は第一選択肢ではない」と言い切った。

科学的基準

放射能汚染が懸念されるホウレンソウやミルクなどの出荷制限についても言及した。
制限値は、汚染されたものを一生食べ続けた場合のリスクを示したものとした上で、「野菜や魚は冷凍保存などし、放射性ヨウ素131(8日で半減する)が消えてから食べれば大丈夫。慌てて廃棄することはない」の見解を示した。

飲み水への影響では「大人で1リットル当たり300ベクレルという日本の基準があるが、これはその値以上の飲料水を毎日5リットル1カ月飲み続けたら、がんになる可能性がわずかに上がるという値だ」と説明。
「300ベクレルは東京-ロサンゼルスを旅客機で一往復して浴びる放射線量と同レベル。パイロットらに何ら健康上に問題は起きていない」と説いた。

放射性物質漏れ拡散に伴う20~30キロ圏内の屋内退避や自主避難につても助言。
「(劣悪な環境下の)避難所で生活する方が、健康に及ぼすリスクは高い」とし、「重大な影響を及ぼすレベルではない。私なら住み続ける」と話した


一連の政府対応には

「科学的、医学的な基準より、事後のクレームを避けるため政治的判断が優先しているのではないか」
と指摘。
対外、体内被ばくを含め、国民に放射能汚染リスクを分りやすく説明し、混乱を招かない危機管理を強く求めた。

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