放射性物質漏れ事故を起こして廃炉が決まった米カリフォルニア州のサンオノフレ原発をめぐり、事故原因となった蒸気発生器の製造元の三菱重工業に対する損害賠償請求が、契約上の限度額である1億3700万ドル(約138億円)を超える見通しとなったと時事通信
時事通信-2013/07/19
【ニューヨーク時事】放射性物質漏れ事故を起こして廃炉が決まった米カリフォルニア州のサンオノフレ原発をめぐり、事故原因となった蒸気発生器の製造元の三菱重工業に対する損害賠償請求が、契約上の限度額である1億3700万ドル(約138億円)を超える見通しとなった。
同原発を所有する電力大手サザン・カリフォルニア・エジソン社(SCE)は18日、賠償請求の文書を三菱重工に送付したと発表。この中で、三菱重工が事故後に速やかな修理を怠るなど重大な契約違反を犯したとして、契約中の賠償制限は無効だと指摘した。
SCEは、具体的な請求額は「三菱重工との今後の協議で決める」(広報)としている。SCEによると、事故後の調査や対策費用だけで既に1億4000万ドル以上を支出。原発稼働停止による代替電力の調達費もかさんでいる。(2013/07/19-09:15)
2013年7月19日
三菱重工業株式会社
(開示事項の経過)米国サザンカリフォルニアエジソン社
サンオノフレ原子力発電所廃炉について
平成25年6月12日付「米国サザンカリフォルニアエジソン社 サンオノフレ原子力発電所廃炉について」にて当社から同発電所の廃炉と当社業績への影響等についてお知らせしておりますが、2013年7月18日、米国サザンカリフォルニアエジソン社(以下、「SCE」といいます。)は、サンオノフレ原子力発電所(以下、「SONGS」といいます。)の取替用蒸気発生器(Replacement Steam Generator)の供給契約上の責任上限を超えて多額の損害賠償を請求する意思を記載した紛争通知(Notice of Dispute)を、三菱重工業とMitsubishi Nuclear Energy Systems, Inc.(注)に対し送付した旨発表しました。
SONGS 2号機と3号機は、3号機の蒸気発生器(Steam Generator、以下「SG」といいます。)で1次側から2次側へ微量の冷却水が漏えいした2012年1月から運転を停止しており、先に当社からお知らせしたとおり、2013年6月7日、SCEはSONGS2号機、3号機の廃炉を決定したと公表しております。
漏えいの直接的原因は、U字管部における伝熱管同士の接触による摩耗と判断されました。この摩耗現象は、他のU字タイプのSGにおいて、これまで発生したことのないものです。
また、SONGS向けSGは、十分に確立され認められた規格・基準に加え、当社及び社外専門家の知見・経験を踏まえて設計され、SCE承認を得て製作されたものです。
3号機においてSGの伝熱管漏えいが発生してからこれまで、当社は関係法令や産業界の知見、当社の蓄積された経験等に基づき、摩耗の原因分析を行い、当該プラントを安全に運転再開する為に必要な技術事項の検討をSCEとともに行うとともに、安全かつ現実的な補修プランを検討、提案してまいりました。当社は今後も米国原子力規制委員会のSONGSに関連する調査に協力いたします。
SCEによる今回の通知を受け、今後は当事者間で契約に基づく紛争解決手続きに入ります。SCEが紛争通知の中で述べている主張および要求は、交渉の経緯、契約履行の事実を正確に反映していない不適切な内容であり、根拠のないものです。当社は今後の紛争解決手続きを通じて、関連する事実を正確に説明することによってSCEの主張および要求が不当であることを主張してまいります。なお、当社は当該手続きの過程において、当社として必要な対抗措置を取ることも検討してまいります。
SCEが米国証券取引委員会に提出したレポートに記載されているとおり、契約上の当社の責任上限は約1億3,700万米ドルであり、代替燃料コストを含め間接損害は排除されています。前述の契約上の責任上限及び当社が契約を適切に履行してきたこと等を踏まえ、現時点で当社業績への影響はないと考えております。本件に関して今後新たに開示すべき事項が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。
注.Mitsubishi Nuclear Energy Systems, Inc.は、当社の100%子会社であり当社原子力事業の米国拠点です。
以 上