クレイブログ

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溶けるグラン:2

2010-03-03 19:10:28 | アルテイル関連
 少し前の記事にも書いたが、グランが5ヶ月で消えることについての補足。

 金融庁のパブリック・コメント法律の条文を見ながら、アルテイルに関係しそうな部分を抜粋。

(保有者に対する前払式支払手段の払戻し)
第二十条 前払式支払手段発行者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前払式支払手段の保有者に、当該前払式支払手段の残高として内閣府令で定める額を払い戻さなければならない。

 続いて、パブリック・コメントの質問。
Q.返品を行なう場合の金額は、プレミア分を含んだ額となると読める。

 金融庁の回答。
A事業廃止の場合に義務づけられる法第20条第1項の払戻手続においては、プレミア付の前払式支払手段を発行している場合には、発行者が利用者に対して負っている債務の額はプレミア分を加えた額である以上、プレミア分を含めて払い戻すこととなると考えられます。

 この部分で何が問題になるかというと、実際に支払った金額ではなく、「残高」を払い戻すという債務を負っている、という部分。
 アルテイルにあてはめると、現金や電子マネーで「グラン」という自家型前払式の通貨単位を購入できるため、もし事業廃止の際には「グラン」の残高を現金で支払う債務を負うということ。
 つまり、ミラージュマスターやライセンス、リサイクル等のように無償で得たグランであっても、その単位が現金で購入できる以上、それは事業廃止時には1円1グランという債務となる。
 したがって、その返金義務・保証金供託義務の適用を免れるためには、「グラン」という単位には全て「6ヶ月未満」という期限をつけて、法4条第二項の「適用除外」の扱いとしなければならない。

 (適用除外)
第四条 次に掲げる前払式支払手段については、この章の規定は、適用しない。
 一 乗車券、入場券その他これらに準ずるものであって、政令で定めるもの
 二 発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できる前払式支払手段
 
 なお、アルテイルのもう一つのポイントであるFMだが、FM→グランの変換は(ポイントカード→リサイクルという手順を踏めば)可能だが、グラン→FM、現金→FMという変換はできない。したがって、FMは前払式支払手段には該当せず、いわゆる「サービス」であるため、事業廃止時には保護されないことから、「適用除外」に該当させる必要性がないため、期限をつける必要が無い。

 では、そもそも、何故アルテイルの運営は(自家型発行者の届出)をしないのか。

 まず第一に、事業廃止時に「グラン」を返金しなければならない。このレートは1円=1グランである。
 ところが、これまでにミラマス・ライセンス・ランキング・プレミア等、現金をもらわずに大量のグランを供給しており、全ての資金を返済しても返済しきれない額の債務を負うことになる。

 つぎに、供託の問題がある。

(発行保証金の供託)
第十四条 前払式支払手段発行者は、基準日未使用残高が政令で定める額(以下この章において「基準額」という。)を超えるときは、当該基準日未使用残高の二分の一の額(以下この章において「要供託額」という。)以上の額に相当する額の発行保証金を、内閣府令で定めるところにより、主たる営業所又は事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。

 要するに未使用グランが1千万以上あれば、その未使用額の半分を法務局に現金で供託しなければならないということ。
 これも相当に重い足枷であり、実際、この供託金、は小さい事業者ではとても供託しきれない。法15条には、銀行その他の金融機関からの「保証」があれば供託しなくても良い、との定めはあるものの、先程も述べたが、無償で配布された大量のグランが処理できないことと、会社の規模の大きさの2点を考慮すると、「保証」を取りつけるのは現実的には不可能であろう。

 最後に、報告義務がある。

 (帳簿書類)
第二十二条 前払式支払手段発行者は、内閣府令で定めるところにより、その前払式支払手段の発行の業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

(報告書)
第二十三条 前払式支払手段発行者は、基準日ごとに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した前払式支払手段の発行の業務に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 当該基準日を含む基準期間において発行した前払式支払手段の発行額
 二 当該基準日における前払式支払手段の基準日未使用残高
 三 当該基準日未使用残高に係る発行保証金の額

 要するに、いくら使っていくら残って、というのを即座に出力可能なシステムにするとともに、帳簿等で管理しなければならないということ。
 これは労力の増加であり、システム改築費用に加えて、アルバイトを雇うか残業代を支払うか、つまり人件費の増加につながるということ。

 結論から言うが、体力の無い企業にこれら全てをクリアするのはまず不可能。
 実際、ネットゲームのうちいくつかは3月で終了するものもあるという。

 FFXIのような月額固定型は、「使用期限」が翌月なので、そもそもこういった問題は発生しない。ギルの現金の購入は規約にRMT禁止と謳っているため、ギルは前払式支払手段には該当しない。

 また、携帯ゲームのDLなんかは、「先にサービスを受けて」「翌月に請求が来る」ため、後払い方式であることから、前払式支払手段には該当しない。
 この方式は請求書(又は口座引き落とし等の領収書)を送りつける「個人情報」が必要なことがネックとなる。

 これらを考慮すると、法律による適用除外要件である「取得した日からの、使用期限(6ヶ月未満)」を利用規約に加えることは、合理性があると認められる。
 さもなければ3月末でアルテイルという事業を廃止するしか方法は無い。

 4月以降は新しい通貨単位を作ればいい、そう思うかもしれない。

 だが、パブリック・コメントの金融庁の回答の、
A.「発行の業務の廃止」とは、前払式支払手段の発行及び使用の双方を取りやめる場合を指します。
 新規発行を行っていなくても引き続き加盟店等において前払式支払手段の使用を認めている場合には、「発行の業務を廃止した」とは認められません。

 とあるため、3月以前のグランが「利用できる状態」であれば、全く意味がない、ということになる。


 アルテイル無関係の余談だが、おそらく4月以降、「商品券」のつり銭は認められないか、もしくは「2割以下」とするお店が増えるんじゃないかな、と予想。
 理由は、法二十条によると原則払い戻しは禁止だが、小額(総額の2割以下)なら例外的にOK、という規定があるため。
 さて、この予測が当たるかどうか・・・・うーん。


 ということで、引用を加えたため長くなったが、私は今回の規約改訂の件は、法律を調べていくと「そうせざるをえない」事情が理解できたため、異議は無い。

 ただし、別な方のブログでも述べられていたことだが、
「こっそり公式の文章に付け加えたこと」(これまでの所持グランは3月取得とみなす、という部分)については私も納得できません。

 利用規約規定の告知メールが来て、その後に何事も無かったように「アルテイル通信」がきたけど、その変更になった部分に関することは一切記入されていない。

 なんていうか、色々とやり方がまずい、と思う。告知メールにしても、「22年4月1日より施行される法律により」という一文があれば反感も少なくなるだろうし、こっそり付け加えても、公式で付け加えた、の一文があればいい話。

 「説明責任」について、義務は無くとも、もう少し理解してもらう努力してもいいんじゃないかな、と思う・・・・・〆

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