細いケーナ、太いケーナ

先日たまたま同じ日の発送となったケーナがあまりにも対照的だったのでご紹介します。

ある教室から、女性初心者向けのG管3本、F管2本。

そして経験豊富な男性から肉厚5ミリ越えのケーナご依頼。


細管ケーナはすべてメダケの表皮削り。
当地のメダケは千葉県の物と性質が違うのか、
表皮を削ったから割れやすいということはありません。
一時期千葉県から仕入れたメダケを使ったことがありますが、
大変割れやすく、購入したお客様から「割れた・・・」というお話を聞くたびに
申し訳ない気持ちになったものです。
その点当地のメダケは割れの心配はほぼありません。
ただ若干テーパーが強いのが難点。
そこを色々工夫しながら克服し音程の良いケーナに仕上げています。

写真のG管は外径25ミリ、内径17.5ミリ。指穴は最大でも10ミリ弱に抑えてあります。
音程もやや高め調律。A=443～445辺りに設定してあります。
経験上、初心者の場合これで丁度良いことが多いようです。
左右の薬指穴を少しズラして女性でも届きやすいように配置しています。

細くて指穴も小さいので、さすがに音量豊か、という訳にはいきませんが、
40年前の外径22～23ミリのアルゼンチン製ケーナよりは豊かです。


もう1本の太目、肉厚ケーナの材料はトウチクです。
外径29.7ミリ、内径19ミリ。指穴は12.5ミリ程度。
3オクターブまでピッチのズレも無く、低音から豊かな音色で鳴ります。
少し力を入れて吹きたい上級者には大変お勧めの逸品に仕上がりました。
トウチク特有のスレ模様もあり、ワイルドな外観を活かすため、
表皮は削らないで、飾り糸も巻かない、あくまでも性能重視のケーナです。


細いケーナ、太いケーナを並べて写真を撮っていました。
目的に合った材料を見つけ出し、そして思うように仕上がった時は嬉しいものです。
これこそケーナ作りの醍醐味です。



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