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これもエコ替え?

2009年03月09日 | 思うこと
ドイツで新車販売好調、カギは31万円の環境奨励金

3月9日1時46分配信 読売新聞

ドイツの2月の乗用車の新車登録台数が前年同月より21%以上増えた。

 多くの国が販売不振に苦しむ中、先進国では唯一のプラス成長だ。秘密は、ドイツ政府が景気と環境対策の一環として1月から始めた31万円の環境奨励金。自動車王国ドイツでの“異変”は、注目を集めそうだ。

 フランクフルト市内で新車と中古車の販売を手がけるジム・コベルトさんは上機嫌だった。

 「1月終わりぐらいから売れ行きが伸び始めた。新車は、12月は数台しか売れなかったのに、2月は10台以上売れた。3月も好調が続いているよ」

 自動車販売店を見て回っていたバセットさん夫妻は「昨年から新車購入を検討してきた。いまこそ買い時だ」と言葉を弾ませた。

いきなりニュースの引用からです。
僕は、去年、日本の大手自動車メーカーの「エコ替え」を批判しました。

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このドイツが採った方策は、国家による「エコ替え」ではないかと思うのです。
また引き情報なので正確さは未検証ですが、条件は以下のようです。
1)対象期間は、09年の1月14日~12月31日。 
2)古い車が9年落ち以上、且つ市場価格が2500ユーロ以下であること、且つ1年以上登記保有期間であること。 
3)新車は、排ガス規制ユーロ4以上、且つ1年未満の新車または新古車であること。 
4)古い車を登記抹消し、スクラップにする証明書、及び新車の購入、登記証明書。
5)Bafa申込書への記入 

最後のBafaというのは、経済貿易省(特に輸出)とでもいうのでしょうか。

9年落ち以上というのは、「 ♪まだ使えるけれども買い替え~」と正面切って言うよりはまだマシな気もしますけど。

日本企業の「エコ替え」の論理は、まだ使用可能な車でも、よりエコロジカルな新車に買い替え、古い車はリサイクル(リユーズ、再使用ではない)して、また新車に生まれ変わらせることで、世の中が環境に優しい車ばかりになる、というものでした。

しかし、この論理は、新しい素材を使用するよりもエネルギー効率が悪いと言われるリサイクルについて言及されていないことが穴です。
それに、結局は大量生産大量消費の論理以外の何物でもないわけです。

車のように大きく維持費が掛かるものでは、複数所有はしにくいので、新しいものを購入するためには古いものを手放さなければなりません。
中古品の流通も、製造販売者としては、いずれ新品市場と競合することとなるので、出来ればして欲しくないところです。
今や、日本車もドイツ車も寿命は長そうですから。

耐久消費財は一定の期間で交換する、出来れば短い期間で。
というのが、今も昔も生産者にとって好ましいことなのです。

やはり出口はないのでしょうか?

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2 コメント

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エコの味付けのある景気対策といったところか (ねこじじ)
2009-03-10 01:44:24
 もちろん、これはエコの味付けをした自動車業界救済策に過ぎません。ドイツの基幹産業のひとつである自動車業界の不況もそうとうなものです。GMと提携したあげく、その危機に巻き込まれたオペルについては、政府が株式を買い取って国有化?といった話も出ています。景気対策でも、ただの消費推奨よりは、一定方向の味付けがあったほうがいいのではないでしょうか。

 ドイツは、原子力発電の廃止の看板をまだ掲げています。電気料金に上乗せして、自然エネルギーに投資しています。また、たとえばミュンヘン市ではこのご時世に、路面電車の新しい路線を建設中です。

 根本的には、19世紀のエネルギー革命で、化石燃料というパンドラの箱を開けた人類の将来は暗いです。「持続可能な発展」などというのも、おそらく先進国が自分たちの「持続」を保証するために考え出した思想です。本当は、化石燃料に手をつけない範囲で維持可能な経済規模、人口規模の範囲内に、人間が納まらない限り、根本的な解決はありません。でも、そこに軟着陸する方策も、方途もまだまったく見えない状況です。

 ただ「考えるサル」としては、なにもしないわけにいかないし、現実に対して、一定の価値観や距離感を保つ必要があります。それが、人間が人間である証しだといったら、ちょっと大げさでしょうか。
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王道なし! (ひろにゃん@風琴屋)
2009-03-11 10:36:13
ねこじじさん、ようこそ!

日本でも、高速道路1000円が期間限定ですが施行されますね。
賛否両論ありますが、今までには無い冒険として評価しています。
何もしなかった今までよりは良いと思います。
もはや経済や社会は複雑に絡み合っていて、誰が得をすると誰が損をするのかが、わかりません。
一見、損をする立場のはずが、回りまわって得をすることも、また逆もあります。
結局は試してみて、結果をみて柔軟に補正していくしかないと思います。

エコロジーを大義名分にするのは、気分が良くありません。
自分の中のエゴを認め、それから目をそらさず、その上で周囲や社会、未来と何とか折り合いを付ける道を探すべきだと思います。
安易に大義にすがる事は、人間を愚かで限りなく残酷にするものですから。

王道も近道もなく、ただただ努力を積み重ねていくしかないのですね。

話は変りますが、ねこじじ邸周辺は首都圏の郊外の住宅地のようになりそうです。
不景気だというのに、建築ラッシュで宅地造成が進んでいます。

さて、どんな未来がくるのでしょうね。
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