DNAは、A,G,C,Tの四つの塩基からなる二重らせん構造で、その配列が蛋白質合成情報、及び遺伝情報となる。
ゲノム(genome)とは、遺伝子(gene)と、全体を意味する(ome)を結びつけた造語で、すなわち遺伝子全体を意味する。
現在、世界でヒトゲノムの解読が進められている。
ヒトゲノムは約30億塩基対ある。 働いているのはごく一部で、残りはジャンクDNAと呼ばれ、無意味であるとされてきた。
だが近年、ジャンクDNAにも特定の働きがあることが分かってきた。
ヒトゲノムで個体差は、約0.1%以下で、この差が、個体差を決め、遺伝的な疾患の有無を決める。
人類の0.1%というのは、生物界に於いては例外的に少ない数字だ。 だから人類は、これ以上の進化は、あまりないともいえるだろう。
しかし、0.1%といっても、約300万塩基対だ。
全ての人類のヒトゲノムを解読し、各個体の300万塩基対の配列を読み、正常なものと異常なもの、それがどういう特質をもつか、どういう疾患に関係するかを見定めるということが目的となる。
アンジーの乳腺切除手術もこの成果だ。 遺伝子BRCA1に異常があり乳がんの発症率が6割~8割5分という高いものだということだ。
また、人類発祥の地は、アフリカであることも、世界のヒトゲノムを解読し裏付けられたことの一つで、これはほぼ定説となった。
環境要因が、遺伝子に影響を与えるということが、この20年で、分かってきた。
ダーウィンの進化論によれば、生物の多様性は、遺伝の偶発的な揺らぎにより、適者生存により、生じたものだというものだ。
すなわち、環境は直接に遺伝子に影響を与えないということだ。
最近の研究はこれを覆す重大な発見だ。
つまり、こういうことだ。
一生懸命、勉強し、あるいはスポーツ等で努力し、得た能力は、その人の遺伝子に影響を与え、それなりの遺伝をするということだ。
僕は、これには、ジャンクDNAが関わっているような気がする。 でも、これは人間改造に悪用されると大変だと思う。
ヒトゲノム解読で、もう一つ分かったことがある。 それは我々人類にネアンデルタール人の遺伝子が含まれていることだ。
これまで、ネアンダルタール人と新人類は、全く異なる種だと考えられて来たのだから、画期的な発見だ。
ヒトゲノム解読で全ての配列が分かったところで、その意味(働き)がわかるということとは別問題だ。 文字の羅列を読んでもその意味するところは、簡単には分からないということだ。
現在、意味が、分かっているのは、ほんの僅かだと言うことだ。
また、遺伝子が全てを決めるというものでもない。 生活習慣、環境等による影響も大きいということだ。
とはいえ、各人が自分の遺伝子の情報を知るということには、意味がある。
各個人のゲノム検査が、安い料金で出来る日が、現実に近づいている。
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