イチジク(無花果 クワ科 イチジク属 落葉高木 雌雄異株)
イチジクは西アジア原産と推され、日本には江戸時代に入って中国から長崎に伝来したと言われる。イチジクは無花果と書くように花は花嚢の中にある(隠頭花序)。日本では単為結果性「受粉せずとも果実(果嚢)が肥大化する」の雌株が挿し木増殖されている。
葉は桑同様に3~5裂、葉柄や未成熟の果嚢基部から乳白色の液が滲出する。この乳液は蛋白質分解酵素を含み傷ついた粘膜に滲みる。
戦後の栄養不良児童は洟を垂らし、しばしば唇にひび割れ、口角炎(あくち、あやくち)、それに口内炎(掘れっこ)ができた。イチジクが美味しそうに熟れても不用意に頬張ることができない。液汁が患部に触れないよう苦心して食った。
原産地の西アジアでは雌雄株を混植し、イチジクコバチの花粉媒介により種子のある果実(果嚢)を収穫する。輸入乾燥イチジクには白胡麻状の種子が多数観察される。
ひび割れた あくちに滲みる いちじくの汁 童子
学名Ficus carica
属名Ficus Ficusラテン語でイチジクを意味 伊fico 英fig
種小名carica 現トルコ西南沿岸部の地名Cariaに由来説
トップ 目次 画像・文 塩城忠