マルバノキ/ベニマンサク(マンサク科 マルバノキ属 落葉低木 花期11月)
マルバノキは「丸葉の木」の意で、葉は丸味を帯びたハート型でカツラ あるいは ハナズオウの葉に似る。葉は互生し、縁は全縁(無鋸歯)、葉表は緑色、葉裏は白味を帯びる。葉柄は赤味を帯び長短がある。秋に赤色に紅葉する。
花期は秋、落葉の時期の11月頃にヒトデに似た濃紅色の小さな花をつける。葉腋から出た花軸に2個の花が背中合わせに咲く。花弁は5片であるが、一対の花が背中合わせになって咲くので、10片あるように見える。花弁が落ちると萼(5片)が見える。
雄蕊の花糸は5個、葯は2室に分かれる。子房は2室からなり、果実は蒴果で翌年秋に熟し、2裂開して種子を散布する。
冬芽は艶やかな赤い芽麟に包まれる。葉痕は偏円形、維管束痕3。
学名Disanthus cercidifolius Maxim.
属名Disanthus dis + anthos 2方向+花
種小名cercidifolius cercis+folius ハナズオウ属に似た葉
命名者 Maxim Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
Maximowicz
露の植物学者、極東アジア地域を現地調査し、生涯の大半をその植物相研究に費やし数多く新種を命名した。1859年「アムール地方植物誌予報」を発表。その後1860年から1864年まで日本に滞在し、精力的に日本の植物相調査を行った。函館でマキシモヴィッチに助手として雇われた須川長之助は彼の日本滞在中、植物相調査に協力して標本採集を行った。マキシモヴィッチは帰国後研究成果を「日本・満州産新植物の記載」で発表。その後も長之助はマキシモヴィッチが1891年逝去するまで採集標本を送り続けた。
[マキシモヴィッチは2300種を系統的に分類し命名] 以下一例
イタヤカエデAcer mono Maxim.
オニグルミJuglans mandshurica Maxim.
Juglans Ju(Jupiter)+glans(堅果)→ジュピターの堅果
mandschurica 満州産の
ミネカエデAcer tschonoskii Maxim tschonoskii は長之助への献名
川原慶賀 1823年に出島に赴任して来たシーボルトの注文に応じ、動植物の精細な写生図を描いた。マキシモヴィッチは彼の作品の散逸を防ぐためにアカデミー名義で購入した。現在ロシアのコマロフ植物学研究所に収蔵。





TOP (目次) 画像・文 塩城 忠