うさぎ穴便り

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舞台「写楽考」 ~役者の人間表現力と和太鼓&笛の音に酔う~

2007-04-12 23:09:25 | 舞台・演劇
シアターコクーンにて、4月11日昼公演観て来ました。
 あっという間の休憩時間なしの2時間の舞台でしたが。それは丸で写楽が一気に絵を描気あげた時間のようでもありました。
 鈴木勝秀さんの演出はお初でした。
 エンターテイメントな舞台ではなく、あまり動かない座ったシーンが多く、せりふでつなぐ舞台なだけに、ちょっとした動きがとっても重要になってるなあと思う舞台でしたが、コミカルにスピーディーな運び、キャラクターをきちんと表現できている役者さんたちだったので、すごく面白かった!!
恐るべし!!シス・カンパニープロデュース!!
 B列の通路側だったので、舞台はよく観えたし、通路を歩く高橋克実さんが私の横に立たれたりで嬉しい舞台でした。
堤さんをはっきり見えた舞台は初めてだったので嬉しかったです。いつも双眼鏡の距離。この日は、双眼鏡も忘れてきてましたがいらなかった!
 ついでにポスターがいつも買うサイズではなく、でかいサイズで嬉しいのホント!これどうしたらいいんじゃろ!もホント!!
しっかり、貼っちゃったけども(^^;)なんたって、堤写楽さまのドドドアップなもんで!

 原作を読んでいたので、大体「この部分はなくていいんじゃないかな」と思う部分を鈴木勝秀さんもカットされての短い脚本でした。
なので、とても単純明快でわかりやすい小劇場風な舞台となっておりました。
 ちょっと短すぎてさみしいなあと思ったくらい、また観たい作品ではありました。

 しょっぱなからの和太鼓と横笛の力あのある演奏がすごっくいいのなんの!!!
 ちなみに。もともと、出雲には和太鼓の会がって機会があるとよく聴いていたり、劇団☆新感線の「西遊記」のCDの中の「悟空」という曲が大好きなんで、演奏には聞き惚れてしまいました。舞台効果抜群!!!素晴しかった!!
演出もよかったし、舞台装置もよかったです。
進行役の語りを重田幾五郎役の高橋克実さんがされていて、またストーリーも明るくなってました。
 ラスト前は、写楽が縛り首になってしまうという壮絶な場面まで、笑いの入ったコメディタッチから悲惨なシーンへと展開していく感じ。休憩がなかったせいで、最後まで「気分も目も」釘付けのまんま終わってしまった・・・。

 堤さんは、伊之さんのときには、武蔵の「又やん」を彷彿とさせるようで。
というか、犬の真似をして「わんわん」やってる演技は、又やん以上。
伊之さんの前半の人生は、滑稽で明るくて丸で適当にやりたいうように生きてる感じは、よく伝わってきました。
そうしておいて、東洲斎写楽となって、一心不乱にほんの短い人生の時間に絵を描く姿に転じていったあたりは、力があって見ごたえ十分でした。
 しかし、私が観た限り、ポスターや稽古場風景にあった、筆を加えて絵を描いてるシーンはありませんでした。
写楽が縛り首びになるシーンはものすごかった!!
もちろんピアノ線つきで首を吊られていくんだけど、その苦しそうな感じの演技は壮絶でした。
神でも仏でもないけど、救いたかったですわ!ほんとに!!

 写楽。いまだにその人物がなにものなのか、真実は闇の中。
というだけあって、ほんとは一体誰が写楽だったのか、ほんとは一体どうしてあんな短い期間に世界の歴史に残る絵が描けたのか、その正体をものすごく知りたいのが本音ですが。
 矢代静一さんが作った写楽は、恋仲のおかみさん殺しの下手人になってしまっったがゆえに、逃亡生活を送る羽目になり、いつ捕まって死罪になってもおかしくない自分だからこそ、やりたいと思ったことを一瞬のうちにやってしまった男。才能ある人間でありながらも、普通の人間、普通の男の生き方もちゃんと思うことができた人。
単純明快な笑いを交えてのストーリー展開ではあっても、写楽を中心に登場人物の人格からくるそれぞれの人生は、一人一人、精一杯に生きていたんじゃないかと思いつつも、なにか物悲しい吹っ切れないような気持にさせられる舞台でした。
人生とは、幸せだったのか・・・、不幸だったのか・・・。
写楽の長いせりふの中に、逃げ場を失っていても逃げようともがく蝿の姿を丸で自分のようだと思って蝿を叩いて殺す様を、赤ん坊のお春はおかしことだと思って笑う。自分には嘆き悲しいことでも、まわりからはおかしかったり、滑稽だったりする。
 それは、人それぞれ自分自身が納得できる受け取り方をすればいいことなのかもしれない。
生きてる間にこれでよかった、と思っていても、あの世では、やっぱり、間違っていたかも知れない、もっと、こうすればよかったとか、ものすごく後悔するものだそうだという言葉を聴いたことがある私にとっては、この舞台の写楽は最後に、やっぱり死にたくない!と本音を吐いてるだけに、やっぱりあの世では成仏できていないとは思いますが。
なんせ、伊之さんは、私が感じる限りは、無実だもんな!!!無実だろ!!!みんな、観てたろ?!!!って感じ!~(笑)
 かの、坂本竜馬だって、人は、役目をまっとうするために生れたとか、役目をまっとうしたから、死んだんだとか、言うけれど、当のご本人は、三途の川の向こう岸で、なんで殺されてこんなとこにいるんだ?とか、新しい明治時代見るはずだったけど?とか思ってる可能性だってないわけじゃなし。
 どんなに才能ある写楽でも普通に身内のことが心配だったり。才能ある立派な人たちもちゃんと普通の人間なのだというところ。みんなおんなじで悩んだり苦しんだり、幸せだったりするものなんだということ。
人は多かれ少なかれ自分以外の他人に影響を与え与えられて生きているんだから、自分の側からばかり物事を考えるんじゃなく、当たり前のことなんだけれど、自分を取り巻くまわりの人間の立場も考えてみることを再確認できた舞台だったかなあと思います。
堤さんが、パンフのインタビューでおっしゃってますが、ギリギリのところを歩く人生も不安だけれど、穏やか過ぎる人生もこれでいいんだろうか?みたいな、ダメになってしまうんじゃないかみたいなこと思ってしまうということ。なんか、ごもっともと、思います。
 でも、やっぱり、厳しいことがあるほうが、人は精進できる。試練こそが、人を大きくすることは、いろいろと体験しているのでわかる気がします。
 この写楽もやはり、逃げ場を失った蝿と同様になったことで、才能が一気に花開いたことは間違いないと思います。

 堤さんは、どこまでも器用な、どうにでも七変化できる役者さん。おっきな舞台も映えるし、こんな小劇場風な舞台もハマってしまう。
 伊之さん、憎めないキャラクターで私はまたもや大好きになってしまいました。絶望のふちに立ってしまって長せりふをしゃべる伊之さんのシーンにはじっと聞き入ってしまいました。
 (堤さんの役キャラ的に表現しちゃうと。きっと、伊之さんは、又やんに言っただろうな。「お前さんは俺より有名になってないけど、転んでも転んでも立ち直って一応成功して俺より長生きできて良かったなあ」。浅野の殿様には、「あんた、切腹かい?俺は縛り首だよ!無念だよ!、なあ納得できてんのか、あんた?!」以上、妄想中継終わります。)(>_<)
 高橋克実さんは、滑稽な幾五郎さんにぴったし、前向きで面白い演技が素敵でした。
 嫉妬深くて根性汚い男(なように最初はみえたけど)だったのに、やはり、写楽が死ぬことになると、人間らしいところも実はちゃんとあるんだよってところをうまく表現していた、長塚圭史さん。
 七瀬なつみさんの大声で泣く演技、うまいったら!キムラ緑子さんのお色気たっぷりな演技もスゴイ!
 西岡徳馬さんの蔦屋さんという版元も現実的な感じが出ていて素敵でした。
 





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