うるしのまわり

   塗師の日々から

初 山中 その1

2010-07-09 | うるしのまわり
ぬりものの大産地、石川県の山中へ初めて行ってきました。
木地師 佐竹康宏さんの工房千樹へ親子3人展を見るためです。
幸い梅雨の晴れ間で、緑豊かな山間の町は気持ちのいい所でした。

工房へたどり着くと、先着していたお客さんと一緒に
まずは工房内を見学させていただきました。
木材の乾燥部屋からロクロの作業部屋、うるしの作業部屋まで
長男の功充(かつみ)さんの案内で拝見したのですが
工房の隅々にまで「真っ当な仕事をする」という意識が満ちていることが感じられました。

粗挽きした木地を燻して乾燥させる昔ながらの手法は
山中でもほとんど行われなくなってきているそうです。
なにも他の木地師が真っ当でないというのではありません。
乾燥手法の違いによる木材のわずかな感触の違いなどを身をもって理解した上で
うちでは「ここは絶対に譲れない」というものを数多く持ち続けている、
そういうことなんだと思います。

案内して下さった功充さんがこれまた明晰な好青年で、
名工のお父さん、弟の泰誌さんと共に
これからの家業を発展させていくのではないでしょうか。

展示は母屋の襖を外した広間が会場で
ていねいな拭漆とシンプルな塗りに彩られた作品が、ずらりと数えきれないほど並んでいました。
挽きものの各部位の形というのはそれぞれ呼応していて
美しい形というのは自然に決まってくるものという解説の通り
無理のない、過不足のない、手取りの軽い、ちょっと都会的な空気のある造形です。

約2年ぶりにお会いした佐竹さんにもご挨拶できました。
最終日でお疲れのところ長時間お邪魔し、
いろいろな話にもお付き合いいただきましてありがとうございました。
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