うれし荘へ、ようこそ♪

“旅するはらっぱ http://www.milmil.cc/user/tabibito/”の、小さな Homeです。

◆奇跡を起こす方法。

2011-05-24 | 本日のNEWS
またまたごぶさた、すみません…。

「放射性物質に負けないための考察②」を書く前に、
そのことにもつながると感じた、
アフガンで活動を続けている医療支援NGO「ペシャワール会」
の代表、中村哲さんのお話をご紹介します。

●翻訳家の池田香代子さん
「世界がもし100人の村だったら」
を本にしたのは、

「哲さんの講演を聴いて1万円の寄付をしたけれども、
 それでは全然足りないと思い、そんなとき出逢ったこの話を本にして、
 印税をペシャワール会に寄付しようと思い立ったから」


という話を、6~7年前に池田さんご本人から聴いて以来、
いつかお話を伺ってみたい!と思い続けてきた私。

なぜかずっとタイミングが合わず
その想いが実現しないままだったのですが、

この冬、仕事の取材先から送ってもらった
車のTV(TV付きの車だったんです)で、たまたま
報道ステーション「アフガニスタン・命の水を求めて」の放送に遭遇。

それを観て、仕事の移動中にも関わらず胸が熱くなって涙があふれる、
という出来事があったばかりのタイミングで、
先日札幌で講演会があると聞き、即予約して、
ついにお話を伺ってきました。

●会場のエルプラザは、席が足りないほどの満杯ぶり。
私は幸い前から3列目の席で、
ばっちり哲さんの姿を見ることができました。


●とても小柄で、声も大きくないのに、
「砂漠に水を引き、緑の畑に変える」という、
途方もなくでっかい奇跡を成し遂げている哲さん。

・一緒に活動していたペシャワール会の若者、
 伊藤和也さんが殺されたり、

・8年かかって通した25,5キロの用水路が
 洪水で決壊してしまったり、

・アルカイーダやタリバンを悪のシンポルに仕立て上げ、
 この地を戦争事業の食い物にして破壊し続けるアメリカ政府を、
 自分の祖国である日本の政府が支援していたり…

と、甚大な被害や絶望的な苦難・困難に襲われつつも、
それらに屈することなく、倒れても倒れてもまた立ち上がり、
黙々と歩み続ける一人の日本人医師のひたすらの行動は、

まさしく医療の源である「人命を守る」
という志に直結していて、シンプルかつパワフル。

医師にも関わらず、いや、医師だからこそ、
人々の命を救うのに必要不可欠な水と食糧を確保するため、
川から水を引くための土木工学を学び、
小さな体で自ら土方作業やシャベルカーの運転を率先して行い、
不可能を可能にしてきたその姿には、
とにかく学ぶことだらけでした。

●もともとアフガニスタン人は9割が農民で、
今では砂漠の印象しかないほど乾き切ったイメージのこの国は、
以前は、緑あふれる農地だったとのこと。

・けれど、その緑や豊かな実りの源だった高山の雪が
 溶けてなくなってしまったことで大干ばつが始まり、

・川は枯れ、農地は砂漠化し、飢餓や病気が発生し、

・きれいな水がないため治療もできず感染症の巣窟と化し、

・人々は心身ともに殺伐として争いが多発し、

・引いては戦争事業で成り立つ、
 アメリカの餌食になってしまった、

…という流れを、今回初めて、ちゃんと知りました。

●このアフガニスタンの現実は、
自然の摂理に反する暮らしが行き着く
現代社会の結末
だと、私には思えます。

私たち日本人をはじめとする“先進国”の横暴が、
こうして、自然とともに生きてきた人々から先に
殺すことになっているのだ、と。

それはちょうど、私たちの無知と横暴の結果である原発の毒が、
それを選択していない若い命から先に殺してしまうのと、
とても似ている気がします。

ただ、中村哲さんは、この悲劇をそこで終わらせず、
命がけで働き、悲惨な現実を変える行動をしている。

砂漠化してしまった広大な土地に、
川から用水路を引いて農地に戻す、という、
途方もない夢を実現させているのです。

そんな哲さんの取り組みを見せてもらった今、

この地は、絶望的な病から生き返った最先端の土地であり、
生き返る手法と「地球人にとって最も大切なもの」を端的に教えている
「生き方の最新モデル国」だなぁ…!と感服しました。

「生き延びたい、というニーズがはっきりしていたから、
  宗教も立場も超え、現地住民みんなが
  “生き延びるための唯一の手立て”である
  用水路建設のために、一丸となって力を合わせ働いた。
  ニーズこそが人を動かす原動力
と、哲さん。

「どんなにニーズがハッキリしていたとしても、
 砂漠に用水路を引く、というのは途方もない夢に思え、
 私だったら、どこからどう手をつけていいのかわからない。


 どんなステップを踏んで実現に至ったのですか?
 大きな夢を成し遂げる時、どう進めればいいのでしょう?

という私の質問に対して、哲さんはまず、
医療の根本について、以下のように説明してくれました。

「目の前にいる患者の治療に当たるとき、
 たとえレントゲンやMRIがなくても、
 触診と問診でおおよそのことは診断できます。

 ニーズに向かって事を成し遂げるためには、
 とにかくまず、あるものを使えばいい。
 すべてはそこから始まります。


 今回の用水路工事も同じで、現地には
 日本にあるような機械はないから、
 現地の人が手作業ででき、壊れた時も
 人力で修理できるものであることが必要でした。

 現地には、石ならいくらでもあったし、
 石の文化が発達している土地だったから、
 人々は人力での加工技術も持っていた。

 私は幼少時代、筑後川の土手で遊んだりしていて、
 たまたま用水路のしくみが何となくわかっていて、
 いろいろ考えていくうちに、

 江戸時代から続く日本の用水路技術が
 この土地にもふさわしいのでは、と思い、
 調べ、工夫し、土地の人々と相談しながら
 実現したのです。

 医療も、土木も、根本は同じ。
 あるものを活用して、ニーズを実現する。
 簡単に言うと、それが本質です」



穏やかな声と口調でゆっくりとそう話す哲さんに、
私はシビレました(笑)。
マザーテレサか、ファーザー哲か、だな~!って。

ニーズを満たすために必要なものは、
今、自分が持っているもの。


あぁ、なんて勇希が出る言葉でしょう!
そして、なんと真実であることでしょう!

仏陀も、イエスキリストも、
ダライラマも、ガンジーも、
マザーテレサも、ファーザー哲も(笑)、
あの人も、また、あの人も……
考えてみれば私の尊敬する人々はみーんな、

文句を言ったり評論したりするのではなく、

「自分の持っているもの・そこにあるもの」を、
ひたすら最大限に活用し、動いている。


「あるものを活かす」とは、「自分の力を活かす」ということ。

「自分エネルギー」=「究極の自然エネルギー」。


それは最も安心安全で、自然の一部であるヒトが、
最も健やかに光り輝く道、という気がします。


●哲さんがアフガニスタンの用水路で活用した手法の要に、
「蛇籠(じゃかご)」という技術がありました。

大量の石と、石を扱う技術がある土地で、
江戸時代からの日本の技術である蛇籠が大活躍。

巨大なカゴ(江戸時代は竹製)に石を詰め、
自然の石を集め、巨大な石にする、というもので、

その石が詰まったカゴの後ろに柳を植えると、
石と植物の根が自然と合体し、
それはやがて、生きた強固な堤防となり、

と同時に、草、藻、魚、カエル…など、
多種多様な命を育む、格好のビオトープとなってゆくのです。

「そこにある無数の存在」が、
“自然の摂理に沿って”一つに集結した時、
怒涛の水力にも屈しない力が生まれ、豊かな恵みが宿る。


この「蛇籠」は、そんな象徴のメッセージのような気がします。


●アフガニスタンの洪水の映像は、
まさしく今回の東北の津波の映像とダブりました。

洪水、津波、干ばつ、貧困、戦争、原発、環境破壊、
大量生産、大量消費、大量廃棄…

哲さんが命がけで提示してくれている、
それらの悪循環を打破してゆく方法を、
私も、私なりのやり方で、実行してゆきたいと思います。


●講演終了後、悔いのないように楽屋に行き、
哲さんに握手してもらいました。

ステージから降りた哲さんは、
私よりも背が低く、小さな人でしたが、
握手した手は温かで、ホワッと柔らかかった。

この人の生き方から、声から、まなざしから、手から、
しっかりパワーをいただきました。

それは私にとって、
放射性物質にも負けない力になった気がします。
(思い込みが激しい私にしか
 効かないかもしれませんが。笑)

以下の映像もまた、きっと心の薬になるはず。
お時間のある方は、どうぞ“摂取”してみてくださいね。

アフガニスタン 永久支援のために 中村哲 次世代へのプロジェクト(1)
アフガニスタン 永久支援のために 中村哲 次世代へのプロジェクト(2)
アフガニスタン 永久支援のために 中村哲 次世代へのプロジェクト(3)
アフガニスタン 永久支援のために 中村哲 次世代へのプロジェクト(4)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。